普及が進んでいるUSB Type-Cコネクタ。今回はType-Cの給電規格「Type-C Current」から5V電源を取り出す方法を解説します
目次
CC端子の5.1kΩプルダウンで5Vを取り出す
USB Type-Cの給電コネクタは、コールドソケットと呼ばれる機能を搭載しており、VBUSを接続しただけでは給電がしない仕様になっています。
Type-Cコネクタで策定されている給電規格の一つ Type-C Currentでは、Type-C端子のCC(Configuration Channel)ピンを5.1kΩの抵抗でプルダウンして5V電源を取り出す仕様を備えています。
実際の回路には判別回路と電流検知を
Micro USB端子は給電規格が複雑化しているため判別が難しく、PCやスマホなどの高価な機器に接続される場合もあるため電源として採用することは難しかったのが欠点でした。
一方、Type-C Currentは仕様も明確に決められているので、電源種別の判別も簡単に行うことができます。USBから電源を取る場合には、USB給電能力の判別と電流検知を搭載する過電流保護回路を必ず搭載するようにしましょう。
Type-C Currentの給電側の判別は下記表に基づいて定められているため、充電器側のプルアップ抵抗と機器側の5.1kプルダウン抵抗の分圧電圧を測定することによって、給電側供給能力の判別が可能です。
USB BC(Type-A to Type-C) | Rp=56kΩ |
USB Type-C Current@1.5A | Rp=22kΩ |
USB Type-C Current@3A | Rp=10kΩ |
USB Power Delivery | PDCで判別 |
USB PD充電器が備えるコールドソケットに注意が必要
最近はType-Cコネクタを備えるUSB機器も増えていますが、「Type-AからType-Cに変換するUSBレガシーケーブルなら動くのに、C to CのUSB PD充電器では通電しなかった」なんて経験がある方も多いんじゃないでしょうか。
USB PD対応の充電器も「コールドソケット」と呼ばれる仕様が定められており、機器が接続されていない時にはVBUS出力を停止するようになっています。USB PD充電器で給電を開始するためにはUSB PD準拠の通信が必要ですが、ほとんどのUSB PD充電器はType-C Current準拠の回路構成でも5V給電を行う仕様になっています。
動かないType-Cコネクタ搭載機器は、分解してCC1とCC2端子に5kΩ抵抗を追加すれば良いのですが、CC端子を省いたType-Cコネクタも存在するので、改造の難易度は高い傾向にあります。