Amazonで電動工具を検索すると、上位のページにKIMOと呼ばれる電動工具メーカーの製品が並びます。低価格で性能も良さそうでシリーズ展開もされていて魅力的に見えますが、本当に使える製品なのか気になるところも多いと思います。本記事ではKIMOの製造国や販売元、メーカーの評価について解説します。
目次
KIMO 通販サイトを中心に存在感を増す電動工具ブランド
ここ1年の間に、Amazonで急速に存在感を増した電動工具ブランドがあるのをご存じでしょうか。緑色のボディが特徴の電動工具ブランド「KIMO」です。
KIMOは低価格電動工具ブランドでありながらバッテリーを共通化したシリーズ展開を行なっており、20Vシリーズのほかに12Vの電動工具シリーズまで製品展開を進め、国内の電動工具プライベートブランドに近い製品ラインナップを揃えています。
主要な通販サイトではスポンサープロダクトとして優先的に検索画面に表示されるブランドで、電動工具を探すとKIMOの電動工具が表示されます。
KIMOは中国の電動工具メーカー、1998年創業の企業
KIMOは2019年から展開が進められた電動工具ブランドで、海外Amazonの取り扱い開始日も2019年以降で、それ以前の情報がありません。電動工具ブランドとしては新興のブランドです。
公式ホームページ(www.kimotool.com)を確認すると、記載されているのは米国法人の情報のみで、生産工場の情報や資本関係等の記載はなく、KIMOブランド発足の経緯から経営の実態までに至る一切の情報がありません。
企業情報ページ内には「1990年代に設立された」と記載されています。
KIMOブランド設立を推測すると、欧米・日本の電動工具部品下請けメーカー、または中国国内のローカル電動工具メーカーが自社製品のグローバル化・ブランディングを目的に発足させた新たな電動工具ブランドと推測しています。
※2020年4月14日追記(Twitter上で詳細についてご指摘を頂きました)
KIMOは中国の電動工具メーカー「永康市奇磨电动工具有限公司」によって展開される電動工具ブランドです。永康市天海工業区に位置する1998年創業の電動工具メーカーで中国国内ではQIMOブランドとして流通しています。
リンク先:永康市奇磨电动工具有限公司 https://www.qimotools.com/
スペックの過大表現や安全・構造の不安点もあるため要注意
KIMO電動工具は取扱説明書や製品PVの日本語ローカライズもされており、日本市場を強く意識した製品展開が行われています。
ただし、いくつかの製品は仕様及び製品の用途や用途に過大な表現があり、実際の製品スペックそれ自体も国内品同等または国内品以下と推測されます。
KIMO電動工具ラインナップ
KIMOの電動工具は低価格な電動工具としては珍しく、バッテリー共通の電動工具シリーズ展開が行われています。
日本ではKIMOシリーズ電動工具の一部しか展開されていませんが、今後の日本市場でのラインナップ拡充が期待されます。
KIMO 「20V SHARE」シリーズ
20Vシリーズでは、全12製品がラインアップされています。海外はリチウムイオンセルを1セル4Vで表現するので、実際は国内と同じ18Vバッテリーです。
このうち、日本のAmazonで販売されているのはインパクトドライバ・ドライバドリル・レシプロソー・ブロワの4機種です。
KIMO 「12V SHARE」シリーズ
12Vシリーズは、8機種の製品がラインナップされています。こちらも12Vと記載されていますが、実際は10.8Vバッテリーです。
日本Amazonでは、インパクトドライバ・ドライバドリル・レシプロソーの3機種が販売されています。
日本に到来した中国電動工具ブランド、未熟な点も多い
これまで、中国製低価格電動工具はAmazonや楽天などのECサイトで単発的に販売はされていたものの、シリーズ製品としてのラインナップ展開は行われていませんでした。
KIMOブランドは、製品を見る限り従来の中国メーカーより高品質な印象があり、これまでの中国製の電動工具のイメージを覆す電動工具ブランドになると将来性には期待しています。製品だけで評価すれば、KIMOは価格からすれば高品質な電動工具を展開しておりコストパフォーマンスに優れた電動工具メーカーの印象を受けます。
製品以外の観点では、製品安全やスペック表記の詐称が多く「企業倫理やコンプライアンスに問題あり」と評価されます。安全性やPLリスクの観点からも、これ以上の製品ラインナップ強化も難しいと考えられ、総合的には国内メーカーに一歩及びません。
電動工具はモーターと数点のメカ部品で構成されており、設計的な共通化も進んでいるため、参入の難しい業界ではありません。大手メーカーの電動工具が高価格設定なのは、製品の機能のほかに、各国の安全規格への適合・PL保険・サービス窓口などが販売価格に含んでいるためです。
最近はDIYやライフスタイルの変化から電動工具が手軽に使えるカジュアルなイメージが先行していますが、電動工具は本来、使用者や周囲に危険が及ぶ産業製品です。
販売の際にはアフターサービスを行える現地法人が存在する日本法人設立か正規代理店販売での展開が望ましい製品です。
実態不明・名目上の輸入業者による海外電動工具を業務用途で使うのは、製品事故・人身災害上高リスクなので、自己責任の範疇に収まる低出力の用途で使う程度に納めておくのがおすすめです。