Raspberry PiはUSBからの5V供給で動作するコンピュータボードです。USB電源で動作する特徴を生かして、スマホ用のUSB充電器やモバイルバッテリーで動作させることもできるため、ラズパイのコードレス化やUPS化など様々な方法で使用されています。
そんなラズパイのアクセサリとして今回紹介するのは、Raspberry Piの基板の寸法にピッタリ収まる、リチウムイオンバッテリー搭載のバッテリーボード『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』です。
目次
簡易UPSになるバッテリーボード!
『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』は、その名の通り、Raspberry Piに装着できる、3800mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載した拡張ボードです。
モバイルバッテリーでRaspberry Piを動作させると、『勝手に給電が落ちる』『USB給電とバッテリー給電が切り替わらない』などスマホ向けのインテリジェントな機能が搭載されているため、ラズパイに使う電源としてはあまり適切ではありません。
『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』は、『給電が勝手にOFFにならない』『外部給電とバッテリー給電の自動切換』といったUPS的なシンプルな機能を持った5Vバッテリーボードです。
装着はUSBケーブルで接続するだけ!
今回使用しているRaspberry Piは『Raspberry Pi 3 Model B』です。
『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』の装着に通信ケーブルやプログラムの実装の必要はなく、USB電源ケーブルで繋げるだけでバッテリーと外部電源を切り替える動作が可能になります。
Lithium-ion Battery Expansion Boardの動作モード
『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』には電源ON/OFFのスライドスイッチが搭載されています。このスライドスイッチは、バッテリー給電のON/OFFを選択するものなので、OFF時であってもMicroUSBに給電されていれば5Vが出力されます。
搭載されているバッテリーは3.7Vの3800mAhのリチウムイオンバッテリーとなっています。容量的には18650セルを1本搭載したモバイルバッテリーとほぼ同等の容量になるでしょう。
- スライドスイッチの動作
スライドスイッチON時:MicroUSB端子への5V供給が途絶えるとUSB出力はバッテリーに自動切換え
スライドスイッチOFF時:MicroUSB端子への5V供給が途絶えると出力OFF
機能がシンプルなのでラズパイ以外にも使えます
『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』はMicroUSB給電とバッテリー給電を自動切り替えるだけの、シンプルな構造の外付けバッテリー基板です。
用途としてはRaspberry Piに取り付けて使われるものですが、出力にUSB端子を採用しているため、スマホやArduinoをはじめとした様々なUSBデバイスにも使うことができ、UPSとして活用できそうです。
出力電流は一般的なUSB充電器と同程度
さて、Raspberry Piには比較的大容量のUSB電源が要求されており、用途によっては2.5Aや3.0Aといった大電流専用電源の使用が要求されています。
この『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』の最大出力電流は1.8Aであり、一般的なUSB電源と同程度の出力電流しか備えていません。データ収集や監視などの通常の用途なら問題ないと思いますが、動画再生や大電流が必要な外部デバイスの接続には不向きです。
ラズパイのケースが使えなくなるのが残念
さて、この『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』は、基板の形状がRaspberry Piと同じ寸法になっているため、縦方向に積み重ねることが出来るスマートなアクセサリです。
ですが、Raspberry Piのケースは使えなくなってしまうので、この点を解決するにはケースを自作しなくてはいけません
Lithium-ion Battery Expansion Boardまとめ
今回紹介した『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』は、簡易的な5V電源UPSとも言える製品です。
実際、USB電源のデバイスも増えており5V UPSの需要はあると思うのですが、実際にUPSとして使えるモバイルバッテリーは非常に少ないので、この『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』のような製品が使えれば、モバイルデバイス用途はさらに広がっていくものと考えられます。
この『Lithium-ion Battery Expansion Board for Raspberry Pi』の魅力的な所は、構造がシンプルになっている点です。USB入力はMicroUSB、出力はUSBコネクタ、そしてバッテリーも交換可能(非推奨)なので非常に用途が幅広いアクセサリです。バッテリーを交換してより大型のバッテリーセルをつなげれば、容量も増やすことも出来るかもしれません。
実際にRaspberry Piに搭載する場合は、Raspberry Piから発せられるバッテリーへの熱の影響に注意が必要です。Raspberry Piからバッテリーが発火するほどの熱は発生しませんが、チップからの放熱によってバッテリーは劣化が進んでしまうので、ケースや箱に収める場合は冷却方法も考慮したい所です。