VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2021年4月4日

Ah? Wh?とは。リチウムイオンバッテリーの容量の考え方

Ah? Wh?とは。リチウムイオンバッテリーの容量の考え方

スマートフォンからモバイルバッテリーまで、今やモバイル機器は生活に切り離せないデバイスとなっています。電話からブラウジング、ゲームSNSまで色々な事をスマホ一個でできるようになった現在、モバイルバッテリーを持つのも一般的になりました。

今回はモバイルバッテリーや電動工具のバッテリーなどに記載されている、バッテリー容量の表記について解説します。

バッテリーの容量を表すmAhってどんな単位?

モバイルバッテリーやスマホに記載されている「mAh」を見ると、数字が大きいほど「バッテリーが持つ!」とか「大容量!」と大きく書いてあるため「この数字が大きいほど容量も大きいんだな」とざっくり理解している人は多いと思います。

このバッテリー容量を表している「mAh」について解説します。

mAh は電流を1時間(h)流し続ける能力を表す単位

このスマホによく記載されている「mAh」は「ミリ アンペア アワー」と読みます。

3つの単位にはそれぞれ別の意味があり、全て組み合わせることでバッテリーの容量を表しています。

「A(アンペア)」は理科で習う電流の単位を表すアンペアです。

「m(ミリ)」は千分の一を表す記号で、1,000ミリで1になります。

「h(アワー)」は1時間を表す英単語 hourを指しており、そのまま1時間を表す。

この3つを組み合わせると「mAh(ミリアンペアアワー)」になります。mAhとは「〇〇mAの電流を1時間流し続けられる」を表す単位となります。

「3,000mAh」なら3,000mAを1時間流せることを表す

例えば、3000mAhの容量を持つバッテリーの場合、3,000mAの電流を1時間流し続けられることを表します。

では、電流を変えるとどうなるでしょうか。

電流を1500mAに減らすと、放電できる時間は倍の2時間になります。逆に電流を倍の6000mAにすると放電できる時間は30分になります。

バッテリー電圧が異なる場合はmWhで比較する

ここでバッテリー容量を比較する別の例として、電動工具用のバッテリーを考えてみましょう。

例えば、18V-5.0Ahバッテリーと 36V-2.5Ahバッテリーはどちらが容量が大きいでしょうか?

答えは「どちらのバッテリーも容量は同じ」です。

バッテリー容量を表す単位はmAhなので、単位の大きい18V-5.0Ahバッテリーの方が容量が大きいと考えてしまいますが、「mAh」は「同じ電圧のバッテリー」の容量比較にしか使えない単位です。

電圧の違うバッテリー間で容量を比較する場合は、ミリアンペアアワー(mAh)ではなくミリワットアワー(mWh)で考えなければいけません。

mWh(ワットアワー)とは、Ahに電圧(V)を掛けた単位です。

先程の例だと、18V-5,000mAhのバッテリーをmWhに変換すると90,000mWhになり、36V-2,500mAhのバッテリーをmWhに変換するとこちらも90,000mWhになり、バッテリー容量は同じになります。

電圧が異なるバッテリー機器間のmAh換算

最後に、mWhを使って、電圧が異なるバッテリー間で容量を換算する方法について紹介しましょう。

バッテリーの容量を表しているmAhは、mWhを経由すればmAhに換算できます。例えば、下記の例でそれぞれのバッテリーの容量をmWh換算すると、以下のようになります。

この計算したmWhを、動作電圧で割ると、その動作電圧でバッテリー容量がどれくらいになるかを計算できます。

例えば、18V-6,000mAhのバッテリーを携帯電話に充電する場合を考えてみましょう。携帯電話のリチウムイオンバッテリーは3.6Vで動作しているので108,000mWhを3.6Vで割るとmAhに換算できます。

18V-6,000Ahのバッテリーを3.6Vバッテリーとして換算すると、30,000mAhの容量を持つことになりなります。

このように、一般的にはバッテリーの容量表記の単位にはmAhやAhが使われていますが、バッテリーの電圧が変わると一概に比較することが出来なくなるので注意しましょう。

Return Top