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2020年9月12日

FusionPCBで基板を発注してみた

FusionPCBで基板を発注してみた

電子回路基板(プリント基板)を作ってみよう!

ちょっとした試作や小規模の電子回路ならユニバーサル基板で済ませる事もできますが、回路規模が大規模化してきたり表面実装部品を使おうとするとプリント基板を作った方が早く済むことが多いです。

今までは回路基板を作ろうとした場合、生基板や感光基板を使ったエッチング作業が定番でしたが、現在では基板製造(PCB)サービスも安くなり、個人でも簡単に市販製品レベルの電子回路を手に入れる事ができるようになりました。

基板製造(PCB)サービスとは小ロットでもプリント基板製造を受注してくれるサービスで、最小ロット10枚くらいからプリント基板の製造を受け付けてくれるところが多いようです。

FusionPCBで基板を発注してみた

FusionPCBとは中国深セン市にあるSeeedStudioと呼ばれる会社の基板製造(PCB)サービスです。基板製造の条件によっては国内PCBメーカーの1/10という価格で作ることが出来ます。

日本語にも対応していて、fusionpcb.jpから日本語対応サイトにアクセスできます。

ガーバーデータが出力できるCADならなんでも対応

電子回路図(左)とその配線に対応したパターン図(右)。電子回路設計はCADを使ってこのような形でパターンを作る。

プリント基板の設計図であるガーバーデータの作成には電子回路CADのDesignSpark PCBを使用しました。

ガーバーデータとは「ガーバー」や「ガーバーフォーマット」などと呼ばれ、プリント基板のパターンやドリル穴の位置などを指定するためのファイルです。量産用の電子回路基板には必ずと言っていいほどこのガーバーデータが使われており、業界標準の形式とも言えます。

個人が使うガーバーデータを出力できる有名どころのCADとしてはEAGLEKiCADQuadceptなどがあり、Fritzingなどでもガーバーデータの出力ができるそうです。ちなみにP板.comが提供しているCADLUS Xはガーバーデータの出力機能が付いていないので注意しましょう。

FusionPCBに発注する際のデザインルールは『製造のためのプリント基板設計ガイド』に記載されています、この資料はちょっと前まで英語版しかなかったんですけど日本語版になって読みやすくなりました。(DesignSpark PCBを使う場合は初期設定のままでも特に問題ないようです。)

FusionPCBに発注するにあたり、プリント基板のガーバーファイルは以下のように名前を変える必要があります。これらのファイルをzipでまとめれば完成です。

というわけでFusionPCBで発注してみた

ガーバーデータが出来たらfusionpcb.jpで発注をします。

現在FusionPCBは100mm×100mm, 2層基板10枚で$4.9に値下げしており、一枚当たり約50円という超格安な価格で基板を作ることが出来ます。

FusionPCBトップページの『製造/実装サービス』にアクセスする。
基板の製造条件を選ぶ。通常であれば特に弄る必要はなくこのままでOK。変更すると単価が高くなるので注意しよう。レジスト色は変えても価格が変わらないので好みの色に変えられる。
発注画面の上の方にアップロードボタンがあるので、ガーバーデータをアップロードする。アップロードが終わったらガーバービューアを使ってちゃんと基板が認識されているか確認しよう。
アップロードしたガーバーデータをガーバービューワで確認しているところ。パターンはもちろんのこと、シルクやドリル穴がしっかりと認識されているかを確認する。
アップロードしたガーバーデータに問題がなければ支払い画面に進む。ここでは住所や支払い方法を入力する。配送業者にもよるだろうが、海外の輸送業者の場合、漢字やひらがなで住所を書くとトラブルの原因になるので、ローマ字で正しく書く。
配送業者を選ぶ。おススメなのはDHLだろう。海外系の配送業者はDHLとFedExの2強だが、この2社は常に配送料金が変わることも多いので、価格に応じて変えるといい。
最後に支払い方法を選ぶ。支払い方法はPayPalかクレジットカードの2種類。今回はPayPalで支払うことにした
これで完了。あとは届くのを待てばOK。ガーバーデータに問題があったり特別な要求をした場合は後日メール連絡がくる。

現品を確認してみる

注文してから到着するまでは、約11日ほどでした。他サイトさんのFusionPCBの注文レポートを見てると、製造完了してから発送するまで時間がかかったりシンガポールを経由したりして非常に時間がかかるという報告もありましたが、今回はすぐに届いたようです。

FusionPCBのマイページの注文追跡画面。発送は深セン-香港-成田経由で行われるようだ。

DHLを使用した場合はTrackingナンバーが発行されるので、配達の状況や通関の状態などがわかるようになります。

梱包状態

現品はDHLのFLYERパックで届く。この時点では基板が割れてないか心配である。
FLYERパックの中身はエアパッキン入りの封筒になっていた。これなら運送時手荒く扱われていても問題ないだろう。
今回作成した基板10枚。基板は真空パックされていて、周りはエアパッキンでおおわれていた。

基板はどんな感じ?

基板全体図。シルクのずれや傷などは見当たらないが、細いシルクパターンは少し掠れているところがある。
基板裏面。ドリル穴やviaのずれはほとんどなく問題はなさそうだ。
表面実装面のMicroUSBジャックを実装する部分。はんだメッキによるショートなどは見当たらない。
試しにDIP8pinのICを実装してみる。ホール径もピッタリで位置ずれなどの問題もない。

まとめ

FusionPCBは国内のPCB製造サービスと比べると非常に低価格であり、品質面も特に問題なさそうなので個人規模・小ロット生産などには非常に使いやすいサービスだと思います。むしろ低価格すぎて送料の方が高くなってしまうのでそっちで尻込みしてしまうくらいです、注文する場合は1種類よりも何種類か作ってからまとめて発注したほうがいいかもしれません。

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