
電動工具ブランド DCKを展開するビルディは58Vバッテリーの充電式園芸機器シリーズの取扱いを開始した。
DCK 58Vは高電圧・大容量バッテリーの装着に対応するリチウムイオンバッテリーの充電式園芸機器シリーズで、密集した雑草や広面積の刈払い作業に対する”エンジン機の置き換え領域”を担うシリーズとなっている。DCK 58Vのスプリット草刈り機 KDPH581を使用して実力を試してみた。
目次
DCKの高電圧バッテリー 園芸機器向け「58Vシリーズ」
「エンジン式の刈払機を使用しているが、最近の充電式も良さそうだーーー」
近年は各メーカーによる充電式園芸機器の展開が進んでおり、これまでエンジン式を使ってきた人の中にも、充電式への買い替えを考え始めている人は少なくないだろう。
リチウムイオンバッテリーで動く園芸機器は、登場当初こそ家庭向けの手軽さを重視したモデルが中心だった。しかしバッテリー性能やモーター技術の進化によって、今ではエンジン式と遜色ない出力を実現できるようになり、一部のモデルではプロ向けエンジン式を完全に置き換えるレベルにまで到達している。
特に、充電式の園芸機器で注目されているのが、エンジン式に必要だった混合燃料の準備や使用後のメンテナンスといった手間が不要で、バッテリーを装着して電源を入れるだけですぐに使える手軽さだ。加えて、動作音も大きく低減されており、街中や住宅地でも扱いやすくなった点も利点として挙げられる。
最近の充電式園芸機器の市場動向としては、充電式電動工具で一般的な18Vバッテリーからさらに高電圧化・大容量化した大型バッテリーによってプロ用途にも耐えうる製品を各社販売しており、ビルディが国内で販売するDCKブランドも58Vシリーズとして高性能な充電式園芸機器の製品展開を行っている。

DCK 58Vシリーズのバッテリーは、アーチ型構造のアーマーによってコンパクトながらも高い堅牢性を備えており、熱を効率的に逃がすエアダクト設計を備えることでバッテリーの熱による劣化進行の対応を行っているのも特徴となっている。

DCK 58V充電式スプリット草刈機で実力を見る
実際にDCK 58Vシリーズの実力を確認するため、充電式スプリット草刈機 KDPH581で刈払い作業を行い、使用感を確かめてみる。

KDPH581は、モーター駆動部と先端アタッチメントを差し替えて使えるスプリット式の草刈機だ。標準ではナイロンコードアタッチメントが付属しているほか、金属刃アタッチメントやポールソーアタッチメントなども装着可能で、他社製スプリット型刈払機と同様に多様な作業に対応できる仕様となっている。

出力性能はカタログスペックで1,200Wと記載されており、この数値をエンジン式に換算すると概ね2ストローク30ccクラスに相当する。一般的なエンジン刈払機の普及帯が23~30ccであることを考えると、KDPH581は十分に実用的なパワーを備えていると言えるだろう。
借り手のいなくなった家庭菜園跡地
それでは、実際にDCK 58Vスプリット草刈り機を使ってみよう。
検証は、借り手がいなくなった家庭菜園跡地で雑草の刈払い作業を実施。進め方としては、大まかな刈払いをチップソーで行い、壁際や農業用マルチシートが張られている部分はナイロンコードで仕上げを行っていく


58Vバッテリーのパワーもあって、密集した雑草でもブレードが止まることなく快適に作業が進められる。標準付属の金属刃ではなくチップソーを装着している。ビルディ公式サイト KDBC121販売ページ上の表記では「取付穴径:25.4mm、厚み1.6mm以上」の市販品のチップソーに取り付けが可能と記述されている。今回、装着しているマキタホワイトチップソーのような厚み1.5mm以下の場合には、北村製作所製ジズライザーワイド ZAT-H30A120を取り付けることで装着に対応する。

チップソーを使った刈払い作業は20分程度で完了したが、チップソーを避けたい場所に対してはナイロンコードアタッチメントに付け替えて作業を行っている。作業場所に応じて柔軟に対応できるのもスプリット草刈り機の強みだ。


今回の作業では5.0Ahバッテリーを使用している。チップソーでの刈払いだけなら十分な作業量を確保できるが、細かい部分ではON/OFFを繰り返したため、作業の終盤にはバッテリーインジケーターが残量1まで減っていた。それでも電圧降下によるパワー不足を感じることはなく、終始快適に作業を行うことができた。
アパート通用口前の通路&テラスの茂み
次の作業では、アパートの通用口の雑草の刈払い作業を行ってみた。

この作業は、人の往来が多い道路に面しており駐車している車もあるため飛散を最小限に抑える必要がある。飛散防止のためナイロンコードは積極的に使用できず、地面には石畳が埋まっているためチップソーも使用できないため、基本的には手作業で作業を行う必要がある場所だった。
そういう時に活用できるのが、生垣剪定に使用するヘッジトリマーアタッチメント KDHT211だ。バリカン形状のブレードはハサミのように刈り込むので飛散物を最小限に抑えられ、ノックバックの危険性も無いので周囲に対して比較的安全に作業を行うことが可能だ。


ヘッジトリマーでの草刈りは、バリカン部分を地面と平行になるように置いて横にスライドするだけで良いので、接触箇所が限られているチップソーや円周部に当てないといけないナイロンコードに比べて簡単に行える。ただし、密集部分の刈込は浮いてしまうため、深く刈込を行う場合には薄皮を剥くように何度か作業を繰り返して作業を進めていく。
ヘッジトリマで刈込ができる限界の深さまで草を除去した後に、石畳の上に這うようにして伸びてしまった雑草の除去も行うため、金属刃アタッチメント KDBC121にGF除草用ナイロンブラシを装着した。これは回転するナイロンブラシだが、ナイロンコードと異なり石畳の縁に当たることも無く、表面を磨くように動かせば草を除去できる優れものだ。



今回の場所の作業では、バッテリーに余裕があったためヘッジトリマーアタッチメントに付け替えてテラス脇の刈払い作業も行った。





この作業は特殊なブレードによる刈払い作業中心だったが、難なく作業を進めることができ刈払い作業の汎用性の点でも十分実用的なことが確認できた。ヘッジトリマーは雑草が太かったり密度が高い所には適さないが、低密度の雑草であればチップソーよりも素早く刈払い作業を進められるのも大きな利点だ。

ただし、ヘッジトリマやナイロンブラシによる作業は、刈り込んだ草を再切断してしまうことや地面との摩擦によって負荷が大きいことから、出力の低い充電式刈払機だと過負荷で作業が止まってしまうことも多い。しかし、DCK58V刈払機では過負荷で止まることも無く、この辺りは流石58Vで動作する刈払機と言ったところだろう。
性能だけではなくコストパフォーマンスにも優れたDCK 58V
以上、DCK 58Vスプリット草刈り機を実際に試してみたが、刈払機としての性能は申し分なく、スプリット式としての汎用性も含めれば、プロユースにも十分耐えうる製品だと言える。
性能面だけでなく、コストパフォーマンスの高さもDCK 58Vシリーズの大きな強みである。スプリット式の充電式刈払機は各社から販売されているが、その中でもDCK 58Vは出力性能とコストパフォーマンスの両立に優れており、特に園芸機器では必須となる予備バッテリーを比較的安価に調達できる点は大きなメリットだ。
製品名 | DCK KDBL5875 | DCK KDBL5850 | DCK KDBL5825 | A社 “288Wh” | A社 “108Wh” | B社”144Wh” |
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外観 | ||||||
バッテリー容量 | 375Wh | 252Wh | 126Wh | 288Wh | 108Wh | 144Wh |
希望小売価格 | 57,200円(税込) | 44,300円(税込) | 31,500円(税込) | 68,750円(税込) | 26,800円(税込) | 32,340円(税込) |
実売価格 | 39,100円(税込) | 30,300円(税込) | 21,500円(税込) | 48,125円(税込) | 17,547円(税込) | 21.021円(税込) |
1Whあたり容量単価 | 104円/Wh | 120円/Wh | 170円/Wh | 167円/Wh | 162円/Wh | 145円/Wh |
バッテリー容量と販売価格の1Wh当たりの単価(ビルディ価格基準)を算出すると、DCK 58V-7.5Ah(375Wh)の容量単価が最も安い。広い場所での作業においては予備バッテリーが必須となるが、バッテリーのコストパフォーマンスでは最も優れている
実際に使用してみても、刈払い作業で困るような場面はほとんどなく、性能的にも十分に信頼できるレベルに達していた。
もちろん、バッテリーの使い回しや先端アタッチメントの豊富さといった部分では競合他社に及ばない面もあるため、全ての用途に万能というわけではない。しかし、純粋な性能・コストパフォーマンスに加え、販売元のビルディだけでなく大手通販サイトからも容易に入手できる点を踏まえれば、製品選定の候補に加える理由としては十分だと考えられる。
高出力かつ大容量バッテリー対応の充電式刈払機を探しているのであれば、DCK 58Vシリーズもおすすめと言えるだろう。
提供: ビルディ株式会社
〒892-0834 鹿児島県 鹿児島市南林寺町6-17
ブランドサイト : https://dck-tools.jp/
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制作: VOLTECHNO 編集部