基板の色々な作り方の紹介【電子工作】


基板の作り方にも色々な手法がある

本屋の電子工作書籍コーナーを見に行ったりすると、電子工作の入門本はあるのに実際に基板を作ってみる段階になると、基板の作成手法まで書いてある本はあまり多くありません。

小規模な回路であれば、ブレッドボードやユニバーサル基板などを使って簡単に回路を構成することが出来ますが、少しでも回路を小さくしたい!とか、表面実装部品(SMD)を使いたい!とか考えると、より電子回路に適した回路基板の制作をしなければいけません。

今回は、個人でもできる色々な基板作成の手法について紹介します。

手軽に作る回路基板作成

まずは、手軽に作れる回路基板について紹介します。ここでいう「手軽」というのはCADを使用せず、思いつくまま自由に構成できる基板の事を指します。

大きさに制限がなく、回路規模も小さいのであればこれらの方法で十分だと思います。

ユニバーサル基板


ユニバーサル基板 (PCB 50mm×70mm 432穴) 25枚セット

回路基板を作る場合、一番手軽なのがユニバーサル基板です。ユニバーサル基板は蛇の目基板・万能基板・穴あき基板などとも呼ばれます。

一般的なユニバーサル基板は0.1インチ(2.54mm)感覚でスルーホールが開いており、そのランド(銅箔部分)電子部品を差し込んではんだ付けすることにより、電子部品を固定することが出来ます。

電子部品ごとの配線は、ランド同士を金属線で繋げることで配線できます。一般的にはスズメッキ線という安価な線材を使うことが多いですが、長さが足りれば電子部品の切った足の余ったリード線などでも代用できます。。

線材にはビニール線やラッピング線(ジュンフロン線)やUEW線など、様々な種類があります。回路の種類によっては適する線材も異なるので、ユニバーサル基板を用いて電子回路を作る場合は一通りの線材は持っておいた方がいいでしょう。

生基板+手彫り


uxcell 銅張積層板 生基板 片面 FR4材料 PCB電子回路ユニバーサルボード 100 x 70mm 5枚入り

生基板とはスルーホールもランドもない銅箔のみが全面に張り付けられた基板のことを言います。カット基板とも呼ばれます。

これらは、カッターやリューターなどで銅箔を削り取ることでパターンを形成します。

CADを使う回路基板作成

電子部品の集積度を上げたり表面実装部品を使用したい場合、電子回路用のCADを活用した回路パターンの作成が必要になってきます。

綿密な部品の配置位置を決めなくてはいけないため、少し手間はかかりますが、電子部品の集積度を上げることができ、表面実装部品(SMD)の実装もできるようになるので、電子回路の小型化を実現することができます。また、配線不良などによる回路の動作不良のリスクも減らせるので、手間はかかりますが数多くのメリットがあります。

CADで作った回路パターンデータのことをガーバーデータと言います。ガーバーデータは基板製造では一般的なフォーマット形式で、産業用に大量生産を行う電子回路の製造にも使われます。

生基板+レジスト+エッチング


サンハヤト エッチング液 200ml H-200A

エッチングとは、塩化第2鉄水溶液で生基板の銅箔を溶かす工程の事を言います。あらかじめ、銅箔の部分が溶けないようにマスクしておけば、希望した形で銅箔を残すことができます。

この方法では銅を残してパターンを形成するために、レジスト剤を塗布するという工程が必要になります。

レジストには、レジストペンやレジスト専用のレジストプリンタなどを使います。しかし、この方法は後述のフライス盤や外部発注したほうが手軽に済む場合が多いので、現状ではエッチング法そのものにいまいちメリットがありません。

エッチング液を使う手法の最大の欠点として、廃液処理が必要になるので注意しましょう。また、この方法で基板を作った場合、スルーホールを空けなくてはいけませんので基板作成後に穴をあける工程が必要になります。ハンドドリルやボール盤なども用意しましょう。

サンハヤト UVインク使用ダイレクトプリンター

生基板に直接エッチングレジストを印刷できるのがサンハヤトのMDP-10です。

パソコン上で作成したパターンでのデータを直接印刷してエッチングレジストを印刷することが出来るため、転写などの手間がなくすぐにエッチングの工程に移ることができます。

UV硬化インクを使用しているため、印刷と同時にすぐインクが硬化します。エッチング後はインク剥離液を使う事で、綺麗にエッチングレジストを除去することが出来ます。

生基板+トナー転写+エッチング

エッチングレジストに使う材料ですが、最近ではレーザープリンターのトナーを転写する方法もあるようです。要は、耐酸性で付着強度さえあればレジスト剤はなんでもいいという事ですね。

この方法は、神に印刷したトナーをアイロンで銅箔面に転写してレジストの代わりにしてしまおうという手法です。レジストの専用機材を用意するよりは遥かに手軽です。(わざわざこのためにレーザープリンターを買う気にはなりませんが・・・)

現在では、トナー転写専用の基板熱転写紙というのも販売されています。

感光基板+エッチング


サンハヤト クイックポジ感光基板 片面 1.6t×75×100 NZ-P10K

感光基板とはサンハヤトが発売している、光に反応する感光剤を生基板の銅箔面に塗布したもので、高価な機材を使用せずに精密な基板を作ることが出来ます。原理的には後述のエッチング法と同じ方法になりますが、個人で精密な基板を作る場合は感光基板が最も手軽で安価な方法になります。

感光基板が優れている点は、エッチングレジストが簡単に済むという点です。

感光基板には初めからレジスト剤が塗布されており、そのレジスト剤は光を照射するだけで除去できるという特徴があります。そのため、OHPフィルムなどでマスクを作れば、光を当てるだけで必要な部分のエッチングレジストが済むので、初期投資が安く済むというポイントがあります。

エッチングレジスト後は、基板をエッチング剤に浸して余分な銅箔を溶かします。エッチングレジストした部分は銅箔が残るので、最後にエッチングレジスト部分を除去すれば基板が出来上がります。

生基板+フライス盤

通常、切削加工を行うフライス盤ですが、生基板を削ることでエッチングと同じようにパターンを作ることもできます。原理的には生基板の手彫りと同じ手法になります。

基板専用のフライス盤であればCADで作ったパターンをCNCフライス用のプログラムに変換するソフトがあるので、フライスに複雑な加工手順を入力する必要はありません。

フライス盤を使うメリットとして、薬剤を使用しない・スルーホールの穴あけが自動でできる・すぐに基板が出来るというメリットがあります。一方で初期投資(フライス盤)が高い・エンドミルの交換が必要・基板クズが出るという問題もあるので注意が必要です。

ORIGINALMINDというメーカーではKitMill CIP100という電子基板専用のフライス盤があります。

PCB製作サービス

最近、個人でも安価な価格で発注できるようになり、だんだん浸透してきたのがPCB制作サービスです。

これは、一般的な基板作成の発注と同じように、業者にガーバーデータを渡して、それに基づいた回路基板を作ってもらうサービスです。

外注によって基板作成を行うメリットとしては設備投資が不要多層基板の作成表面処理が可能等が挙げられます。特に、コスト面においては小口の発注でも10枚1,500円程の安価な業者が増えており、納期を気にしないのであればすべての手法の中で一番安く基板を作ることが出来ます。

特に、先述までの作成方法では不可能に近い多層基板も作成できるのが特徴です。基板サイズを小さくしたい製品には、間違いなく多層基板が必要になるので、小さい基板を作りたい方にもメリットです。(と言っても2層以上を個人で作成する人は稀でしょうが…)

また、個人の基板作成では行いにくい基板の表面処理を行えるのも特徴です。表面処理というのはランドのハンダメッキやレジスト(緑色の部分)、シルクパターン(部品番号や基板名を表す白い印刷)も指定できるのが特徴です。このような細かい指定もできるので、個人でも市販されている製品レベルの基板作成ができるようになっています。

まとめ

今回は基板の作成方法についてまとめてみました。

色々な基板作成方法がありますが、簡単な回路を作るだけであればユニバーサル基板、複雑で高密度な回路を作るのであればCADを覚えてPCB製作サービスというのが現在の主流です。(電子回路を覚えた次はCADも覚えないといけないのはちょっと辛いですが…)

PCB製作サービスがまだ一般的ではない頃、エッチング液を使う基板作成もよく行いましたが、うまく露光できなかったり廃液が面倒だったり、ドリルを持ってきて穴を空けたりと、とにかく面倒な思い出しかなかったです。今じゃPCB製作サービス様様ですね。

CADについては、一昔前であればeagleの試用版が一般的で英語のソフトウェアで色々苦労もしましたが、現在では日本語対応のCADもあるそうです。