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2018年2月14日~16日に開催された「3D Printing 2018」で「Polysher & PolySmooth」の展示を見てきました。今回は、そのレポート記事です。
目次
3Dプリンタの積層跡を滑らかにするPolysher
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Polysherとは、FDM方式の3Dプリンタで発生する積層跡を、滑らかに処理するための表面加工機だ。
現在3Dプリンタで主流のFDM方式は、下から積層する方式のため、造形物にはどうしても積層跡が残ってしまう。この積層跡こそFDM方式の3Dプリンタが抱える限界の一つであり、フィギュアなどの展示物においては積層跡の処理が必要になってしまう。
現状、3Dプリンタで造形したものの積層跡を機械的に処理する方法は少なく、積層跡の処理は手動での薬品処理や、やすり掛けを行うのが一般的になっている。
Polysherはこの積層跡を機械的に処理できる表面加工機であり、薬剤による表面処理を行うことで積層跡を均一に処理し、手作業よりも数段滑らかな表面処理を行うことが出来る。
専用フィラメントPolySmoothをエタノールで溶かして表面を滑らかにする
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Polysherで表面処理を行うには、専用フィラメントのPolySmoothが必要だ。
PolySmoothはPVB(ポリビニルブチラール)樹脂のフィラメントであり、物性はPLAに近く同等の条件でプリントすることが出来る。そのため、一般的なFDM方式の3Dプリンタであれば問題なく使えるようだ。
また、表面処理に使う薬剤は、薬局などで入手可能なエタノールまたはイソプロピルアルコールが必要で、濃度は90%以上が推奨されている
Polysherの使い方
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Polysherの使い方は非常に簡単だ。PolysmoothでプリントしたものをPolysher内に設置して、エタノールを注入してボタンを押すだけで表面処理が始まる。
Polysherによる表面処理の原理は非常にシンプルで、エタノールを霧状にして充填させ、造形物の表面を溶解させるという仕組みだ。
原理上、プラスチックを溶解させているため、造形物の細かい部分のディテールなどは潰れてしまったり、形状によっては穴などが開いてしまうかもしれない。これついては処理時間やモデルなどのトライ&エラーが必要になるだろう。
Polysherの処理前・処理後比較
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これら全てPolysherで表面処理を行った造形品だ。FDM方式の3Dプリンタ特有の積層跡は奇麗に消えており、光造形3Dプリンタ以上の光沢があるのがわかる。
透明のフィラメントを使った場合では表面だけが透明で、中身が濁ったPolysher特有の表面処理ができる。
また、原理上Polysherは表面を溶解させて滑らかにする表面処理機なので、モデルや3Dプリンタの出力条件次第では透明な造形物も作れるようになるかもしれない。
Polysherまとめ
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Polysherは表面を溶解させてしまう原理上、寸法は大きく変化してしまうため、工業製品でのプロトタイプの部品などに適応するのは難しいだろうが、サーフェスモデリングを使ったデザイン用途であれば、非常に綺麗な試作品が提供できるようになるだろう。ちなみに、Polysherで表面処理を行うと塗料のノリが良くなるらしい。
Polysherは樹脂に対する特別な知識や技術を持たなくても、簡単に、しかも高品質な表面処理を提供してくれるツールだ。専用フィラメントこそ必要になるものの、FDM特有の積層跡を非常に綺麗に処理できるのは魅力的だ。専用フィラメントPolysmoothは通常のPLAやABSフィラメントより高価だが、造形後の後処理の手間を考えるのであれば、十分釣り合うレベルの価格だ。
FDM方式で残る積層跡は、3Dプリンタ造形物らしい雰囲気をもたらしてくれるが、やはりその残された段差が造形の障害となってしまうことも多い。日夜CADとやすりを片手に積層跡と戦い続けてる方は、一度Polysherを試してみるのはいかがだろうか。