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史上最強のフィラメントドライヤー SUNLU E2を購入
以前、3Dプリンタ運用のためにフィラメントドライヤー Creality Space Pi フィラメントドライヤーを購入したのですが、新しくフィラメント乾燥/アニールボックス SUNLU E2を購入しました。

一般的なフィラメントドライヤーは70℃までのものが多く、最近では85℃まで温度を上げられるフィラメントドライヤーも登場していますが、今回購入したSUNLU E2は最大110℃の熱風乾燥が可能なフィラメント乾燥/アニールボックスとなっています。
ボックス内には1kgのフィラメントスプールを2本収納できるようになっているほか、付属のアニーリングトレイを使うことで造形した後のアニール処理にも使える仕様となっています。
日本国内では、株式会社サンテスラのオンラインショップ上で58,840円で購入できます。(2026年2月時点)
製品の特長
「最大110℃の熱風循環タイプのフィラメントドライヤー」

SUNLU E2は、最大110℃まで熱風乾燥できるフィラメントドライヤーです。
一般的なフィラメントドライヤーでは70℃や85℃までの製品が普及していますが、SUNLU E2はそれらを遥かに超える温度でフィラメントを乾燥できるので、吸水率の高いPAフィラメントや高温が必要なPPSフィラメントなど高性能なエンジニアリングプラスチックの造形前乾燥に対応します。
E2は高温対応のフィラメントドライヤーなこともあり、筐体は2重の断熱構造になっています。

操作はバックライト付きのLCDタッチパネル

SUNLU E2の操作はLCDタッチパネルが搭載されており、下4つのボタンで操作します。
本体の操作は、温度や乾燥時間の設定やあらかじめ組み込まれた素材ごとのプリセット設定、動作中の緑色インジケータ点灯パターンのON/OFFなどが設定できます。
フィラメントスプールは2本収納可能

SUNLU E2は大型のフィラメントドライヤーですが、見た目に反してフィラメントは1kgサイズでスプール2本分しか入りません。色々と試行錯誤してみたのですが、フィラメントが減っている状態でもスプール2本が限界でした。
ちなみに、写真の右側のスリットから熱風が噴出して、左側に循環して吸い込むスリットと温度センサーが搭載されています。

付属のアニーリングトレイで造形品のアニールにも対応

標準付属のアニーリングトレイを使うと、造形物を乗せてアニール処理をするためのスペースとして使えるようになります。
アニール処理とは、樹脂部品をTg(ガラス転移温度)付近の温度で一定時間温めてからゆっくり冷ます後処理です。樹脂成型時に発生する内部応力を抜いて反りや割れを減らし、形状安定や耐熱性を高められます。PLAなどの結晶性樹脂では耐熱向上に有効で、PA(ナイロン)は寸法安定やクリープ低減に効果が出る利点があります。
SUNLU E2は2層の断熱構造なので、タイマーによるOFF後もゆっくり冷えるのでアニールによる造形物の歪みやひび割れも防ぐことも期待できます。
乾燥時間は最大99時間まで設定可能

個人的に嬉しいポイントが、フィラメントドライヤーの動作時間を最大99時間まで設定できる点です。
基本的にフィラメントドライヤーは発熱する機械なので放置して事故が起こらないようにタイマーを搭載しているのですが、後述のPAフィラメントなどは十分に乾燥させるまで100時間必要なケースもあるため、個人的にはタイマー時間が長い方が再設定の手間が無くて嬉しいです。
ナイロンフィラメントの乾燥に70度を超える温度は必要なのか
さて、SUNLU E2の利点は最大110℃まで温度を上げられる点ですが、正直「そこまで高温のフィラメントドライヤーは不要では?」と思う方も多いと思います。
筆者もPLAやABSが中心なら不要だと考えています。一方で、PA-CFを使うなら70℃を超えるフィラメントドライヤーは必須だと思っています。
下の動画は、海外の研究者がナイロンフィラメントの乾燥を検証したものです。動画内では、ナイロンを吸水率0.2%まで乾燥させるのに(10:00~)、70℃では約326時間、95℃でも約20時間、120℃で約3時間必要だとしています。
筆者もPA-CFをよく使いますが、この検証結果は感覚的にも納得できるもので、Creality Space Piの70℃乾燥では10時間では使い物にならず、50時間でようやく妥協できるレベルで、十分に乾燥させるなら100~150時間ほど予備乾燥してから造形するようにしています。

そのため、Space Piを使っていた頃は常に70℃設定で24時間連続乾燥していましたが、造形量によっては乾燥が追い付かないこともありました。PAフィラメントの造形を主体に運用するのであれば、70℃を超えるフィラメントドライヤーは必須だと考えています。
【失敗】シリカゲルを80℃乾燥していたら不織布が崩壊
フィラメントドライヤーはフィラメントを乾燥させるための機械ですが、乾燥させたいものを入れれば何でも乾燥できます。そのため筆者はフィラメントと一緒にシリカゲルも一緒に乾燥させています。

秋月電子でおなじみの東海化学工業のシリカゲルもフィラメントドライヤーに入れておけば、フィルムを開封しなくても青色まで戻せます。

そんな感じで、電子部品やフィラメントに付属しているシリカゲルをSUNLU E2に入れて85℃乾燥をしていたのですが、ある日シリカゲルを取り出してみると、不織布包装のシリカゲルが飛散していました。

フィルムタイプよりも不織布の方が高温に強いイメージだったのですが、不織布に使われている接着剤は高温に耐えられず崩壊してしまうようです。

崩れる不織布からシリカゲルが零れ落ちないようにすくい出しましたが、SUNLU E2内部にシリカゲルが落ちてしまい、ファンの細かいシリカゲル片がファンの部分にまで回ってしまったのか異音まで発生するようになってしまいました。
分解して奥に入り込んだシリカゲルの除去+ファンモータ注油
そんなわけで、買ったばかりのSUNLU E2ですが分解して清掃します。
SUNLU E2の分解は簡単で、底面の10カ所のネジを外すと底蓋を外せます。ネジ頭形状なのはトルクスなのでトルクスビットを用意しておきましょう。

底蓋を開けると、さらに制御基板とヒーターを分離するバンがあるのでそれも外します。ファンとバンを固定する6ヵ所のネジを外せば簡単に取り外せます。

配線をほどいてバンの側面を持ち上げると、ヒータファンにアクセスできます。シリカゲルを取り除いて、モータファンの軸の隙間からグリスを注油することで動作時の異音も収まりました。

フィラメントドライヤーとしては高価だが、必要なら買って損はない
今回のSUNLU E2を一言で言えば、最大110℃まで出せる高価なフィラメントドライヤーです。
性能面では申し分がない一方、サンテスラ公式オンラインショップでの販売価格は58,840円と高額です。ミドルクラスの3Dプリンタが買えてしまう価格帯で、フィラメントドライヤーとして見てもBambu Lab AMS HTを2台購入し、AMS増設用のAMSハブを追加してもまだお釣りが来るほどです。
筆者は2025年12月のクラウドファンディング超早割で入手できたため比較的抑えた価格で購入できましたが、定価で買うとなるとかなり躊躇する金額だと思います。
とはいえ、高温での予備乾燥が必要なPA-CFやPPSはフィラメント自体が高価で、造形品質を上げる目的ならSUNLU E2の価格も許容範囲だと感じています。特にPAは70℃乾燥だと時間的に厳しい場面が多く、90℃で一気に乾燥した方が作業効率の面でも有利です。
110℃ならさらに短時間で乾燥できますが、スプールの耐熱性には注意が必要です。一般的な樹脂スプールは耐熱が約60℃、耐熱樹脂スプールでも約90℃程度のことが多いため、急いで乾燥しようとしてスプールを変形させないよう気をつけたいところです。
SUNLU E2まとめ

SUNLU E2 フィラメント乾燥/アニールボックス
VOLTECHNO製品評価
(5 / 5)
最大110℃で乾燥できるフィラメントドライヤー
- 最大110℃でアニール処理にも対応
- 連続99時間のタイマーを搭載
- アニーリングトレイが標準付属
- 2重ケースでゆっくり冷える
- 筐体が大きいもののスプールは2本まで
- 製品価格が高価





