回路の電源供給にACアダプタを使う場合、回路側のコネクタとしてDCジャックを使うことが多いと思います。
普通にACアダプタを使うだけであれば2端子だけ回路に繋げばいいのですが、AC電源のない環境下で使う場合は電源にバッテリーを使います。今回は3端子DCジャックを使ったAC電源とバッテリーの切り替え方法について説明します。
DCジャックにはもう1つピンがあって全部で3端子になっています。
今回は、DCジャックの3端子の使い方とその注意点について説明します。
(サムネ画像のArduinoのDCジャックと今回の記事内容は関係がありません)
目次
DCジャックの回路図表記
3端子のDCジャックを回路で表したのが下記の図です。
矢印があってあまり見慣れない形ですが、2ピンの矢印は3ピンと短絡していることを表しています。テスターなどで確認してみると1-2ピン間オープン,1-3ピン間オープン,2-3ピン間クローズとなっています。
また、3ピンの山の形は接点の物理的な形を表しています。
ACアダプタのみを使う場合
ACアダプタだけ繋ぐのであればそのまま接続すればOKです。+と-の極性だけ注意して目的の回路に通電させれば完成です。
殆どの場合DCプラグはセンタープラスになっているでしょうから1ピンを回路のプラスに接続して2ピンか3ピンのどちらかをマイナスにします。2ピンと3ピンは通常短絡されているのでどちらから電気を取っても問題はありませんし、基板上で結線させておくのもいいでしょう。
バッテリーとACアダプタを併用する場合
2ピンを使うことでバッテリーとACアダプタを併用できます。
3ピンの接点は板バネになっています。バッテリー+とACアダプタ+を1ピンに繋ぎ、バッテリーの-側を2ピンに、ACアダプタの-を3ピンにつなぐとプラグの抜き差しによってバッテリー給電とACアダプタ給電を切り替えることができます。
DCジャックを使う場合の注意点
電池とDCジャックの間にはダイオードを入れておく
ACアダプタと電池で電圧を異なる電源構成にしている場合、通電中にプラグを抜き差しした場合に回路側のコンデンサを介して電源またはバッテリーに逆流する可能性があります。
逆流を防止するため、DCジャックと電池の間にダイオードを追加して破損しないようにしておきましょう。ダイオードは整流用のものを使用します。
プラグを刺したままコンセントを抜くと電池側が通電しなくなる
先ほど説明した通り、DCジャックはプラグを刺すと電池側の接点が離れてACアダプタ側の給電に切り替えることができます。しかしACアダプタの給電が切れてしまえば接点は離れたままなので電気の供給は止まってしまいます。
ACアダプタからコンセントが抜けても動作するように機器側を制御するには、DCジャックではだけでは対応できません。その場合、DCジャックでの構成はあきらめて回路側に切り替え制御回路を追加する必要があります。
粉塵の侵入や板バネの変形で電池側が通電しなくなる
ACアダプタと電池の接点の切り替えはDCジャック内部の板バネで行われています。
この板バネと2ピンの接点間に異物が挟まったり、プラグから変な力が加わったり過電流による発熱でバネに焼きが入って永久変形すると、2ピンと3ピン間で切り替えができなくなって通電しなくなります。
埃が過剰に舞っている環境や高湿度環境、過電圧・過電流が発生したりプラグに過剰な応力が掛かる使い方を想定している場合は通電不良や火災の原因になるので注意しましょう。