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2020年9月3日

EAGLEで自作ライブラリを作る

EAGLEで自作ライブラリを作る

電子部品の設計を行っている時、標準ライブラリやPCB Part Libraryにない場合は自らの手でパーツライブラリを作らなければなりません。最近では中国製の電子部品も流通するようになり、そのような部品はモデルが無いケースも珍しくありません。

今回のシリーズではシンボルの作り方からフットパターンの作成、3Dモデルの適用までを解説します。

ライブラリを自分で作ると電子工作の世界が広がる

電子回路の設計をユニバーサル基板からプリント基板に変えると、電子回路設計CADの活用が必須となってきます。CADを使用すれば多層基板や表面実装部品も使用できるようになりますが、その設計作業には電子部品の寸法やモデル図を含んだCADデータを含んだライブラリが必要になります。

例えば、秋月電子通商の取り扱うパーツ類は非常に安価で少量の購入なら入手性も良いのが特徴ですが、最近は純中国製のパーツも増えています。これらの部品はパーツライブラリの提供が無い事も多く、PCB Part Libraryにデータが存在しなケースも多いので自作ライブラリの作成が必須となります。

「EAGLE」で自作パーツを作る手順

今回はAutodeskのEDA「EAGLE」を使ったパーツライブラリの作成を解説します。大まかな流れは下記のようになります。

  1. パーツデータを格納する「パーツライブラリ」を作る
  2. パーツライブラリ内にパーツ名を登録する
  3. 回路図に使う「パーツシンボル」を作成する
  4. パターン設計に使う「フットプリント」を作成する
  5. パーツ名・シンボル・フットプリントを関連付けして完成

今回は、秋月電子通商で販売されている表面実装用(SMD)インダクター「989BS-270M」を参考にEAGLE用のパーツライブラリを作成してみます。

Screenshot

表面実装用(SMD)インダクター 27μH (4個入)

磁気シールドケースタイプの表面実装用パワーインダクタです。
低直流抵抗、大電流対応ですので、DCDCコンバータ等に最適です。

① EAGLEでパーツライブラリを作成

EAGLEでは自作したパーツを全て「ライブラリ」内に格納する必要があります。例えパーツの作成数が1つだけであっても、必ずライブラリを作成する必要があります。

パーツライブラリは「File – New – Library」から新規作成を行います。名前については分かりやすい名称にするのがおすすめです。

EAGLEのスタートページからライブラリを新規作成する。
EAGLEのライブラリの基本ページ。このページを基本にしてシンボルやフットプリント、3Dデータなどを編集する。
Libraryの新規作成だけでは保存されないので、この画面で一度Saveしておく。判別しやすい名前で保存しておこう。

② パーツライブラリ内にパーツ名を登録

パーツライブラリを作成したらパーツの作成に進みます。パーツ名の指定を行うDeviceでは、シンボル・フットプリント・3Dモデルの関連付け、及び配線情報や部品の接頭辞情報などが格納されます。

画面左の「Device」バーの「Add Device…」から登録したいパーツの製品名を登録します。

左下の「Add Device…」ボタンを押すとパーツ名の登録ができる。分かりやすい製品名を入れてOKボタンを押す。
パーツの登録が終わるとパーツを関連付けする画面が開く。今の時点だとこの画面で行う作業はないので、左上の「Table of contents」ボタンを押して元の画面に戻る。

③ 「パーツシンボル」を作成

パーツシンボルとは、回路図上で表される回路記号です。一般的にはJISなどで策定された汎用的な回路記号を使用しますが、特殊なスイッチや、マイコンを回路図に収める場合などにはシンボルを新しく作らなければならないケースも多いです。

パーツシンボルの作り方は大きく分けて2通りあり「0から作る方法」と「他のライブラリからインポート」する方法があります。

今回は「0から作る方法」で進めますが、実際のシンボル作成で0から作る必要はほとんどありません。一般的には他のパーツシンボルをインポートして形状を調整する方法が取られます。

右下の「Add Symbol…」を押してシンボルの名前を決定する。追加するパーツと同じ名前である必要はないので、判別しやすい名前をつける。
シンボルエディタが開く。この画面で電子回路の形と端子を作る。大まかな形は左のメニューから図形や線を引いて作る。
コイルの形を作っていく。操作方法が独特なので慣れるのには時間がかかる。基本的な使い方としては大まかに形を作った後は座標の入力で調整していく。
全体的な形が完成したら、接続端子を設定する。左のメニューから「Pin」ボタンを選ぶ
コイルは2端子なので2つ配置する。この時点では位置を合わせなくて良い。
配置したPinを選択すると、Inspectorメニューからピンの形状を調整できる。回転は[Angle]要素で調整、ピンの長さは[Length]要素でshortを選択する。また今回ピン名も不要なので[Visible]要素はoffにする。
ピンの移動は左のメニューから[Move]を選択する。Move状態でピンをクリックすると動かせるようになる。
ピンの位置を移動した状態。
シンボルとしては完成だが、このままで回路図に配置した時に部品の数量(L1, L2)や容量が表記されない状態となっている。最後には[Text]数量と容量の表記を指定する。
Textでは[>NAME]を入力し、[Layer]を95 Namesに指定する。この設定でL1, L2などの接頭辞付きの部品番号が自動で表示されるようになる。
同じように、Textで[>VALUE]を入力し、[Layer]を96 Valuesに指定する。電子部品に抵抗値や容量などを記載するとこの部分に数値が現れる。ここまでやったら保存して完了する。

④ 「フットプリント」を作成

次に作成するのはフットプリントです。フットプリントとはパターン設計で用いられるプリント基板上の部品の配置と、部品と基板の接点を示すモデル図です。

フットプリントの作成では、電子部品のデータシートを参照して作成するのが一般的です。データシートには「推奨パターン図」が記載されているので、それを参考にパターンを作成します。

電子部品のデータシートには、外観寸法の他推奨パターン図も記載されている場合がある。図を参考にフットパターンを作成する。

もし、データシートが無いまたはデータシートに推奨パターンの記載がない場合は実部品を測定してパターンを作成します。

画面下部の「Add Footprint…」を選択して新しくフットプリントを作成する。フットプリント名は任意
フットプリントの作成画面。寸法がインチ単位になっているのでデータシート準拠となるよう単位をmmに変更する。変更は[Gred]メニューから可能。
1セル当たりの寸法を入力する。単位をmmに変更して[Size]を1mm、[Alt]
は0.25mmに変更する。AltはAltキーを押した時のみ有効になるグリッド寸法
端子と接点を繋げる[Smd]を選択する。今回は表面実装の部品だが、アキシャル部品の場合は[Hole]を選ぶ
コイルは2接点なので2つ配置する。場所は特に意識しなくても良い。
配置したSmd接点を選択して、寸法や位置を調節する。データシートを参考に[Position]と[Smd Size]を調節する。単位はGridでmmに変更したのでmm単位となる。
もう一方も同じように調整する。
接点としてはこれで完成だが、配置位置や情報を表すシルクパターンも設定する。上画面の[Layer]をtPlaceに変更して左メニューから[Line]を選択して描画する。
大まかにtPlaceラインを引いたら、[From]要素と[To]要素を指定して寸法を調整する。なお、シルクパターンについては基板製造メーカーのデザインルールに違反しないように余裕を持つ。
最後に、シンボルの手順と同じように[>NAME]を追記する。[Text]で最適な位置に配置して[Layer]をtNamesに変更する。

⑤ パーツ名とシンボル・フットプリントを関連付け

ここまで完成したら、最後はシンボルとフットプリントを関連付けして完成となります。この手順では、シンボルの端子とフットプリントの接点を紐づけて、部品のコメントや接頭辞などを指定します。

1.の手順で作成したデバイスを選択して開く。
左の[Add Part]ボタンから、2.で作成したシンボルを配置する。
Addウィンドウにはライブラリ内に保存されていたシンボルが表示される。指定してOKを押す。
次はフットプリントを指定する。右の[New]から[Add local package]を選択する。
Addウィンドウにはライブラリ内に保存されているフットプリントが表示される。指定してOKを押す
シンボルとフットパターンの配置が終わったら、端子と接点の紐付けを行う。右の[Connect]ボタンを押す。
[Connect]ウィンドウではシンボルの端子とフットプリントの接点が表示されているので、紐付けさせるt何氏を選んで左下の[Connect]ボタンを押す。
全てのコネクタを合わせて完成。これで自作部品としては機能するようになる。
このままでも使用できるが、最後に部品の接頭辞を指定する。右下の[Prefix]ボタンを押す。
この部品はコイルなのでLを入力してOK押す。これで部品を追加する度にL1, L2, L3,,,と自動で部品番号が割り振られるようになる。
最後に、右下のValueを設定する。部品の値を表示する必要がある場合はOnを、部品名を表示する場合はoffにする。今回はコイルなのでOnを選択する。最後に上書きを忘れないように

パーツライブラリを適用する

schematicの作成画面で先ほど作成したライブラリを有効にする。画面上部のボタンの[Open library manager]を押す。
上部の[Availabel]タブを押し、[Browse…]ボタンを押して先ほど作成したライブラリファイルを指定する。
ライブラリを指定すると一覧に追加されるので、選択して[Use]ボタンを押す。
適用が出来たら、エディタ画面に戻って通常の手順でパーツを追加する。
ADDウィンドウから追加したライブラリを選んで、追加したパーツを選択する。
配置すると通常のライブラリのように使用できる。
プリント基板設計の画面に切り替えると、フットプリントが追加されているのを確認できる。
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