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2024年3月12日

RIGOL電子負荷のネットワーク接続機能をアクティベーションしてLAN接続する手順メモ

RIGOL電子負荷のネットワーク接続機能をアクティベーションしてLAN接続する手順メモ

RIGOL 電子負荷 DL3000シリーズをLAN接続で使いたい

先日、新しい電子負荷装置としてRIGOL DL3031を購入しました。DCDCコンバータの評価やバッテリー残量測定に活用しています。

このRIGOLのDL3000シリーズは多種多様なリモートインターフェースを備えており、USB接続をはじめとして、RS232やDIGITAL I/O、LANコネクタなどを搭載しているのも特徴です。PCと接続すればRIGOL公式ソフトのULTRA SIGMAを使うことでリモート操作やキャプチャができます。

一般的にはUSB接続で十分なのですが、USBは機器を大量に接続していると不安定になってしまうことも多く、USB テスタのCT-3を使っている時は冷却ファンの負荷でUSB給電能力を超えて丸ごと落ちてしまうことも多かったので、LAN接続で使うことにしました。

背面のLANコネクタにケーブルを指してLANの設定を行おうと思ったのですが、警告が表示されてしまいました。どうやら、DL3000シリーズではLAN接続には別途ライセンスが必要なようです。

RIGOLの公式ストアを検索すると、DL3000シリーズ用のLAN機能有効化ライセンスが販売されていました。このライセンスを購入して、はじめてLAN接続が有効になるようです。

RIGOLのオシロや直流電源やライセンス無しでもそのままLAN接続できるのに電子負荷はなんで別ライセンス?とか、イーサネットコントローラやLANコネクタを積んだハードウェアありきの実装なんだから初めからLAN使えてもいいじゃん!とか思ったりするのですが、ハードウェア屋さんは色々と儲けを出しにくい時代になってしまったので、こういう感じの課金させる場所を作っておく姿勢そのものはとても大事だと思っています。

ちなみにRIGOLは付加機能をこんな感じのオプションで販売するスタイルを取っていて、オシロスコープあたりだとUSB接続にLANサポート機能を足したり、電力解析の計算機能を足したりするオプションを販売しています。

話は少し逸れてしまいましたが、今回の記事では、RIGOLから取得したLAN接続ライセンスコード発行とアクティベーション手順について解説します。

ライセンスの機器割り当てとアクティベーション手順

RIGOLの公式ストアからライセンスを購入すると、メールでライセンスコードが届きます。

ライセンスコードを入手したら、ライセンスを割り当てたい機器にシリアルナンバーを割り当てて、ライセンスコードを発行しなければいけません。ライセンスの割り当てはこのページから行います。

ちなみに、機器のシリアルナンバー入力を誤ってライセンスコードを割り当てると再割り当てはできないので入力には注意しましょう。

ライセンスの割り当てが完了すると、ライセンスコードが発行されてコードが入力されたファイルをダウンロードできます。

ライセンスコードの発行後は、ライセンスコードを機器に読み込ませることでLAN機能が有効になります。

ライセンスコードの機器入力方法には3つの手順があり、機器のフロントパネルでコードを手打ちする方法と、USBメモリにライセンスファイルをインストールする方法、SCPIコマンドを送ってコードを認識される方法があります。

今回は、2番目のUSBメモリからライセンスファイルをインストールする方法でアクティベーションします。

ダウンロードしたファイルはそのままの状態だとアクティベーションできないので、テキストエディタで開いて中身を書き換えなければいけません。1行目に製品のシリアルナンバー、2行目にハイフンを抜いたライセンスコード、3行目に空白の改行にします。保存するファイル名は任意ですが、拡張子は”.lic”にします。

5行目以降は伏字にしてあります

保存したら、USBメモリにコピーしてDL3031に読み込ませます。Storeボタンを押して、Dドライブ(USBメモリ)を選択してコピーしたlicファイルを読み込むとアクティベーションが完了します。

LANケーブルを接続しており、IPアドレスがDHCP割り当てであればアクティベーションと同時にネットワーク接続完了の通知画面が表示されます。

アクティベーションを行うとLAN接続の画面も表示されるようになるので、ネットワーク設定も行えるようになります。

ネットワーク接続の準備も整ったので次はPythonで制御

実際、USB接続でもPCから1対1で接続する分には良いのですが、USBハブを挟んで接続機器を増やすと途端に不安定になることも多く、測定中にUSBハブの接続が切れて全ての測定機器が外れてしまい最初から測定やり直し、なんてことも何回かありました

実際、LANの方が安定しているかと聞かれればちょっと微妙ではあるのですが、ほかの測定機器を抱えて丸ごと落ちるよりは良いかな?と思っています。あとケーブル周りが煩雑にならないのも良いです。

さて、ネット上にある情報を見ていると、RIGOLの測定器はVISA準拠の制御方式に対応しているので、RIGOL公式のSIGMAソフトウェアを使わなくても遠隔制御が可能らしいです。しかも、話によるとPythonでの制御もできるようで、VISAに対応した計測器を制御するためのpyvisaと呼ばれるライブラリを使えば比較的容易に実現できるようです。

このあたり、せっかくLAN接続ができるようになったので、NASのDockerコンテナでJupyter notebookを走らせて計測データを自動的に収取したり各計測機器制御したりしたいなと思っています。測定の自動化を行うならLabVIEWのライセンスを買わないといけないのかなーと考えていたので、うまくいけば低コストで色々な自動計測が実現できるかもしれません。

そんなわけでこの次は、Dockerコンテナ上ののJupyter notebookから遠隔操作を試してみたいと思います。当面の目標としては、直流電源のDP932Uと合わせてリチウムイオンバッテリーの充放電サイクル測定あたりを実現出来たら良いなと思っています。

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