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話題の3Dプリンタ Bambu Lab X1-Carbon Comboを購入
約7年ぶりに新しい3Dプリンタ Bambu Lab X1-Carbon Comboを購入しました。
筆者はこれまでHICTOP 3dp-20 (Creality 初代CR-10)を長年使用していたのですが、エンクロージャーがない3Dプリンタをスタイロフォームで覆うなど無茶な使い方を続けていたためか最後には動かなくなってしまい、これを機に新しいモデルへ買い替えることにしました。
新しい3Dプリンタの購入に関しては、ナイロンフィラメント造形にも対応できるデュアルエクストルータ搭載モデルを考えていたのですが、十分な印刷品質といい感じの予算感の3Dプリンタがいまいち見つからなかったので、最近話題の3DプリンタメーカーであるBambu Labの焼き入れノズル標準付属モデルのX1-Carbonを選びました。
せっかく新しい3Dプリンタを買うので、フィラメント自動交換機のAMS付属のComboモデルにしてみたところ、これがまた自分の中で大ヒットしてしまい、AMS無しの3Dプリンタ時代には戻れないまでになっています。
そんなわけでBambu Lab X1Cを購入してから約600時間ほど造形したので、ここまでの使用感をレビューします。
最新モデルの3Dプリンタは「とにかく楽」の一言
筆者が以前使用していた3DプリンタはCreality 初代CR-10です。古い3Dプリンタとの比較なのでこれから述べる内容はX1Cに限った話ではないのですが「Bambu Labの3Dプリンタはとにかく運用が楽」というのが伝わればと思います。
自動キャリブレーションやベッドレベリングが便利
Bambu Labの3Dプリンタにはベッドとノズル間の隙間を自動的に補正してくれるベッドレベリング機能があります。オートベッドレベリングは3~4年前からメーカー問わず多くの機種に搭載されるようになった機能であり、今となっては3Dプリンタの標準搭載として当たり前になっているのですが、造形前の調整手間を減らせるので無くては機能となっています。
さらに、X1Cではフィラメント流量や共振特性などを自動で調整してくれるメンテナンス機能もあるので、造形前の調整にかかる手間をほとんど必要としません。
PEIプレートが造形品の取り外しが速くて簡単
最近の3Dプリンタ界隈では、PEIと呼ばれる表面特殊加工が施されたビルドプレートが普及していたようです。X1Cも標準でPEIプレートが付属しています。
筆者はこれまでガラスプレートを使った経験しかなかったのですが、PEIプレートの定着性は優れており使いやすいビルドプレートなのを実感できます。
プレートは磁石で固定する構造になっていて、造形完了後のプレート取り外しも容易です。薄いPEIプレートならプレートを曲げて造形品を剥がせるので造形後の樹脂片なども容易に除去できます。
多色印刷だけじゃない、AMSのフィラメント管理が楽
Bambu Lab 3Dプリンタの最大の特徴こそ、複数のフィラメントを自動で切り替えてくれるAMSの存在です。
AMSは造形中でもフィラメントを自動で出し入れしてくれる周辺機器です。AMSは4色のフィラメントの切り替えを可能としており、さらにオプションAMSを追加すれば最大16色の多色造形も可能になります。
筆者は多色造形を使用しないので、AMSはキワモノ寄りな技術だと思っていたのですが、実際に使ってみるとフィラメントのセットやフィラメント設定、補充の手間などフィラメント管理が容易になったので、今となっては無くてはならない存在となっています。
サポートフィラメントの活用でサポートが多い造形でも綺麗に造形できる
AMSを使った造形のもう一つの利点が、サポート材用フィラメントを使った造形にも対応できる点です。上の写真は、PolySupport for PA12をサポート接触面に使用して取り外したサポート部分です。
サポート材用フィラメントとは、3Dプリンタ造形時のサポートを剥がしやすくした特殊なフィラメントです。代表的なサポート材用フィラメントには水に溶けるPVAですが、最近は程よい定着性で造形完了後にそのまま剥がせるサポート材も普及しているようです。
Bambu Labのスライサーは、サポートとモデルの間の接触部にのみサポート材を使う設定もあるので、AMSによるフィラメントの交換回数を最小限に抑えつつ、サポート材用フィラメントを上手く使うことができるようになっています。
Bambu Studioの遠隔操作が便利
これも今となっては珍しくない機能ですが、Bambu Lab 3Dプリンタ専用のスライサー Bambu Studioはネットワーク接続機能に対応しており、クラウド経由で3Dプリンタの造形を開始できます。
普段の造形を行っていないときは、PLAとPLAサポート、PA-CFとPAサポートの4種のフィラメントをAMSに装着しているので、外出先からでもBambu Studioのクラウド経由で造形を開始でき、いつでもどこでも造形を開始できるようにしています。
X1Cでは造形中のカメラを使ってPCやアプリ上で造形状態を目視で確認もできるので、何かの異常があったら遠隔で止めることもできます。
Bambu Lab X1Cで発生した造形中のトラブル
X1Cの造形で発生しただいたいのトラブルはフィラメントを原因とするAMSのせいです。このあたりのトラブルは、劣化していない適切なフィラメント運用で回避できます。
5年物のPLAフィラメントを使ったらAMS内部でバキバキになった
5年前に使用していた劣化の進んだPLAフィラメントをAMSに装着したら、AMS内部でバキバキになって詰まってしまいました。写真だそちょっと分かり難いんですが、ホース内部に白フィラメントが折れて詰まっています。
AMS内部で折れると大体変な所に残ってしまうので、分解してフィラメントを取り除かなければいけません。下の写真も分かり難いんですが、一番右のホースにうっすらフィラメントの破片が残っています。
AMSでのPVAなど柔らかいフィラメント切り替えがうまく行かない
AMSはPVAやTPUなどの柔らかいフィラメントの仕様は非推奨となっています。
実際にPVAフィラメントをサポート材にして造形してみたところ、フィラメントが柔らかい影響か既存のフィラメントを押し出す力が足りず、詰まりの警告が表示されてしまいました。
AMSからの押し込みが足りないだけなのでフィラメント詰まりの計画が表示されても4~5回くらい根気よくリトライするといつかは押し出されて動き出すこともあるのですが、実用上現実的ではないのでやめた方が良さそうです。
フィラメントがリールから全部抜けないと自動補給が動かない
AMSで造形を行うと、フィラメントが無くなっても同じ種類のフィラメントがAMSに装着していれば自動的に切り替えて造形を続けてくれます。
ただし、AMSでフィラメントを切り替えるにはスプールからフィラメントが完全に抜ける必要があります。例えば、スプールの穴にフィラメント端が引っかかって抜けないとAMSがフィラメント切れを検出できず、エラーが表示されてしまいます。
AMSにフィラメントを装着する前には、スプールの穴から見えているフィラメント端を切り落としておくのが良いかもしれません。
2024年11月追加:稀にスライサーが変なG-codeを吐く(気がする)
少し困っている現象として、稀にX1C本体から異常音がしてエクストルーダ―カバーの脱落や造形可能範囲外に移動したことで積層ずれが発生してしまず造形不具合に遭遇してしまう場合があります。
この現象は、造形不具合を起こしたデータで再度造形すると同じ個所で発生することまでは確認しており、再度スライサーを実行して新しいG-codeで造形すると正常に動くので、恐らく3Dプリンタの機械的な不具合ではなくBambu Studioに何かしらの異常な要因があるものと推測しています。
現状、「STEPデータを使用」「サポートを含む2色以上の造形」「スライス時に負荷の高い作業を行っている」で動作異常を含む挙動が確認しており、1造形当たりの時間が長い時などはSTLデータで造形するなど注意して使用しています。
Creality K1とも迷ったが、Bambu Lab X1Cで大満足
今回の3Dプリンタを購入するとき、Creality K1シリーズとも迷っていたのですが、Bambu Labにした決め手はBambu Lab製品の方が色々と楽そうだと思ったためでした。
Crealityの3Dプリンタはコミュニティやサードパーティのアクセサリ分野も活発で、その中にはroot化やカスタムファームウェアなどもあり、非公式な部分での調整自由度が高いのも一つの特徴となっています。
とは言え、筆者は3Dプリンタの造形技術を極めたいタイプでは無く、プロダクト製作のために造形物を必要としているタイプの3Dプリンタユーザーです。
実際、CR-10を使用していた時も色々カスタムはしていたのですが、うまく行かないことや手間やコストをかけた割に良い造形に繋がらなかったことも多かったケースもあったので、色々な試行錯誤を繰り返すことで本来以上の実力を発揮できるCrealityよりも手間をかけず実力が発揮できるBambu Labに魅力を感じました。
筆者の3Dプリンタ造形は、主にPA-CFフィラメントを多用しており造形頻度もそこそこ多い方です。
ナイロンを使った造形の場合、造形速度を早く取れないので、高速3DプリンタとしてのBambu Lab X1シリーズの利点はあまり活かせないのですが、24時間以上の連続造形になることも多いので、AMSのフィラメント自動切換には本当に助けられています。フィラメントの構成をPA-CF×2巻+PAサポート×1巻にすれば、48時間以上の造形時間でも無人稼働が可能です。
X1Cは高価な3Dプリンタで購入先もBambu Lab公式ストアなどに限られているモデルではあるのですが、3Dプリンタとしての安定性や遠隔操作機能、そしてAMSによるフィラメントの自動切り替え機能などの機能に頼るシーンも多く、今となってはX1C+AMSの組み合わせの無い時代には戻れなくなっています。