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2022年4月20日

マキタの36V戦略はどうなるのか、マキタ40Vmax(XGT)と18V×2本(LXTx2)の違い

マキタの36V戦略はどうなるのか、マキタ40Vmax(XGT)と18V×2本(LXTx2)の違い

現在、マキタの36V電動工具シリーズは、新シリーズの「40Vmax」と18Vバッテリー「18V×2本」の2種類で展開されている。このマキタの36V電圧のシリーズはマキタの電圧バリエーションの中で競合している状態だ

今回は、このマキタ36Vシリーズの違いと今後について予測してみよう。

『18V×2本(LXTx2)』18Vバッテリーを2本使う36V電動工具

マキタの現行の36V電動工具は、18Vバッテリーを2本装着して36Vにする電動工具シリーズで、18V×2本シリーズと呼ばれている。海外ではLXTx2と呼ばれるシリーズ名で展開されている。

18V×2本シリーズ最大の特徴は対応製品のラインナップ数で、マキタ主力の18V電動工具シリーズと同じバッテリーを使用しているため、製品ラインナップ数としては国内最多の277モデルに対応している(2019年11月時点)。

製品の傾向としては、園芸工具を中心に展開されており、草刈機やチェンソーのエンジン動力に変わる動力源として数多くの園芸工具が充電式で展開されている。もちろん、電動工具としても展開が進んでおり、レシプロソーやハンマドリルなど重負荷の電動工具もラインナップが強化されている。

バッテリーを2本装着する製品となっているため、一見して不格好な外観の電動工具も多く、グラインダGA700Dのような特徴的な外観の製品もあるが、その一方でチェンソーMUC353Dのようなバッテリーを2本差しを上手く生かしたモデルも存在する。

『40Vmax(XGT)』高出力と防水・耐久性の36Vバッテリー

マキタが2019年10月に発表したのは新型36Vバッテリーの「40Vmax」シリーズだ。海外市場では既にDeWALTが40V MAXシリーズと呼ばれる名称でシリーズ展開を行っているため、区別のためXGTと呼ばれるブランドで展開されている。

40Vmaxがこれまでの36Vバッテリーと異なるのは、リチウムイオンバッテリーの最小セル数で36Vを構成しており、現行の18Vバッテリーと同サイズまで小型軽量化している点にある。バッテリー小型化によってインパクトドライバや小型丸ノコにも搭載できるようになったため、コンパクトでパワーの高い電動工具が実現できるようになっている。

更に、高い出力でも使用できるような高耐久バッテリーケースや、電動工具バッテリーとして初となる防水規格IP56の対応など、バッテリー構造としての仕様もトップクラスの性能となっている。

残念ながら40Vmaxはこれまでのマキタバッテリーと互換性がなく、現時点では他のバッテリーと併用できる製品も展開されておらず完全に独立した製品群となっている。(例外的に40Vmaxの充電器だけはADP10アダプタを使用する事で18Vバッテリーの充電のみに対応している)

マキタの36Vはどちらを選べばいいのか

現在、マキタの36V電動工具は、18V×2本シリーズと40Vmaxで電圧が競合してしまっているため、ユーザーとしてはどちらを選べばよいのか分かりにくい状態だ。

バッテリーとしての性能を語るのであれば、防水構造や高い耐久性を実現した40Vmaxを選ぶべきなのだが、現時点では電動工具8製品しか展開されておらず、園芸工具に関しては今後の展開スケジュールすら出ていないのが40Vmaxの欠点となっている。現実的な話、製品ラインナップそのものはほとんど競合していないため、比較のしようがないのが現在の状態だ。

バッテリー容量に関しては、現時点では18V×2本シリーズの方が優位となっている。18V×2本では18V, 6.0Ah×2本で36V, 6.0Ahとなるのに対し、40Vmaxの最大容量は大型バッテリーBL4040で4.0Ahと容量そのものには不安がある。一方、18V×2本シリーズには背負い式バッテリーパック PDC01も展開されているため最大12.0Ahもの大容量バッテリーを構成できる。

結論としては、公開時点では40Vmaxは対応製品が少なく、園芸工具も展開されていない(2021年1月から園芸工具が展開開始)ために18V×2本と直接比較できるクラスと言えないのが実情だ。今後の製品展開次第では製品の拡充も進み40Vmaxシリーズ一択となる時期も来るだろうが、現時点で36V電動工具を購入するのであれば、製品カタログからラインナップされている電動工具を見て選ぶ事となるだろう。

今後、18V×2本シリーズはどうなるのか

今後、18V×2本シリーズと40Vmaxはどのように展開されていくのだろうか。

仮定の話になるが、もし18V×2本シリーズの技術的、販売的な展開が順調であったとするなら、40Vmaxシリーズは開発されずに18V×2本のままシリーズ展開が進んでいたと予想できる。そのため、今後は18V×2本シリーズが40Vmaxに置き換える方針を打ち出すのは容易に想像できる。

参考: 製品情報/株式会社マキタ

それを表すかのように、マキタ公式サイトの製品情報ページでは40Vmaxの発表以降リチウムイオン18V ×2本シリーズのリンクが40Vmaxの紹介ページリンクに置き換えられている。この対応だけ見るならば、18V×2本シリーズはかつての「差し込み10.8Vシリーズ」が「スライド10.8V」に変わっていったように、36Vシリーズも同じような道を辿り、40Vmaxへ一本化される可能性がある

ただし、各36Vシリーズのコンセプトと現在のラインナップを考えると、現実的な面として電動工具は40Vmax園芸工具は18V×2本シリーズのような平行展開がしばらく続き、クラスの棲み分けが行われるのかもしれない。特に、バッテリー容量を必要とする園芸工具では、バッテリー容量の少ない40Vmaxを補う存在として、大容量バッテリーを展開する18V×2本シリーズがもう少し続いていくのが現実的な所だろう。

マキタ内でも36Vの動向は方針が確定していない点もありそうなので、結局は今後のバッテリー技術の進歩次第と言えそうだ。

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