IoT電動工具の幕開け!?次世代インパクトドライバーの時代がやってきた!

近年、IoT(モノのインターネット)などが話題になり、いろんなモノがインターネットに繋がる時代が始まろうとしています。

電動工具もスマートフォンやインターネットに繋がって、スマート工具みたいなものがいつかは出るんだろうな、と思っていましたが、既に海外の工具メーカーでは販売されていました。

せいぜい「スマホとペアリングして動作モードとか変えられる程度なんだろうな」と思っていたのですが、これがまたガシェット好きには中々たまらない機能が搭載されているようで…。

スマート工具の時代はすぐ近くまで来ているのかもしれません。


Milwaukeeの ONE-KEY™は電動工具とスマホが繋がる!

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Milwaukee(ミルウォーキー)は北米、欧州、オーストラリアマーケットを中心とした、香港TTIグループの電動工具ブランドです。日本ではあまり馴染みのない電動工具メーカーですが、全世界的なシェア獲得率では世界第4位となっています。

このMilwaukeeが開発したONE-KEY™という機能は、電動工具をスマートフォンと連携させることによる、高度な動作制御・工具の管理・適切な在庫管理を実現する電動工具のデジタル・プラットフォームです。

工具に組み込まれた無線コントローラによってスマートフォンに接続された電動工具は、スマホとの同期やクラウド上のデータとやり取りできるようになり、今迄の電動工具にはない全く新しい機能やサービスを受けることが出来ます。

スマホと連携すると何ができる?

より高度な電動工具の制御

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電動工具をスマートフォンで制御すると、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ONE-KEY™の説明には、その答えとして「高度な制御による時間とお金の節約と、比類なきレベルの精度を提供する」と書いてあります。

ここで、従来の電動工具の制御について考えてみます。通常、電動工具の動作調整というのは、トリガーによる引き量とパネルによる動作モードの切り替えしかありません。この事に対し、私は「もっと細かい確実な調整ができるようになればインパクトドライバでもトルク管理とかできるんじゃない?」ってずっと思ってました。

ONE-KEY™のTOOL CONTROLの解説ページを見てみると、スマートフォンの画面でモーターの回転数からトルクの10段階の指定、更にトリガーの引き量による変速具合?まで非常に細かく調節できるのが確認できます。しかも、解説動画を見てみると、適切な制御下で作業が行えるよう、作業に応じた様々なプロファイルが提供されてるようです。(動画ではホールソーのプロファイルが紹介されています)

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詳細な制御が行えるようになるのであれば、作業者の技量に依存しない(作業効率の向上)が期待できるでしょう、その作業者の情報を適切な作業プロファイルとして共有すれば。また、適切な作業プロファイルで作業を行えば過負荷防止にもなるため、必然的に工具や消耗品の長寿命化(ランニングコストの低下)にも繋がると思われます。

盗難・紛失対策!

iot_no-0005電動工具とスマートフォンを接続すれば、盗難や紛失の防止にも役立ちます。

近年「電動工具」を狙った窃盗が多く発生しています。窃盗犯は建設現場などに無造作に置かれている電動工具を盗んで、個人売買やネットオークションなどで換金してしまいます。

決して安くはない電動工具ですが、その一方で電動工具に対する防犯対策というのはあまり重要視されていません。

ONE-KEY™のTOOL TRACKINGの解説では100フィート(30m)範囲内のONE-KEY™対応機器を追跡できる、と記載されています。

 

iot_no-0006解説では「工具がおかれていた最後に場所」を確認することができ、「他者のONE-KEYアプリで工具を探させる」事も出来ると書いてあります。(後者はMOMORIOなどで話題のクラウドトラッキングですね)

このような機能があれば、煩わしい防犯グッズを買わなくても、電動工具の置き忘れ防止や盗難の防止に役立つかもしれません。

工数の管理にも使える!

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工場や建築現場など、大きい現場では進捗管理が重要になります。

ONE-KEY™のTOOL REPORTINGの解説では「工具の使用率をリアルタイムに共有し情報を提供できる」と書いてあります。工具の稼働状態を確認することで工数や作業の進捗を確認できるというのは、建築現場の全く新しい見える化に繋がるかもしれません。

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現時点で対応している工具は製品はクリンパ(圧着)だけの対応のようですが、今後インパクトやドライバーに対応することで、打ち込んだネジの本数などが記録に残るようになれば、現場の品質管理が徹底されるようになり、手抜き工事や欠陥住宅なども減るかもしれません。

また、工具の稼働状況を詳細に記録することで、電動工具版のフリートマネージメント(FMS)も実現させることができるかもしれません。

フリートマネジメント(FMS)とは、企業が使う業務用車両を、ユーザー企業に代わって維持管理するサービスの事で、フォークリフトのリース・レンタルを行っているトヨタL&Fなどでも採用されているビジネスモデルです。

電動工具でフリートマネジメントを行えば、故障する前の定期修理や消耗品の自動補充など、様々なサービスを受けられるようになるかもしれません。

オリックス自動車のWebサイトを見ると、フリートマネジメント業務の広さ・包括さが伺い知れる。
http://www.orix.co.jp/auto/hojin/jigyou/autolease/fleet/index.htm

車両管理、メンテナンス、緊急対応、燃料管理、環境レポート・自治体への報告、保険代理店、リスクマネジメント、など。

たしかに、車両を使うビジネスを営んでいる企業であれば考慮しなければならない(しかし明らかにコアではない)業務ばかりである。専門業者にアウトソーシングするニーズが高いことは容易に想像できる。

参考:走るトラックの「すべて」を24時間見える化、ビッグデータで運輸コストを抑制するARI

使ってみたい!でも日本での入手は難しそう…

次世代の電動工具としてぜひとも試してみたいONE-KEY™ですが、輸入して購入するのは難しそうです。

価格は充電器・バッテリー込みで約$300とかなりお手軽な価格ではありますが、関税や送料に手間がかかります。あとはリチウムイオンバッテリー製品のため、輸送制限などもありそうです。

また、充電器も日本とアメリカで電圧が異なるためちゃんと使えるかどうかわかりません。。

一応、米Amazonで取り扱いはあるようなので、輸入手続きなどをちゃんと行えば日本でも入手は可能かもしれません。

参考:M18 FUEL™ with ONE-KEY™ 3/8″ Compact Impact Wrench w/ Friction Ring Kit

Black&DeckerからもBluetoothバッテリーが登場!

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電動工具世界シェア1位のStanley Black & Deckerからも、SMARTECH™batteriesという製品が発売されています。(日本未発売)

これは電動工具のバッテリーとスマートフォンをBluetoothで繋げることによってバッテリーの監視や制御を行える機能のようです。

MilwaukeeのONE-KEY™ほど高度な事はできませんが、バッテリー残量をスマホ上で確認できたり、電池の機能をロックして使えないようにする防犯的な搭載されています。

無限の可能性があるIoT電動工具

電動工具の進歩は、ブラシレスモーターの普及によって、一旦袋小路に入った感がありましたが、今度はIoTという技術を得て新しい方向に発展しそうです。

この先、電動工具の付加価値というのは、今迄のような単純な性能向上による個々の作業者の効率向上ではなく、IoTなどを活用した組織全体の作業マネジメントによる効率化・コストダウン化が重視されるようになるのではないでしょうか。

全く新しい技術であることから、若干の煩わしさやアプリ導入の手間など、普及の障壁はかなり高いものと思いますが、電動工具のIoTはこれからも確実に発展し続けるものと考えられます。

正直、電動工具がIoT化されたとしても、せいぜいBlack & DeckerSMARTECH™batteries程度からだろうな、と思っていました。

ですが、MilwaukeeのONE-KEY™は本気出し過ぎです、完成度高すぎです。車とか産業用機械で考えられているIoT技術の殆どが入ってる気がします。正直、ここまでやられちゃうと他のメーカーは太刀打ちできないんじゃないでしょうか。しかも、アプリだけじゃなくWebクラウド上でも管理できるとかパーフェクト過ぎます。

アメリカのマーケットから始まった電動工具のIoT化ですが、この先日本でも導入されることになるのか、他のメーカーは追従するのか、非常に興味深いです。