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2019年8月23日

過電圧や静電気から回路を保護する【逆引き回路設計】

過電圧や静電気から回路を保護する【逆引き回路設計】

ダイオードで過電圧から回路を保護する

この回路は、外部からの入力線などにダイオードを追加する事で、回路の電源電圧以上の電圧が加わった場合に、その影響を抑え電子部品の破損を防ぐ保護回路です。電圧を制限する点から「クランプ回路」と呼ばれます。

完璧な保護は不可能ですが、静電気やサージ、過電圧に対して非常に高い効果を得られます。

クランプ回路は、人体から操作基板を経由する静電気保護や、端子接点から侵入するサージ保護などにも活用されます。

クランプ回路にはショットキーバリアダイオードを推奨

クランプ回路は、正電圧側で「電源電圧+ダイオードVF」以上、負電圧側で「GND-ダイオードのVF」以下の電圧を制限する回路です。

そのため、回路に使用するダイオードには順方向電圧VFと接合容量CJの小さい「ショットキーバリアダイオード」を使うことで高い保護性能を得る事ができます。ただし、ショットキーバリアダイオードは漏れ電流も大きいため、アプリケーションによっては「小信号用ダイオード」の採用を検討します。

ショットキーバリアダイオードを使用する場合は、ダイオードをそのまま置き換えて使用する。ショットキーは漏れ電流が大きいので、回路動作に異常が出る場合は小信号用ダイオードなどの使用を検討する

クランプ回路で保護を行う場合の注意点

この保護回路は広く使われ実績もありますが、ダイオードの接合容量CJがコンデンサとして振る舞うため、ローパスフィルタとして動作してしまう点に注意が必要です。

スイッチ入力の保護として使用する場合には支障はありませんが、高周波信号をやり取りするコネクタの保護などに使用している場合には、カットオフ周波数に注意が必要となります。

また、ダイオードは逆方向電圧の場合でも多少の漏れ電流が発生するので、シャント抵抗から電流計測を行う回路に使用する場合には誤差要因となるため注意が必要となります。

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