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3Dプリンティングの総合展示会 TCT Japan 2026レポート #TCTJapan

3Dプリンティングの総合展示会 TCT Japan 2026レポート #TCTJapan

3Dプリンティングの総合展示会 TCT Japan 2026が開催

TCT Japan 2026が、東京ビッグサイト(会場:東京都江東区 2026年1月28日~30日) で開催されました。

写真はTCT Japan 2020年のものです

今回のイベントレポートでは、積層型金属3Dプリンタやペレット式3Dプリンタがどのような動向にあるのかをレポートします。

積層型金属(BMD方式)3Dプリンタ

金属3Dプリンタは粉体成形を行うものが主流でしたが、最近はワックスやポリマーをバインダーとして固めた樹脂配合の金属材料を積層するBMD方式の金属造形3Dプリンタが広まっているようです。

筆者も電動工具に関わっている関係上、製品のPoCや試作開発に金属筐体の製造が手軽に行えればと考えていたので、手軽に金属造形が実現できそうなBMD方式の3Dプリンタの動向をチェックしています。

ちなみに、BMD方式はDesktop Metalの商標であり、業界としてはmetal FDMやMEX方式と呼称されることも多いのですが、本記事の中ではBMD方式として表現を統一します。

第一セラモ株式会社 CeraFila

第一セラモ株式会社が展開するCeraFilaは、Φ1.75mmのフィラメントを使用することでFDM方式の3Dプリンタで金属造形が行える金属3Dプリンタ材料です。

FDM方式の3Dプリンタで使われる一般的なフィラメントと同じ形状なので、PLAに対応する3Dプリンタであれば既存のほとんどの3Dプリンタで対応できるのが特徴です。

3Dプリンタで造形した後は、乾燥させた後に脱脂焼結炉に入れることで金属やセラミックスの焼結体を得ることができます。CeraFilaの収縮率は約20%程であり、専用の脱脂焼結炉として島津産機システムズ社のVHS-CUBEの使用が推奨されています。

造形材料は複数種類が展示されており、ブース内ではアルミナで作られたチェスが展示されています

ほかにも、ステンレス SUS316L/SUS630によるギヤやパイプの焼結成形品

開発中のフィラメントとして純銅フィラメントによるヒートシンクの展示などもありました。

CeraFilaの特徴としては、FDM方式の3Dプリンタが使えることによる導入コストの安さが挙げられるのではないでしょうか。

ほとんどのBMD方式の金属3Dプリンタは、専用3Dプリンタが必要になるため導入コストの時点で高価になるのですが、CeraFilaは既存のFDM方式の3Dプリンタが必要になるため、成型そのもののコストは抑えられるものとなります。

とは言え、BMD方式はバインダーとして配合されているワックスやポリマーを脱脂する必要があり、CeraFilaに関しても脱脂焼結炉が必須です。推奨の脱脂焼結炉である島津産機システムズ VHS-CUBEの価格はBMD方式金属3Dプリンタ以上の価格であるため、総合的な導入コストとしては「比較的安い」の位置に留まるものになりそうです。

そういう意味でのCeraFilaの強みとしては、価格の安いFDM方式の3Dプリンタの数を揃えることによって時間当たりの造形数量を稼ぐことが容易なので、造形待ちの時間を短縮し脱脂焼結炉の稼働率を上げられる点にあると考えています。

MetalPrinting GAUSS MT90

韓国のMetalPrinting社が展示していたのがGAUSS MT90です。

GAUSS MT90は専用シリンジ GAUSS INKを用いたBMD方式プリンタとなっています。対応材料も豊富で、展示品だけでもチタン・タングステン・銅・ニッケル・ステンレス・鉄と6種類の材料を展示していました。

説明員の方の話では、GAUSS MT90の金属配合率は90%近いものらしく、焼結の収縮率も約7~8%に抑えられているとのことでした。さらに脱脂焼結炉が不要で通常の電気炉でも対応できるらしいです。

シリンジ先端のノズルは最小で0.2mmに対応しており、指先程度の小型ギヤの成形も可能です。

展示ブース内のボードを見回ってみると、GAUSS MT90はアルミニウムにも対応しているとのことです。他方式での金属造形3Dプリンタでもアルミニウム対応は珍しいので、GAUSS MT90で対応できる用途はかなり広く出来そうです。

GAUSS MT90の本体価格は専用3Dプリンタであるため結構値の張るものでしたが、脱脂焼結炉が本当に不要であれば追加コストや設置場所の制限もなくなるので、導入コストは低い方ではないかと考えられます。

その一方で、使用する金属ペーストシリンジが比較的高価そうなのと、MetalPrinting社が韓国の研究開発型のベンチャー企業であるため、サプライチェーン面で若干の不安を感じるのが懸念点と言えそうです。とは言え、CES 2026イノベーションアワードも受賞した実績があり、対応材料の豊富さなども考慮すると、将来的な展開によっては十分あり得るものではないかと思っています。

Desktop Metal Studio System 2

元祖BMD方式のDesktop Metal社の金属3Dプリンタです。元祖と言うよりもBMD自体がDesktop Metalの商標だったりします。

Studio System 2は金属粉末入りの熱可塑ロッドを使用する方式で、造形には専用の3Dプリンタを使用します。

脱脂焼結に伴う収縮率は約20%ほどで、専用の脱脂焼結炉を用いて焼結成形を行う方式となっています。

Studio System 2はサポート接触面に成形材料と異なる材料を使用することが可能で、Bambu Labのサポートフィラメントのようにサポート材を簡単に剥離できる造形が可能なので、横穴やリブなどの形状にも対応できるのが特徴です。

下の写真は中央右が焼結直後の状態で、左が同じ部品のサポートを分離した状態の展示品となっています。

対応材料に関しては、鉄系材料が中心でステンレスや工具鋼、クロムモリブデンが使用でき、それ以外にも銅やチタンにも対応しています。

ペレット3Dプリンタ

最近、筆者がよく使用していたPA6-CFフィラメントが販売終了になり、代替として検討していたフィラメントも数ヶ月で購入できなくなり、フィラメントの調達に苦労しつつあります。

そういうサプライチェーンを安定させるためにペレット対応の3Dプリンタがあれば、PA-GFペレットを使用できるようになって調達面の不安もなくなり、あわよくば材料コスト削減もできるのではないかと期待して良いペレット方式の3Dプリンタがないかと見回ってみました。

株式会社システムインナカゴミ PIOCREATE G5 ULTRA

PIOCREATE G5 ULTRAは、開放型の大型ペレット3Dプリンタです。

本体上部にペレットを投入するホッパーがあり、そこから樹脂をノズルに供給して成形を行う構造になっています。

ブース内で展示されていたのが透明PETGで造形された椅子です。重量は4.3kg、造形時間は133時間です。ペレット式はこういう大物を造形しても材料コスト的にも抑えられるのが魅力です。

ブース内でもう一つ展示してあったのが、PETG製の花瓶です。重量は1.2kgで3mmノズルを使った4時間造形品だそうです。

この花瓶は、下側の透明度は高いのですが造形が上に進むに従って白くなっています。どうやら、造形中に吸湿して白くなったのではないかと説明員の方は話しており、ペレット方式だからこそ、綺麗な造形を行うためにはフィラメント以上の樹脂湿度管理わ求められることになりそうです。

システムクリエイト Tumaker

システムクリエイト社が販売するペレット方式3DプリンタがTumakerです。

この3Dプリンタはペレット方式としては珍しいデュアルエクストルーダに対応しており、さらに通常のフィラメント方式にも付け替えられるハイブリット方式です。

フィラメント

城東テクノ PP(ポリプロピレン)フィラメント JIZAI

城東テクノが展示していたのは、反りにくいPPフィラメント JIZAIです。

ポリプロピレンは耐久性が高く、吸湿性や耐薬品性に優れている素材ですが、収縮率が高く3Dプリンタでは使いにくい材料です。それ改善したPPフィラメントがJIZAIです。

JIZAIはタルクの配合によって形状の安定性を増したPPフィラメントです。成形時の剃りを減らしながらも、PPのもつ柔軟性を失わなわずに造形できるのが特徴です。

筆者の用途では今のところPPを使う予定はないので情報収集の段階ですが、液体関係の部品造形を行うときには良いフィラメントかもしれません。

印象として、PPは収縮率の関係から上手く造形するのに手こずりそうなので、PPフィラメントを使う機会があったらJIZAIを試してみたいと思っています。

ちなみに、JIZAIは楽天市場やYahooショッピングなどでも買えるようで、調達性も悪く無さそうなのも良ポイントです。

3Dスキャナ

Creality Seamoon P1

先日、Crealityのハイエンドスキャナ Seamoon S1のレビューを行ったばかりですが、Seamoonシリーズの新モデル P1が展示されていました。

P1はCreality 3Dスキャナ初となるハンドベルドタイプの3Dスキャナです。

ハンドベルドタイプの3Dスキャナは手軽さ重視でエントリークラスの性能の印象がありますが、P1はS1同等のスキャン性能を備えており、P1単体で60FPS、PC接続時で最大100FPSのスキャン性能を備えたモデルとなっています。

P1はCreality Scanに近いインターフェースを備えており、Creality製の3Dスキャナを触ったことがあればすぐに使える操作性を備えています。ちなみに展示会時点での言語設定は中国語と英語のみの対応でした。

裏面はスキャン面となっています。形状はS1に類似しており、スキャン方式はブルーレーザーのほか近赤外線スキャンにも対応しています。

上面は放熱メッシュと電源ボタンが備えられています。

側面はスキャンボタンとバッテリー着脱部です。バッテリーは満充電状態で最大4時間の動作が可能だそうです。

バッテリー自体は取り外しが可能で、本体からの充電のほかUSB Type-C端子を備えておりバッテリー単体での充電にも対応する仕様を備えています。

Seamoon P1は、Crealityの3Dスキャナシリーズの中で最もハイエンドな仕様になる3Dスキャナではないでしょうか。筆者はS1を使用していますが、S1を十分に動かすだけでもそれなりのPCスペックが必要なので、P1単体で60FPS出せる仕様となっている点を考慮すると、かなりの高スペック仕様であると想定されます。

実際に使用してみた感じでは、ハンドベルド状態のブルーレーザースキャンでも筆者が使用しているS1と同等のスキャン性能を持つ印象でした。少なくとも、PCに接続しなくてもスキャン作業に支障はないと言い切れるレベルの性能を持っていることは間違いありません。

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