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選び方がややこしいUSB Type-C to Cケーブル
現在、モバイル機器は機器接続用途から充電コネクタとしての用途まで、幅広い製品でType-Cコネクタの搭載が進んでおり、現行のmicroB端子からの置き換えが急速に進んでいます。
USB Type-Cは、裏表のない接続形状や最大40Gbpsの高速転送・USB PDによる最大240W給電など、昨今のデジタル機器大半が必要とする有線接続の用途のほとんどをカバーできる万能規格です。
以前、筆者が家電量販店にType-Cケーブルを買いに行った時、棚一面にType-Cケーブルが並び、全てのUSB規格を統一するはずのType-Cケーブルでありながら、その種類の多さに圧倒されてしまいました。
USBの転送規格やUSB PDについて少しだけ理解していたつもりではありながらも、種類の多さや価格の違い、メーカー毎の微妙な表記の違いなどで最適なケーブルを見つけるのに手間取ってしまい、「1本のケーブルを買うだけでこんなに疲れるのか」と困惑してしまった経験があります。
今回は、USB Type-C to Cケーブルの種類と大まかな選び方について解説します。
USB Type-Cケーブルの種類について
USB Type-Cケーブルの規格の種別は、給電規格と転送規格の2種類に分かれています。
給電規格については2種類、転送規格については5種類以上あり、Type-Cケーブルの販売コーナーにはこれらの規格を掛け合わせた10種近いケーブルが販売されています。
USB PD(給電規格)について
USB Type-Cケーブルの給電規格は基本的に2種類しかないので選ぶのは簡単です。種類は60W仕様と100W仕様どちらかしかありません。
USB Type-Cケーブルは、規格上全てのC to Cケーブルは60Wまでの給電に対応しているので、市販されているC to Cケーブルはスマホの急速充電規格に全て対応しています。
一部のCtoCケーブルでは、パッケージに対応電力の記載が書かれていないケーブルもありますが、USB Type-Cの規格に正しく適合しているケーブルであれば未記載であっても規格上60Wに対応しています。
60Wを超える仕様を持つノートパソコンやモバイルバッテリーに60Wを超える電源供給を行う場合には、100W給電に対応するケーブルが必要です。100Wに対応するケーブルは 「eMarker」や「100W」「20V/5A」と書かれているケーブルを選ぶ必要があります。
規格名 | 別称 | 給電電力 |
---|---|---|
なし(標準で適合) | 60W | ~60W |
USB PD 100W | eMarker/100W/20V-5A | ~100W |
USB転送規格について
データ転送を行うUSB転送規格の種類では、通信速度の世代ごとに異なるケーブルが販売されています。通信規格の表記は規格や名称の乱立でややこしいので、転送速度を見て選ぶのがおすすめです。
USBの転送規格は下位に対する互換性を持つので、「USBケーブルを買ったのはいいけど通信できない」なんてことはほとんどありません。迷ってしまったなら上位規格のケーブルを選ぶのも1つの手です。
規格名 | 転送速度 | 最大長さ | 規格別名 |
---|---|---|---|
USB 2.0 | 480Mbps | 4m | Hi-Speed USB |
USB 3.1 Gen1 | 5Gbps | 2m | USB3.0/USB 3.1 Gen1/USB3.2 Gen1/SuperSpeed USB |
USB 3.1 Gen2 | 10Gbps | 1m | USB 3.1/USB 3.2 Gen2/SuperSpeedPlus USB |
USB 3.2 | 20Gbps | 1m | USB 3.1 Gen 2×2 |
USB4 | 40Gbps | 0.8m |
ちなみに、昨今のスマートフォン・タブレットのデータ転送はクラウド上にWiFiで転送するシーンがほとんどなので、充電専用ケーブルとして使用するのであれば、転送規格を一切無視したUSB2.0ケーブルを選ぶことになります。
また充電機能のみのType-Cケーブルは規格上存在しないので、一番安いケーブルが必要な場合は必然的にUSB2.0ケーブルを選ぶことになります。
よく売られているType-Cケーブル 6種類をピックアップ解説
USB Type-Cケーブルを買い足す最も多いケースとしては、スマホの急速充電に使う60WのUSB 2.0ケーブルかUSB3デバイスの接続に使うUSB3.1 Gen2ケーブルかのどちらになると思います。
ケーブルの選び方や対応機器が分からない場合においては「Type-C USB3.1 Gen2 100W対応ケーブル」を選べばほとんどの用途に対応できるのでオススメです。
全部入りの最新規格ケーブルには最上位規格全部入りの「USB 4」もありますが、USB4をフル活用できる機器は限られているため、価格が安ければ選択肢に入るような状況です。
Type-C USB2.0(480Mbps) ケーブル
用途 | ガジェット類の充電 |
規格別名 | Hi-Speed USB |
長所 | ケーブル価格が安い,長いケーブルがある |
短所 | 通信用途では遅い |
最も安い価格で売られているのがType-C USB2.0ケーブルです。
このケーブルは従来のUSBコネクタの形状をCtoCに置き換えただけであり、通信速度は従来のUSB 2.0と変わりませんが、USB2.0の規格上、長いケーブルにもできるため4m長の給電ケーブルとして使用できるメリットがあります。
この規格のケーブルは、全ての仕様が60W給電に対応するので、一般的なスマートフォンの充電に使用するだけならこのケーブルで問題ありません。
Type-C USB2.0(480Mbps) 100W対応ケーブル
用途 | ノートPC等の急速充電 |
規格別名 | Hi-Speed USB 100W |
長所 | ケーブル価格が安い ,長いケーブルがある |
短所 | 通信用途では遅い |
100W給電に対応する低価格なType-Cケーブルです。USB 2.0の規格上の最大長さが4mなので、コンセントから離れた場所でも電源を取れる利点があります。
100W対応によってコードが太く硬くなってしまっているので、ノートパソコンなどの据え置き用途におすすめなCtoCケーブルです。
Type-C USB3.1 Gen1(5Gbps)ケーブル
用途 | PC周辺機器の接続 |
長所 | 映像出力に対応 |
短所 | 世代交代が進んでいるのでGen2を買った方が良い |
USB2.0より早い通信規格ケーブルがUSB 3.1 Gen1です。USB3.0とも呼ばれますが、Type-Cケーブルの場合 USB 3.1 Gen1と書かれている製品が多いです。
USB 3.1 Gen1からは、Type-Cコネクタを使った映像出力も可能です。USB Type-Cコネクタの映像入力口を持つディスプレイに接続する場合はUSB 3.1 Gen1以降のケーブルが必要です。
このケーブルを使っても実使用で困ることはほとんどありませんが、後継規格のUSB 3.1 Gen2の普及が進んでいるため少し微妙な立ち位置にいるケーブルです。
店頭では今も尚良く売られているケーブルですが、ワゴン販売のような格安販売が行われていない限り、後述のUSB3.1 Gen2ケーブルを買うのがおすすめです。
Type-C USB3.1 Gen2(10Gbps)ケーブル
用途 | PC周辺機器の接続 |
長所 | 映像出力可 |
短所 | 特にない |
現行のUSB規格で最も普及しているのがUSB 3.1 Gen2です。USB 3.2 Gen2とも呼ばれています。
外付けSSDや多機能ハブのような最新の高速通信USB機器に使用するケーブルです。
現行のUSB通信規格としては対応機器・デバイス共に最も普及しているタイプのケーブルなので、USB周辺機器を使用する場合にはこのケーブルがおすすめです。
Type-C USB3.1 Gen2(10Gbps) 100W対応ケーブル
用途 | PC周辺機器の接続・充電 |
長所 | ほとんどの用途に対応、映像出力可 |
短所 | 高価・ケーブルが少し太い |
USB3.1 Gen2ケーブルに大電流給電対応の規格を搭載した、高速転送&100W給電に同時対応する高い汎用性を持つケーブルです。
1本持っておけばノートパソコンの充電・周辺機器接続など臨機応変に使いまわせて、USB PD対応によって給電用途にも対応できるケーブルです。実用性と価格のバランスが最も取れたType-C USBケーブルです。
USB 4(40Gbps)ケーブル
用途 | PC周辺機器の接続・充電 |
長所 | 全ての用途に対応する |
短所 | より高価・短い |
USB3.2、USB 3.1、USB 3.0、USB 2.0全てに対応し、拡張機能であるThunderbolt 4やThunderbolt 3にも対応する最新・最強のUSBケーブルです。
USB4ケーブルは標準仕様で100W(20V/5A)給電に対応するため、このケーブル1本あれば充電からUSB機器接続、将来対応まで全ての用途に対応できます。
ただしUSBケーブルとしては最も高価で長さ制限もあり、1mを超える5,000円~とさらに高価になります。