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レシプロソーとはブレードの往復運動で切断する電動工具

レシプロソーとは、ブレードの往復運動で切断を行う電動工具です。
レシプロソーはブレードの往復運動によって切断を行うため、作業時の安全性が高く、大物切断や解体作業・構造物の切断作業に対しても比較的安全に使用できる特徴を持ちます。グラインダーやプラズマ切断機のように業務で使用する場合において特別教育を必要としないのも大きなメリットです。
構造的に片手で扱う電気のこぎりと同じ電動工具ですが、レシプロソーと呼ぶ場合は、高出力モーターを搭載する金属も切れるような大型電気ノコギリを指すことが多いです。
切断能力こそグラインダーやチップソーなどほかの切断工具に若干劣るものの、手軽で安全に使用でき、ブレードの取り付け構造も共通でブレードのランニングコストも優れているため、1台あると何かと便利な電動工具です。
レシプロソーの語源は、往復運動を表す英単語の「reciprocating」が由来です。一方、セーバソーは刀剣を表す「saber(サーベル)」を語源としており、ブレードがサーベルに似ていることが語源です。名前が異なるだけでレシプロソーとセーバソーは同じ製品で、セーバソーを呼称するメーカーでも海外では「レシプロソー」と表記しています。
ブレード交換で金属・木材・石材など広い材料に対応

レシプロソーのブレードは規格化されているので、メーカー間に互換性があり他社製のブレードでも問題なく装着できます。
ブレードの種類も多岐に渡り、木材の切断に使う江戸目ブレードや金属切断用のバイメタルブレード、石材を切断できるダイヤモンドブレードなど、材料に応じたブレードに付け替えることで幅広い材料の切断に対応できます。
大型レシプロソーは金属切断・解体作業に使う

大型のレシプロソーは、金属切断や解体作業に使用することが多い電動工具です。
切断作業で優れた汎用性を持ち切断材料の制約も少ないので、釘入り木材から樹脂系の複合材料まで幅広い材料に対応できます。この特性を生かして、木造住宅のリフォーム・解体から設備解体・FRP素材の撤去のような幅広い解体作業に使用します。
その一方で、大型レシプロソーは高い精度や素早く作業を行う必要がある作業に対しては、ほかの切断工具が使われます。
大型レシプロソーピックアップ
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特徴
利点
欠点
パイプ
木材
振動数
振幅長
電源
寸法
重量
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製品の特徴
40Vmaxバッテリーの高出力充電式レシプロソー。マキタ独自の縦クランクで食い付きに優れる
利点防じん防水IP56に適合。耐久性も高くラバージョイント構造によってバッテリーへの機械的負荷も少ない。
欠点オービタル機構が無い
パイプ切断径130mm
木材切断径255mm
振動数0~3,000回/分
振幅長32mm
対応電源40Vmax
寸法457×88×233mm
重量4.2kg
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製品の特徴
ベーシッククラスながら1,200Wモータ出力の高出力を搭載
利点価格が安く性能比のコストパフォーマンスに優れる。切断能力はハイエンドクラスに匹敵
欠点オービタル機構や低振動機構などは非搭載
パイプ切断径130mm
木材切断径255mm
振動数0~3,000回/分
振幅長30mm
電源AC100V
寸法447×97×176
重量3.3kg
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製品の特徴
マルチボルト36V動作の高出力充電式レシプロソー。多彩な動作モードを搭載
利点充電式ながらオービタル機構を搭載し切断スピードに優れる
欠点他社同クラスモデルと比べると大型で重い
パイプ130mm
木材120mm
振動数0~3,000回/分
振幅長32mm
対応電源マルチボルト36V
寸法457×251×101mm
重量4.5kg
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製品の特徴
AC100V動作ながらブラシレスモータを搭載する電源コード式セーバソー
利点高出力のAC電源セーバソーでありながら軽く、切断スピードも高い
欠点軽量だが全長が大きく細かい作業には不向き
パイプ130mm
木材120mm
振動数0~3,000回/分
振幅長32mm
対応電源AC100V
寸法490×190×101mm
重量3.9kg
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製品の特徴
チェンバイスを搭載し幅広いパイプ・長材の切断に対応する
利点ダイヤモンド湾曲ブレードと組み合わせれば、モルタルライニング鋳鉄管切断にも対応できる
欠点チェンバイスを使用しない場合、ベースが無いので切断安定性が悪い
パイプ216mm
木材–
振動数0~2,000回/分
振幅長26mm
対応電源AC100V
寸法–
重量3.9kg
レシプロソーを選ぶときのポイント
1. 出力が高いレシプロソーほど大きな材料を切断できる
レシプロソーのカタログスペックにはどれくらいのサイズまで切れるかの切断能力を記載しています。
この切断能力はΦ××mm~で表され、円柱の材料に対してどこまで太い材料の切断に対応できるかを表しています。ただし、レシプロソーは取り付けられるブレード長のサイズに制限はないので、原理上、材料がどんなに太くても、長いブレードを装着すれば切断は可能です。
しかし切断能力を超えてしまうと、モーターロックが発生したり連続負荷時間が長くなりすぎたりして工具を痛めてしまう可能性があるので、最大切断径の表示は必ず守るようにしましょう。
2. 電源コード式と充電式どちらがオススメ?
電源方式はコンセントに接続して使用する電源コード式とバッテリーを使う充電式の2種類があります。レシプロソーを使用する場所や作業量を考慮して選びます。
コンセント式はパワーが強くバッテリー切れがないのがメリットです。コンセントの届く範囲であれば、連続して作業を行うことができるので、高負荷切断作業を連続して行うことができあmす。また電源コード式はバッテリーや充電器も不要なので購入価格が安いのも魅力です。
充電式はコードがなく取り回しに優れているので、屋外や農地など電源が取れない場所で使用できるのがメリットです。ただし、充電式はバッテリーが切れると作業できなくなる場合があり、電源コード式と同じ出力のレシプロソーをバッテリー切れを起こさないように使うためには相当の初期投資を必要とします。。
3. 大型レシプロソーは耐久性とアフターサポートを重視
大型レシプロソーは、電動工具の中でもトップクラスに過酷な環境で使われる工具です。
解体作業に使用する場合、カタログスペックを超えて使用してしまう場合も多いのでカタログスペックに余裕をもって製品選定を行うのがおすすめです。
また部品の破損・脱落やメカの摩耗なども速いケースも多いので、販売店と相談してアフターサポートが充実していて修理部品の取り寄せが早そうな製品を選ぶようにしましょう。
4.サイズによって用途が違う
レシプロソーは製品サイズや形状によって用途が違います。大きく分けると、片手で使用できるハンディタイプと、Dハンドルタイプの両手で使用する大型レシプロソーの2種類があります。
ハンディタイプは家庭のDIYや庭木の剪定に使う木材切断作業に向いていて、小形で取り回しに優れているのが特徴です。DIYモデルやホームセンターモデルなどは主にこのタイプです。
大型レシプロソーは、両手でしっかり持って使用する高出力タイプです。ストローク量も大きくストローク数も高いので、大径の金属パイプや複合材もガシガシ切断できます。金属から木材まで何でも切れますが、重くて振動が強いのでDIYや庭木の剪定のような細かい作業には向きません。