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2020年9月16日

ACアダプタのコード断線を修理する方法、断線個所を特定してコード補修

ACアダプタのコード断線を修理する方法、断線個所を特定してコード補修

ジャンク品を修理したノートパソコンに使っていたACアダプタが使えなくなってしまいました。このACアダプタもジャンク品ですし、アダプタ自体が消耗品なので故障するのは仕方ありません。

しかし、新しいACアダプタを調達する間にノートパソコンが使えないのは不便なので、なんとか修理してみます。

ACアダプタのコード付け根から断線

ACアダプタの断線
丸の部分のケーブル曲がり方が悪く、曲げたときの感触も少し軟らかい。コード内部の芯線が断線すると、その部分の曲がり方が悪くなったり膨らんだりする

ACアダプタのコードが断線する場所は大体決まってて、殆どの場合コードの付け根かプラグの付け根です。特にコードアーマーやフェライトコアの付け根部分はコードで最も弱い部分です。また、コードの中間地点でも踏んだ跡や潰した跡から断線に至る場合があります。

コードの断線は外観をよく観察すると大まかな断線位置を推測できるので、まずは外見をじっくり確認するところから始めます。

今回のコードを観察すると、アダプタの付け根コードアーマー部分付近の曲がり具合が悪くなっています。おそらくここが断線しているはずなので被覆を剥いて確認します。

被覆を剥いてコードの状態を確認

断線したACアダプタの被覆を剥く
被覆を剥くと、やはりこの部分が断線していた。断線していたのは外被部分の線だけであった。

被覆を剥いて確認したところ、やはりこの部分が断線しています。

芯線が断線して要るものと推定していましたが、外被部分の-側の線だけが断線しており、内被の+芯線は断線していませんでした。

この状態であれば、外被の線だけを繋いで修理すればいいのですが…

内被側の心線も断線しかかっていた

+芯線をよく確認すると、内被も破れていて芯線が一部むき出しになっています。このまま内被の状態に気づかずに修理していたら、ショートしてACアダプタが破損したり運が悪ければ発火する可能性もあります。

修理プランを考える

状態を確認できたので、次はこのケーブルをどのように修理するかを考えます。

コード断線の場合は概ね、コードを繋ぎ合わせる方法とコードを交換する2通りの修理方法があります。

コードの断線を繋ぎ合わせる方法は、修理自体は楽に済ませられますがコード自体が劣化しているために、修理しても近いうちに同じような断線が発生する可能性が高くなります。

コードを交換する方法では、劣化したコードを交換するので確実に修理することができます。しかし、コードを交換するには溶着されているACアダプタを分解しなければいけませんし、コードとアダプタも調達しなければいけません。何より、コードアーマーもないのでまたすぐに断線してしまいます。

そんなわけで今回は、コード調達の手間やACアダプタを分解する手間を省いて、コードの断線を繋ぎ合わせて修理することにします。

ACアダプタの断線修理で用意するもの

  • はんだ
  • はんだこて
  • テスター
  • 熱収縮チューブ
  • ヒートガン(ドライヤーでも代用可)

ACアダプタの修理手順

被覆剥きとコードアーマーの処理

電源ケーブル

まず、内被を剥いて芯線を出します。

プラグ側のケーブルは芯線を出すことが出来るでしょうが、アダプタ側にはコードが残ってないため芯線を出すことが出来ません。そのため、コードアーマーを少し切り落として芯線が出るようにします。

コードアーマーを短くすると、その部分の曲げ負荷を受けやすくなってしまい断線し易くなってしまいますが、そこは後工程の熱収縮チューブでコードアーマーの代用にします。

熱収縮チューブを通す

絶縁のため、熱収縮チューブを通しておきます。

内被には厚手の接着剤付き高収縮の熱収縮チューブを使用します、高収縮のためはんだ付け部をしっかりと包むことができ、接着剤付きなのでずれることもありません。

また外被には、絶縁の他にコードアーマーの替わりになるように、2サイズの熱収縮チューブを使用します。

熱収縮チューブを使うときによくやってしまうトラブルですが、はんだ付けを行った後に「熱収縮チューブを通すの忘れてた!」なんてことのないようにはんだ付け前に忘れないように通しておきましょう。

内被側のはんだ付けと絶縁

断線した電源ケーブルのはんだ付け

はんだ付けで内被の芯線を繋ぎ合わせます。芯線が太いためかなりの量のはんだが吸い取られますが、はんだがまんべんなく行きわたるようにしっかりとはんだ付けしましょう。

断線した電源ケーブルを熱収縮チューブで処理

はんだ付けが終わったら、次は熱収縮チューブを収縮させて内被の処理は完成です。目視で線がはみ出ていないことをしっかりと確認しましょう。

外被側のはんだ付けと仕上げ

電源ケーブルのはんだ付け

次は外被側のはんだ付けです。元のケーブルの状態と同じように、包み込むようにはんだでつなぎ合わせていきます。イモはんだになると尖った部分ができて熱収縮チューブを破ってしまうので、はんだの濡れがいいうちに手早く済ませます。

高収縮熱収縮チューブ

はんだが完了したら熱収縮チューブを収縮させます。

コードアーマーの代用に熱収縮チューブ

最後に、さらに大きいサイズの熱収縮チューブで処理して完成です。切り落としたコードアーマーの完全な代わりにはなりませんが、ある程度は持たせることができるでしょう。

通電する前にテスターで確認を

ACアダプタコード修理の短絡確認

通電する前にショートしていないか確認します。テスターを抵抗値測定モードにして、抵抗値が十分高いことを確認します。

修理したACアダプタの無負荷電圧確認

念のため、無負荷で通電したときの出力電圧を確認します。定格と同じ電圧で出力されていれば実際に使用しても問題ないでしょう。

まとめ

修理したACアダプタは以前修理したジャンクノートパソコンASUS K53Eに使用していますが、問題なく充電できているのでとりあえず修理はちゃんとできたようです。

この修理方法ははんだ付けで結線している都合上、曲げや衝撃に弱いという欠点が残っています。また、コード全体も劣化しているようなので、ACアダプタに巻くような荒い使い方は出来れば避けた方がよさそうです。

このようなACアダプタの断線はコード自体が劣化していることが多く、根本的にはACアダプタの交換が一番理想なのですが、古い機種や特異な形状のACアダプタを使用している製品などではACアダプタの入手が難しい場合もあるので、修理を繰り返して使わざるを得ない場合もあるでしょう。

自分も、ACアダプタの各社汎用性の無さに色々泣いてきている方なので、早いところ各社メーカーはUSB PDのProfile 5(20V 5A)機器のような汎用的な規格が普及してくれるのを願っています。

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