VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2019年4月24日

ROHMが展開する新電源ソリューション|TECHNO-FRONTIER 2019 レポート

ROHMが展開する新電源ソリューション|TECHNO-FRONTIER 2019 レポート

「TECHNO-FRONTIER 2019」のROHMブースでは、特徴となる制御ICやSiCなどを中心に、実例を中心としたアプリーケーションの展示が行われた。

展示会が行われる度に新しい発見のあるROHMブースだが、今回は「アナログテクノロジ」コーナーで特に注目した、3つのROHMテクノロジ 昇圧にも対応する「Quick Buck Booster」業界最高の降圧比「Nano Pluse Control」ソフトスタート、過電流保護を備えた「高耐圧ロードスイッチ」を紹介しよう。

『Quick Buck Booster』IC追加で昇降圧に対応

Quick Buck Boosterは昇降圧コンバータの応答特性を大幅に改善させた電源ICだ。更に、このICは降圧ICに外付けのICを実装する事で、昇降圧構成へ簡単に変更できるユニークな回路構成を実現している。

外付けICによる昇降圧構成の切り替えは、回路設計的には大きなメリットとなる。

Quick Buck Boosterは降圧構成の電源回路に外付けのICを追加するだけで昇降圧対応にできるユニークな電源ICだ

最も大きなメリットは、降圧と昇降圧回路の設計を大きく変更しなくても良い点だ。一般的に昇降圧回路は応答に時間を要すため、それに対応するために降圧回路から回路構成を大きく変更する必要がある。

これを外付けIC1つで切り替えられるのであれば、パターン設計やEMI、BOMなども共通化でき、部品調達の最適化も図れるため、開発スケジュールの大幅な短縮を見込む事ができるだろう。

簡単に昇降圧を構成できる回路は、車のみならず、高圧化が進むリチウムイオンバッテリーを使用するシステムや、USB PDなど電圧が大きく変動する回路において大きな利点となるだろう。

本ICによる昇降圧への外付け対応は全ての電源ICには対応しておらず、ROHM BD8Pシリーズの「昇圧機能付」のICにのみ対応している

従来の昇降圧対応の回路構成だと、応答性を保つために出力コンデンサの容量でカバーする必要がある
Quick Buck Boosterは高い応答性を持つため、高速応答によって出力コンデンサを減らすことができる。車載など振動の多いアプリケーションではコンデンサクラックのリスクを減らせる。

車載向け5.5V 2A ドライバ付きPch/Nch パワーMOSFET – BD90302NUF-C|ローム株式会社 – ROHM Semiconductor
車載向け2.7V~36V入力 2A 昇圧機能付1ch 降圧DC/DC コンバータ – BD8P250MUF-C|ローム株式会社 – ROHM Semiconductor

『Nano Pluse Control』2MHzの動作で高い降圧比を達成

ロームの最先端電源ICとして注目されているのが『Nano』シリーズだ。

『Nano Pluse Control』による業界最小のスイッチングオン時間は9nsを達成し、2MHzの動作時において60Vを2.5Vへ降圧可能となっている。

降圧比を大きくできる電源ICは、電子回路設計における回路の小型化を実現し、単純なコストカットの他にも部品点数の削減や回路品質の向上などにも大きな利点がある。

特に、リチウムイオンバッテリーを使用したシステムの高電圧化は年々進み、近年では家庭用園芸工具などでも36Vを超えるバッテリーパックも展開されている。

回路構成をシンプルにし、部品点数を大きく減らすNano Pluse Controlは今後、高電圧アプリケーションの降圧回路として広く普及していくだろう。

16V~60V入力, 1A 2.1MHz 同期整流1ch 車載対応 降圧DC/DCコンバータ – BD9V100MUF-C| ローム株式会社 – ROHM Semiconductor
Nano Pulse Control®搭載 2MHz降圧DC/DCコンバータ

『高耐圧ロードスイッチ』最大動作電圧32V, 半導体ヒューズとして使えるスイッチ

最後に紹介するのは、高耐圧のロードスイッチの「BV1HAL90EFJ」だ。

ヒューズを置き換える用途が想定されており、更に過電流等でオフ状態になっても自動復帰が可能な機能が搭載されている。これによりヒューズ交換が不要のメンテナンスフリーを実現している。

このロードスイッチの特徴は、ソフトスタート機能を搭載しており回路の突入電流に対応できる機能も搭載されている点だ。出力ターンオン時間は3ms~30msの間で調整が可能で、使用するアプリケーションに応じて最適な値を選択することができる。

その他、異常検知信号の出力など、異常が発生している状態をマイコンなどで検知できる機能も搭載されており、アプリケーションへの保守性向上などが図れるロードスイッチとして使用できるだろう。

高耐圧ロードスイッチ| パネルダウンロード[TECHNO-FRONTIER 2019] | ローム株式会社 – ROHM Semiconductor

Return Top