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2020年6月25日

グラインダーを使うのに資格は必要?「研削といし取替試運転作業者」とは

グラインダーを使うのに資格は必要?「研削といし取替試運転作業者」とは

研削といし取替試運転作業者とは、砥石交換作業の資格

研削工具のグラインダーには「研削といしの取替え等の業務に係る特別教育」と呼ばれる資格があります。

この資格は、手で持つディスクグラインダーや作業台に設置する卓上グラインダーなど、砥石を交換する作業に必要となる労働安全の資格(特別教育)です。

砥石の交換作業は厚生労働省令で危険又は有害な業務と定義されており「事業者が労働者を雇用して自由研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に労働者を就かせる時には、必ずこの教育を受けさせなくてはならない」と労働安全衛生法で義務づけられています。

特別教育を受けていない作業者がグラインダを使った作業中に事故を起こした場合は、事業者に責任が問われます。1

労働安全衛生法(就業制限業務)

特別教育が必要な作業者にその教育を実施していない場合や、無資格の作業者を就業させた場合、罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)が適用される場合があります。
免許・技能講習、特別教育が必要な業務一覧表(業務内容別)

特別教育の受講だけで資格が取れる

研削といし取替試運転作業者には「機械研削用」と「自由研削用」の2種類ありますが、グラインダーや卓上グラインダなど、工具または加工物どちらかを手で持って加工するのが自由研削です。

自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育は、学科4時間・実技2時間の教育時間で、試験などはありません。1日で取れる資格です。

  • 学科
    • 自由研削用研削盤、自由研削といし取付け用具等に関する知識(2時間)
    • 自由研削といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識(1時間)
    • 関係法令(1時間)
  • 実技
    • 自由研削といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識(2時間)

「砥石交換なんてナットを締めるだけでしょ、なんで実技が2時間も?」と思うかもしれませんが、実技のほとんどは卓上グラインダのといしバランス調整に費やされる場合が多いようです。卓上グラインダのバランス調整はちょっと難しいので、初めての方などは結構手間取ります。

研削といし取替試運転作業者は企業や労働局で受講

この資格は、企業が開設している教習所や各労働局の教習機関などで受講できます。

受講資格に基準や制限はないので、18歳以上であれば実務の経験がなくても取得できます。

どちらの施設で受講しても違いは無いので、近いところや勤務先の推奨施設などを確認してからの受講がおすすめです。比較的受けやすい民間の教習所ではコマツ教習所が全国各地に点在しています。

登録教習機関一覧(都道府県別)|厚生労働省

DIYなどの私的使用なら資格なしでもOK

ここまで研削といし取替試運転作業者について解説してきましたが、実は、DIYなどの私的使用の場合この資格を取得する必要はありません。

研削といし取替試運転作業者はあくまでも「事業者が労働者に実施を義務付けている特別教育」であり、自ら目的をもって作業を行う場合にはこの資格は不要です。また、自らが事業従事者となっている一人親方などの場合も資格不要と解釈できます。

グラインダや交換用の砥石はホームセンターや通販などで気軽に購入できますし、購入時の資格の提示や資格を持っていなかったからと罰則などもありません。

グラインダを使う場合、5つの事項を守る

DIYでのグラインダの作業は資格を取る必要はありませんが、それでも危険な工具なので、いくつか守るべきポイントがあります。

砥石は割れる可能性がある消耗品なので、ガラスのように割れやすく、1つ使い方を間違えると大きな事故にもつながります。

グラインダを安全に使用するポイントとして、研削といし取替試運転作業者教育の内容から5つをピックアップして紹介します。

①グラインダーに適合した砥石・ディスクを使用する

グラインダは取付径や安全カバーのサイズ応じた適切なサイズの砥石を装着します。

サイズが適合していても砥石によっては専用のフランジやナットの装着が推奨されている場合があるので、砥石を変える前にはグラインダや砥石の説明書を確認します。

また、グラインダに装着できるのは研削・研磨系のディスクだけで、切削刃の付いたディスクは装着してはいけません。

②試運転を3分以上行う

新品の砥石を装着した場合には、3分間の試運転を行わなければいけません。亀裂や劣化が進んでいる砥石を使用すると、作業中に砥石が破裂して周囲に大きな影響を与えてしまいます。

市販されている砥石は製品がそのまま陳列されている場合も多く、落ちてひびが入っていたり長期在庫で劣化している場合もあるので、必ず試運転を行うようにしましょう。

③砥石に表示されている最高周速数を守る

砥石には使用できる最大の周速数が規定されています。この周速を超えると砥石が破裂するので、必ず対応周速数とグラインダの回転数を確認しなければなりません。

変速付きグラインダの場合、ダイヤル調整を間違えて最高周速数を超えてしまう場合もあるので、グラインダの回転数以下の砥石は取り付けないようにします。

④安全カバーは外さない

熟練者でやってしまいがちなのが、安全カバーを外して作業を行ってしまうことです。

安全カバーは砥石の破裂から作業者を守るほか、切削粉が作業者に飛散するのを防止したり、グラインダーが暴れたときに作業者を守るために存在しています。

⑤砥石の使用面は守る

砥石には使用面があり、切断砥石の場合、加工物に当てる面は円周部分と決まっています。(規則)第120条・安全必携

切断砥石で砥石模様面を使った研削は行ってはいけません。このような作業を行うと、砥石の破裂によるケガの原因になります。

脚注

  1. 労働安全衛生法第59条第3項/労働安全衛生規則第36条第1号/安全衛生特別教育規程第2条
    安全衛生特別教育規程|安全衛生情報センター
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