プリント基板にリード線をはんだする人は多いと思います。1点物の回路ならまだしも、数個作る場合や保守性が必要になってくると、リード線を直接はんだ付けしてしまうと手間になってしまう事が多いです。
コネクタを作れば、見た目も美しく、配線の引き回しや組立分解なども簡単になるため、メリットは非常に大きくなります。
目次
配線の接続ははんだ付けだけじゃない、コネクタも作ってみよう
電子工作で配線を繋ぐとき、何を使って配線しているでしょうか。リード線とはんだごてさえあれば結線できる手軽な「はんだ付け」がよく使われると思います。
配線するだけならはんだ付けでも問題ありませんが、ケースに組み立てる時や、配線間違い・断線などで修理するときに、はんだごてを取り出して銅線にはんだコーティングして、そしたらリード線の長さが足りなくなって…なんてこともよくあります。
圧着で作れるコネクタは、こんなトラブルを未然に防げる非常に便利な存在です。圧着端子を使ってコネクタを作る利点は「結線が簡単になる」「組立分解しやすくなる」「見た目が良い」などの様々なメリットがあるので、ぜひ挑戦してみましょう。
条件さえ整えば、はんだ付け以上の信頼性がある圧着
圧着で思い浮かぶイメージとして「線を潰すだけ」「強度がなさそう」などが挙げられますが、実際の圧着接続は非常に信頼性が高く、はんだ付けよりも高い耐久性を持っています。
その高い信頼性の理由には『素材』と『工具』が挙げられます。圧着端子の金属素材は銅で作られていて、銅線の素材と同じです。そのため、熱膨張率をはじめとした様々な特性が銅線と近く、熱や化学反応も使わず圧着できて、一体成型で作られる圧着端子は非常に信頼性が高いのです。
プロ用圧着工具では、均一な圧力がかかる構造によって作業者にるバラつきを抑えており、安定した圧着接合ができるにようなっています。
圧着するリード線に予備はんだや単線の使用は厳禁
圧着するリード線に対して予備はんだは厳禁です。圧着は端子と芯線が機械的に一体化する必要があり、その間に異物(はんだ)が混じってはいけないのです。また、圧着後にはんだを流すのも電気的・機械的な大きなメリットはありません。
小さいコンタクトを使用する場合においては単線を使用してはいけません。
圧着はコンタクトの残留応力と潰された電線が元に戻ろうとする力のつり合いによって強固な接続を実現しているためです。この強固な接続には隙間があってはならず、単線の場合だと撚り線のようにきれいに圧着部に広がらず、圧着の強度が減少してしまいます。
電子工作向けのオススメ圧着ペンチ
圧着ペンチには様々なものがありますが、電子工作で使用するのはダイスが小さい精密圧着ペンチです、ホームセンターで販売されている圧着ペンチは電気配線用なので注意が必要です。
精密圧着ペンチにはさまざまなメーカーがありますが、定番モデルのENGINEERのPAシリーズがおすすめです。
電子工作のオススメ圧着コネクタ
コネクタの代表メーカーは日本圧着端子製造株式会社(通称 JST/日圧)です。
JST純正のコネクタは品質が高くて価格もお手頃ですが、コンタクト・ハウジング・メスコネクタ等が別々で販売されているので入手性は良くありません。
電子工作向けとして互換品も販売されているので、まずはそちらを使ってみるのがおすすめです。互換品の場合、データシートに規定されている仕様がJST純正品と異なる仕様の場合もあるため、信頼性や大電流を流す用途では注意してください。
XHコネクタ
- 定格電圧250V AC・DC
- 定格電流3A AC・DC
- 適応電線範囲 AWG #30~#22
2.5mmピッチの汎用コネクタです。NHと呼ばれるコネクタを小型化したタイプで、汎用的な用途ではXHコネクタにとって代わられつつあります。
XHコネクタはサイズも小さくて使いやすく、抜け止めの爪もついているので多少の振動では抜けないという特徴を持っています。
QIコネクタ(2250コネクタ)
ピッチがユニバーサル基板と同じく2.54mmピッチなので電子工作で最も使いやすいコネクタです。
ArduinoやRaspberry Piのピンヘッダにもそのまま差し込めるため、差し替えが多い場合には、このQIコネクタを使用するのがおすすめです。
ただし、抜け止めがなくピンの接触圧だけで固定されているので簡単に抜けてしまうので注意が必要です。
圧着してコネクタを作る方法
圧着する作業自体は簡単です。
圧着する金属部品のことをコンタクトと呼びます。
作業は圧着ペンチにセットして握るだけで圧着は完了し、ハウジングと呼ばれるプラスチックの部品にはめ込めば完成です。
下の写真は、QIコネクタをAWG26のリード線を圧着している所です。圧着ペンチにはダイス交換式のPAD-11を使用しています。
圧着のポイントと圧着失敗例
作業内容としては非常に簡単な圧着ですが、気を付けなければ接触不良状態になったり、断線したりとトラブルを起こすこともあります。圧着を上手く行うコツは「位置決め」と「力加減」です。