VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2022年4月21日

【工具コラム】電動工具のアースとは、3Pプラグや二重絶縁について

【工具コラム】電動工具のアースとは、3Pプラグや二重絶縁について

AC電源の電動工具には3Pプラグの製品がありますが、3本目のピンの意味や二重絶縁の2Pプラグとの違いを把握していない方も多いと思います。

本記事では、3Pプラグの意味や二重絶縁について簡単に解説します。

コンセント3芯目は感電から人を保護するためのアース

アースとは電動工具が故障した時の漏電から作業者を保護するために接続する電線です。

AC電源で動作する電動工具にはコンセントのプラグの形状が2Pと3Pがあります。3Pプラグの電動工具は電気を流す2芯とは別にアース線と呼ばれる3芯目の端子があり、コンセントのアース端子に接続して使用します。

中にはアースが無い電気製品もありますが、そのような2Pプラグの電動工具は二重絶縁に対応した製品で、アースを必要とする構造を持たないためそのままコンセントに差し込むことができます。

ちなみに二重絶縁の有無や3本目のプラグをアースに接続したからと言って、電動工具の性能や機能に違いが生まれることはありません。

アースは本来流れるべき場所以外に電気が流れた時に作業者を守る仕組み

正常な状態の電動工具であれば、例えアースを接続していなくても作業者が感電する事はありません。しかし、劣化や過負荷などで電気配線に異常が発生すると、電動工具はモーター以外の場所に電気が漏れて、漏電する事があります。

昔の電動工具は、金属製のハウジングに収められた電動工具がほとんどでした。金属製のハウジングは、電動工具内の電源コードの被覆が破けて中の心線が露出して金属ハウジングに接触したときにハウジング越しの人体への感電が発生する欠点がありました。

現在の樹脂ハウジング以前の電動工具は、全て金属製の筐体に収まっていた。堅牢な構造が特徴の金属筐体だが、モータコイルの芯線が露出やカーボンブラシの汚れによっては漏電で感電する危険性もあった。
画像引用:日立工機 ’72年 総合カタログ

その漏電による感電を防止するのがアースです。アースを接続していれば金属製のハウジングに電気が流れたとしても、人体より抵抗の低いアースへ電気が逃げるため、人体への感電を最小限に抑える事ができます。

万全な状態の電気機器なら全ての電気がコンセントに戻っていくが、何らかの破損や異物の浸入によって想定外の電気経路が生まれると、人体を通じて放電してしまう。
アースは人の触れるところにあらかじめ電気を逃がす経路を作り、人体への感電を最小限に留める仕組み。

3Pプラグを2P化して電動工具を使用しても良いか

電動工具内部で被覆の露出やモーターコイルの切断などが発生していなければ、原理上、漏電することはありませんが、電動工具は粉じん・鉄粉・油等の舞う過酷な環境下で使用することが多く、漏電に至るリスクは相当高いので必ずアース線の接続が必須です。

二重絶縁品にアースは不要

二重絶縁とは、通常の「基礎絶縁」に対して基礎絶縁が故障した場合の保護になる「補助絶縁」を追加した製品の構造的な総称です。

電動工具の二重絶縁においては、モータ(ステータ)コイルの絶縁被膜と絶縁性の高いハウジングとモータシャフトの樹脂コーティングを持って補助絶縁としています。人体が触れる部分を全て樹脂で絶縁しているため、例え電動工具内部で芯線が露出した場合でも樹脂が感電を防いでくれます。

これらの理由から二重絶縁の電動工具は人体に触れる部分が絶縁処理されているので、アースを接続する必要がありません。

最近はアルミボディ製品でも二重絶縁構造を搭載している。構造的にはモータとアルミボディ間にプラスチック製の筒を入れることで2重絶縁構造を実現している。
画像引用:DV19V|HiKOKI

ちなみに二重絶縁の認識が進んでいない現場などでは、例え二重絶縁の電動工具だったとしてもAC電源の電源工具を一律アース付きコードにしなければならない規則があるケースもあるようです。この場合は、規則として郷には従わなければなりませんが、長期的に考えれば正しい知識を持つ監督者の権限で規則を直す必要があるでしょう。

最近はAC電源の電動工具を禁止する現場も

最近の作業現場では、AC電源で動作する電動工具自体を使用禁止とする現場もあるようです。

ここ数年では電動工具の性能向上やコードレス機種の増強なども進み、AC電源の電動工具を使用しなくても同じ作業が行えるようになっているので、漏電事故やコードを原因とする労災の防止には一定の効果が出ると考えられます。

しかし、バッテリーの電動工具と言えど最近は36Vのような高電圧化も進み、42V(死にボルト)と呼ばれる感電の可能性がある電圧まで高まってきています。

作業量などではAC電源の電動工具に及ばない製品も多く、消耗品のバッテリー経費をどのように処理するかなどの問題もあるので、まだまだ課題は多いと言えます。

Return Top