3Dプリンタを購入して1年程経ちましたが、Thingiverse.comのモデルやCADを使ったモデリングなどで活用してしまいす。
今回は、色々と造形してきた中で発生した3Dプリンタのトラブルなどを紹介していきます。
目次
正常にフィラメントが送られないと造形不良が起こる
3Dプリンタの造形において、造形の品質は様々な要素に左右されますが、その中でかなりの割合を占めるのがフィラメント関連の不良です。
PLA、ABSといった材質は勿論のこと、温度や造形速度、フィラメントの送り速度など様々な要因が造形品質を左右します。
特に3Dプリンタではノズル周りのトラブルが多く、ノズル詰まりやフィラメントの劣化などで造形がスカスカになってしまったり、完全に詰まって造形されなくなったりします。
造形不良になるフィラメント、絡んでませんか?
造形しているものがスカスカになってしまったり、造形が止まってしまうとノズルの不良やフィラメントを疑ってしまいますが、実はフィラメントが少し絡まってしまうだけでも同じような造形不良が発生します。
フィラメントのロールを見ただけでは分からないような僅かな絡まりや捻じれでも、フィラメントを送り出すボアとフィラメントにはかなりの負荷が掛かかってしまいます。
ボアに負荷が掛かると、正常にフィラメントが送り出せなくなるため造形がスカスカになってしまい、フィラメントに負荷が掛かるとフィラメントが削られて、やはり造形がスカスカになってしまいます。
正常なフィラメントと絡まったフィラメントの造形品比較
まずは、これが正常な状態のフィラメントで造形した平板です。
ABSで造形した薄い平板ですが、全体的に造形精度は良好で、歪みや欠損などは発生していません。
そしてこちらが絡んだフィラメントで造形した平板です。
全体的に欠損が発生しているものの、たまにフィラメントが送られるようで、場所によってはフィラメントが射出されています。
比較すると一目両全です。
この造形不良の厄介な所は、途中まで正常に造形されてしまう点にあります。不良品写真の外枠部分を見ればわかる通り、造形始めの部分は正常に造形されています。
フィラメントの絡みによる送り不良は、絡む所まで引っ張られなければ発生しません。そのため、ノズル清掃やヒートヘッドの調整時の弾みで絡みの位置が変わってしまうことで、一時的にではありますが正常に造形されてしまいます。
そのため、この造形不良はノズルの詰まりによるものと誤解したり、フィラメントの交換によって解決してしまうため、3Dプリンタを導入したての方には気づきにくいトラブルでもあります。
フィラメントが絡まらなくても、フィラメントを送られる部分にちょっとでも抵抗があると、平板の場合では板が波をうったりします。これが通常の造形物であればフィラメント不足による割れの原因になってしまうでしょう。
フィラメント特有のトラブルに注意しよう
フィラメントに限らず、樹脂の成型に使うプラスチックペレットは湿度や紫外線に弱いため、保管環境に気を使わなければいけません。
そのため、個人で扱う3Dプリンタのフィラメントは、大量生産で使われる射出成型と異なり、原料の適切な保管や予備乾燥が難しいために、造形時のトラブルをノズルやフィラメントの劣化に求めがちです。
しかし、実際のところフィラメントの紐形状である事が原因で、今回のようなフィラメント特有のトラブルに遭遇することもあります。
今回はフィラメントが絡まっていたことが原因でしたが、他にもノズルまでのフィラメントの摩擦や摩耗などによっても同じ造形不良が発生します。
3Dプリンタの造形不良が発生したら、今回の例も参考にフィラメントの状態を確認してみるといいでしょう。