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2022年2月1日

存在感を増す10.8V電動工具、18Vとの違い

存在感を増す10.8V電動工具、18Vとの違い

最近、軽量手軽な電動工具として注目されているのが10.8Vバッテリーの電動工具です。

10.8Vの電動工具は過去にも販売されていましたが、ここ数年間で急激に10.8V電動工具は存在感を増しているシリーズでもあります。本記事では10.8V電動工具の特徴や展開された理由などを解説します。

軽量小型で取り回しに優れる10.8V電動工具

参考:マキタTD111D|株式会社マキタ

電動工具の電圧には現在主流の18Vや14.4V、36Vバッテリーなど様々な電圧がありますが、近年では10.8Vの小型バッテリーを使用した電動工具シリーズが普及しています。

電動工具は電圧が高い方がパワーを出しやすく、高電圧の電動工具を使用すれば重負荷の作業も快適に行えるようになりますが、10.8V電動工具はパワーを重視しておらず、手軽さや取り回しの良さに重点を置いています。

18Vにはない10.8Vの軽量コンパクトな取り回しの良さ

10.8V電動工具と18V電動工具を比較すると、本体サイズが非常に小さく、重量も500gと非常に軽くなっているのが特徴です。TD111Dはブラシモーターを使用しているため全長こそ長くなってしまいますが、実際に手に取ると非常にコンパクトで軽い印象を受けるインパクトドライバになっています。

電工業者や内装作業では、18V電動工具ではオーバースペックになってしまうため「180N・mも必要ないから軽くて取り回しのいい電動工具が欲しい」ニーズを満たしたのが10.8Vです。

中途半端なポジションから一躍、定番シリーズになった10.8V

参考:マキタ総合カタログ|株式会社マキタ

10.8Vの電動工具は昔から展開されていましたが、注目されるようになったのはここ数年です。

従来の10.8V電動工具ではバッテリーの形状に「差し込み形状」が採用されており、バッテリーを本体に収めてコンパクトに出来る一方で、グリップが太くなる点やバッテリーの配置で本体形状が制限されるなど、積極的な製品ラインナップの拡充は行われず、プロ向けなのかDIY向けなのか中途半端なシリーズとなっていました。

マキタの差し込み10.8VシリーズTD090D。コンパクトながらパワーもある10.8V電動工具だったが、市場では中途半端な評価を受けており、全ての電動工具メーカ共通の認識として10.8Vは力を入れて展開するシリーズではなかった。

18V電動工具の熾烈なスペック競争が各メーカーで始まる中、マキタは取り回し性を良くした軽量小型のプロ向け10.8Vスライドバッテリーの新製品展開を始めます。

18Vと同じ「スライド形状」は電池接点の安定性に加え、工具本体外にバッテリーを配置するため設計の自由度が高く、ラインナップ拡充が行いやすいメリットもありました。

2015年に展開したマキタの新10.8Vスライドバッテリーシリーズ。以前の10.8Vを切り捨てながらも、小形のプロ向け工具とラインナップ戦略で少しづつシェアを増やした。

マキタの「10.8Vスライドバッテリーシリーズ」は、取り回しの良さを求めるユーザーニーズを満たし、18Vプロ向け電動工具との明確な差別化に成功した事でプロユーザーや電工業者など新しいユーザーを中心に受け入れられます。2019年現在では80を超える製品ラインナップを揃えた電動工具の定番シリーズとなりました。

メーカー別 10.8Vシリーズ一覧

 マキタ スライド10.8Vシリーズ

10.8Vの中で最も普及しているのが、マキタのスライド10.8Vシリーズです。10.8Vの電動工具はマキタの独壇場で、コンパクトな工具を選ぶのであればこのシリーズを購入すれば間違いはないでしょう。

工具のラインナップ数は82モデルと国内他社メーカを大きく離しており、インパクトドライバーを始めハンマドリルや丸のこ、マルチツールなど充実したラインナップを揃えています。バッテリーも最大4.0Ahの大容量バッテリーがあります。

マキタ スライド10.8Vシリーズを見る

HiKOKI(日立工機)スライド10.8Vシリーズ

2019年にはHiKOKIもマキタ後追いの形でスライド10.8Vシリーズに参入しました。

HiKOKIの10.8Vシリーズはマキタの工具よりも高性能・高出力な電動工具を展開しているのが特徴です。BSL1240 MはマキタのBL1040Bと同じ容量ですがコンパクトなサイズとなっているのが特徴です。

2019年春現在、製品ラインナップ数が4モデルしか展開されておらず、今後の早急な拡充が期待されます。

HiKOKI 10.8Vシリーズを見る

マキタ 10.8Vシリーズ

マキタが展開していた差し込み式の10.8Vシリーズです。

マキタの旧10.8Vシリーズは円筒型のバッテリーセルを三本重ねる方式で構成されています。工具自体はコンパクトですが、グリップ部が太く、急速充電非対応となっています。

マキタ10.8Vシリーズを見る

HiKOKI(日立工機)10.8Vシリーズ

HiKOKIが展開していた差し込み式の10.8Vリチウムイオンバッテリーです。

旧10.8Vバッテリーでも大容量の3.0Ahバッテリーや残量表示などを展開しており、グリップ部も太くならない形状になっています。

HiKOKI 10.8Vシリーズを見る
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