マキタと日立工機どちらのインパクトドライバーが使いやすいのか

仕事で使う電動工具の代表と言えばインパクトドライバです。始めてインパクトを購入する方などは何を基準にして選べばいいのかわからないことが多いと思います。

そこで今回は、メーカーが提示している資料を元にメーカー毎のインパクトドライバの違いを考えてみます。

インパクトドライバの違いとはなにか

電動工具メーカー各社からインパクトドライバーが発売されていますが、それらの違いはデザインの違いやカタログスペックの違いという形でしか表されておらず、インパクトドライバーの正しい性能というのはあまり認知されていません。

実際に使ってみるとマキタインパクトにはマキタっぽさ、日立工機のインパクトには日立っぽさ、そういうクセみたいなものがあるのを感じる事があります。

性能の違いは取扱説明書に書いてある

これらの違いは工具を使う人のフィーリングとして捉えられてしまいます。この違いをより具体的な、あえて言うなら数値的なものに置き換えることはできないのでしょうか。

実は、インパクトドライバーの取扱説明書にはカタログには記されていないインパクトドライバーの性能についてより詳しく書かれているのです。

そこでこの記事ではマキタと日立工機のフラッグシップインパクトの取扱説明書に記載されている情報を元に、フィーリングと言われている見えない使い勝手を比較してみたいと思います。

各社フラッグシップインパクトの比較

マキタのフラッグシップインパクト TD170D


マキタ TD170DRGX 充電式インパクトドライバ 青 18V 6.0Ah

マキタ製のフラッグシップインパクトTD170Dです。

TD170Dは締付け開始時の締付けトルクは低くなっていますが、1.5秒ほどで他社相当の締付けトルクが出ます。

これは木ネジ締付け作業時のフィーリング(カムアウト防止)を重視しているために、ソフトスタートを強くしているものと推定されます。

左はTD160D(14.4V)、右がTD170D(18V)の締付けトルク(TD170D 取扱説明書P3)

TD170Dはソフトスタートの影響が強く出ているせいか、1秒未満での締め付けトルクは低い傾向にある。(マキタTD170D 取扱説明書P,33)

日立工機のフラッグシップインパクトWH18DDL2


日立工機 18V コードレスインパクトドライバ 6.0Ahリチウムイオン電池1個仕様 急速充電器 ケース付 グリーン WH18DDL2(LYCK)(L)

トリプルハンマを採用した日立工機製のインパクトドライバWH18DDL2です。

日立工機のみカタログスペックのインパクトのトルク測定に何故かM14高力ボルトを使っており、他社より厳しい条件となっています。(一般的に小さいボルトの方のトルクは小さくなりやすい)

WH18DDL2は締付けた時間が一秒未満時の締付けトルクが非常に高くなっています。ですが1秒以上締め付けてもトルクは上がらないようです。

左はWH14DDL2(14.4V)、右がWH18DDL2(18V)の締付けトルク。日立工機のみ締付けトルク測定にM14高力ボルトを使っている。(日立工機 WH18DDL2 取扱説明書P,11)

WH18DDL2は0.5秒~1秒間の締付けトルクが非常に高い。しかし、1秒以上の締付けではトルクの上昇が穏やかになる(日立工機 WH18DDL2 取扱説明書P,24)

 

RYOBIの新型インパクトBID-10XRは?

RYOBIの最新フラッグシップインパクトBID-10XRです。カタログスペック上の締め付けトルクは180N・mと最大のトルクとなっています。

BID-10XRはトリプルインパクトを採用したWH18DDL2と同じような締付けトルク曲線となっていますが、M12ボルト締付けでは若干劣っています。細いボルトは締付けが若干遅くなる傾向があるようです。

RYOBI BID-10XRの締付けトルク。条件はマキタと同じ

図をまとめてみた

国内3社のインパクトのスペックを並べてみましたが、各社で縮図や測定時間が異なるので駒かな違いがよくわかりません。そんなわけでグラフの尺度を同じにしてまとめてみました。(横軸は締め付け時間を表し、縦軸は締め付けトルクを表しています)

3社のインパクトのM14高力ボルトの締付けトルクをマキタ基準の縮図でまとめてみたところ。締付け時間2秒では各社同じ締付けトルクになるが、1秒未満では差が出る

一枚の図にまとめると、各社のインパクトドライバの個性が見えてきます。

3社共通して言えるのは1.5秒ほどの締付では締付トルクの違いはほとんどないようです。次に各社の違いについて着目します

マキタのTD170Dは締付け始めのトルクは低くなっているものの、1.5秒以上の締付ければ他社並みの締付けトルクが確保できます。しかし、1秒以下の締付ではトルクが低く感じるかもしれません。

日立工機のWH18DDL2は短い時間での締め付け作業が非常に速いことがわかります。ですが2秒以上の長い締め付けは苦手のようです。

RYOBIのBID-10XRもWH18DDL2と概ね同じ曲線を描いています。ですが別図のM12ボルトの締付を見ると細いボルトの締付けは苦手のようです。

まとめ

今回検証してみるとカタログスペック上では10N・mくらいのスペックの違いしかないように見えますが、実際は締付け時間によって大きな違いがある事がわかります。

カタログスペックに記載されているインパクトドライバの締付けトルクという表記は、一応の目安であって、絶対的な性能を表すものではありません。ボルトの径や材料が変わってしまえばトルクも大きく変わってしまいますし、コードレス工具などでは電池残量の影響を強く受けてしまいます。

また、木ネジの締付け作業などはボルトに締付けトルクの数値はあまり参考になりません。

今回は取扱説明書に記載されている条件のみで比較してみましたが、実際の締付け作業や木ビスの測定などを行ってみればまた違う結果になります。

特にインパクトドライバは締付けの早さなどもそうですが、やはりフィーリングも重要な工具です。重量バランスだったりソフトスタートのかかり具合だったりと、様々な要因で使いやすい工具というのは人によって変わってきます。

今回の記事をインパクトドライバ選ぶ際の購入の参考の一つとして頂ければ幸いです。