Robert Bosch GmbHは、2023年10月に18Vバッテリー ProCORE18V+ 8.0Ahを発表した。タブレス構造の21700リチウムイオンセルの採用により最大出力が2,000Wまで向上し、最大71%のコードレス電動工具の性能向上を実現する。日本地域での発売は未定。
記事内で紹介する製品は海外地域の製品情報を元に構成しており一部不正確な内容を含んでおります。本製品の日本での正規販売は行われていません。ボッシュ日本法人及びボッシュ電動工具取扱店へのお問い合わせはお控え下さい。
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8.0Ahサイズで2,000Wの最大出力に対応するProCORE18V+ 8.0Ah
Robert Bosch GmbHは、タブレス構造の21700リチウムイオンセルを採用するProCORE18V+ 8.0Ahバッテリーを発表しました。
ProCORE18V+ 8.0Ahは、ボッシュ初となるタブセル構造のリチウムイオンバッテリーセルを採用する8.0Ahのプロ向け電動工具用バッテリーです。
従来のタブによるリチウムイオンバッテリーセルに変わり、タブセル構造とすることでバッテリーセル自体の内部抵抗が約50%減少し、バッテリーの発熱が36%減少、倍ターボ電動工具と組み合わせて使用することで稼働時間は最大で71%向上できるとアピールするバッテリーです。
バッテリー仕様は18V-8.0Ahで、日本市場での発売時期は未定です。
バッテリーセルのタブレス構造で最大出力性能が向上
今回のProCORE18V+ 8.0Ahバッテリーで採用しているのがタブレス構造です。
EVの動向に詳しい人なら聞いたこともあると思いますが、タブレス構造とは2020年頃に米Tesla社が発表した円筒型リチウムイオンバッテリーセルの新構造として話題になった技術です。
従来のリチウムイオンバッテリーは正極と負極となるシートにタブを取り付けて、そこから電極に接続してプラスとマイナスの端子を取り出しています。この構造は二次電池としては伝統的な構造ですが、大電流放電時にはタブにエネルギーが集中してしまうため、タブ自体の発熱やエネルギーロスが発生します。
今回のタブレス構造では、正極と負極そのものを電極に接続したり、いくつものタブを接続することで効率よく電気が流れるようになり、電極での発熱の影響を最小限に抑えられるものとしています。
タブレス構造のリチウムイオンバッテリーセルとしては、今回のボッシュが採用した21700セルのタブレスバッテリーではありませんが、テスラの4680セルを分解して検証している海外動画配信者の動画があるので紹介します。
大電流時の稼働時間向上と長寿命化に期待
現行のProCore18V 8.0AhとProCore18V 8.0Ahは、カタログスペックで大きな違いはないものの、稼働時間と製品性能が最大で71%向上できるとアピールしています。
タブレス構造はバッテリセル内部の構造を変える技術に留まり、リチウムイオンバッテリーそれ自体の性能を向上するものではないのですが、大電流放電になればなるほどタブによるバッテリー自身の損失が減るので、高負荷な電動工具であるほど優位となる構造です。
そういう意味でタブレス構造のリチウムイオンバッテリーセルは、電動工具で必要とされている小型化と高出力性の両立を実現する技術として、今後の電動工具メーカーにとって必須の構造となっていくのかもしれません。