
選び方がややこしいUSB Type-C to Cケーブル
現在、モバイル機器は機器接続用途から充電コネクタとしての用途まで、幅広い製品でType-Cコネクタの搭載が進んでおり、現行のmicroB端子からの置き換えが急速に進んでいます。

USB Type-Cは、裏表のない接続形状を持ち、対応する機器とケーブルを組み合わせればUSB 80Gbpsの高速転送やUSB PDによる最大240W給電など、有線接続の幅広い用途をカバーできる万能規格です。同じType-C形状でも、通信速度・給電電力・映像対応は製品ごとに異なります。
以前、筆者が家電量販店にType-Cケーブルを買いに行った時、棚一面にType-Cケーブルが並び、全てのUSB規格を統一するはずのType-Cケーブルでありながら、その種類の多さに圧倒されてしまいました。
USBの転送規格やUSB PDについて少しだけ理解していたつもりではありながらも、種類の多さや価格の違い、メーカー毎の微妙な表記の違いなどで最適なケーブルを見つけるのに手間取ってしまい、「1本のケーブルを買うだけでこんなに疲れるのか」と困惑してしまった経験があります。
今回は、USB Type-C to C(CtoC)ケーブルの種類と大まかな選び方について解説します。
USB Type-Cケーブルの種類について
USB Type-Cケーブルを選ぶ基本は、給電電力と転送速度の2つを別々に見ることです。映像出力に使う場合は、その対応も選ぶ条件に加わります。
例えば、USB 2.0の480Mbpsで240W給電に対応するケーブルもあれば、高速転送に対応する60Wケーブルもあります。給電電力が大きいほど通信も速い、という関係ではありません。
USB PD(給電規格)について
現在のUSB-IF認証ケーブルの電力表示は60Wと240Wが基本です。従来の100W(20V/5A)対応ケーブルも、その仕様の範囲で引き続き使えます。100Wケーブルの新規認証が終了したことと、手持ちの100Wケーブルが使えなくなることは別です。
標準的な3A対応のC to Cケーブルは、USB PDの20V給電時に最大60Wを扱えます。スマホの急速充電には、端末と充電器の対応方式(USB PDやPPSなど)に加えて、その充電条件に合うケーブルの電流容量が必要です。
スマホの急速充電で使われる可変電圧方式は、USB PD PPSの解説で紹介しています。
新しく買う場合は、対応電力や電流が示された製品を選ぶと用途に合わせやすくなります。60W・100W・240Wという表示はケーブルの能力を表し、端末が常にその電力で充電されるという意味ではありません。
20Vで60Wを超える給電や、PPSなどで3Aを超える充電には、5A対応ケーブルを選びます。従来の100W(20V/5A)対応製品は100Wまでの用途に使え、100Wを超えるEPR給電には240W・EPR対応ケーブルと対応する充電器・機器を組み合わせます。eMarkerはケーブルの能力を機器に伝える部品なので、搭載の有無だけで100W対応とは判断できません。
| ケーブルの電力表示・仕様 | 位置づけ | 給電電力の上限 |
|---|---|---|
| 60W / 20V・3A | 現行の認証電力表示(SPR) | 60W |
| 100W / 20V・5A | 従来の100W対応製品(SPR) | 100W |
| 240W / EPR対応 | 現行の認証電力表示(SPR・EPR) | 240W(48V・5A) |
給電の仕組みやSPR・EPRの違いは、USB PDの解説で紹介しています。
USB転送規格について
データ転送を行うUSB転送規格の種類では、通信速度の世代ごとに異なるケーブルが販売されています。通信規格の表記は規格や名称の乱立でややこしいので、転送速度を見て選ぶのがおすすめです。
USBの転送規格は下位に対する互換性を持つので、必要な転送速度を満たす上位規格のケーブルを選ぶのも1つの手です。実際の通信速度は、接続する機器とケーブルが共通して対応する速度で決まります。
| 通信速度の目安となる表記 | 転送速度(規格上) | パッシブケーブル長の目安 | 規格名・従来の呼び方 |
|---|---|---|---|
| USB 2.0 | 480Mbps | 4m | Hi-Speed USB |
| USB 5Gbps | 5Gbps | 2m | USB 3.0 / USB 3.1 Gen1 / USB 3.2 Gen1 |
| USB 10Gbps | 10Gbps | 1m | USB 3.1 Gen2 / USB 3.2 Gen2 |
| USB 20Gbps | 20Gbps | 1m | USB 3.2 Gen2x2 / USB4 Gen2x2 |
| USB 40Gbps | 40Gbps | 0.8m | USB4 Gen3x2 |
| USB 80Gbps | 80Gbps | 0.8m | USB4 Gen4x2(USB4 Version 2.0) |
ちなみに、昨今のスマートフォン・タブレットのデータ転送はクラウド上にWiFiで転送するシーンがほとんどなので、充電専用ケーブルとして使用するのであれば、転送規格を一切無視したUSB2.0ケーブルを選ぶことになります。
USB Type-C仕様のUSB 2.0 CtoCケーブルは、充電とデータ転送に対応します。一番安いケーブルが必要な場合は必然的にUSB2.0ケーブルを選ぶことになります。
よく売られているType-Cケーブル 6種類をピックアップ解説
USB Type-Cケーブルを買い足す最も多いケースとしては、スマホの急速充電に使う60WのUSB 2.0ケーブルかUSB3デバイスの接続に使うUSB3.1 Gen2ケーブルかのどちらになると思います。
100WまでのノートPC充電と10GbpsまでのSSD・ハブ接続に使い回す場合には、「Type-C USB3.1 Gen2 100W対応ケーブル」を選べばほとんどの用途に対応できるのでオススメです。
高速転送向けの最新規格ケーブルには40Gbpsや80Gbpsに対応する「USB4」もありますが、USB4をフル活用できる機器は限られているため、ケーブル自体の単価がセールなどで安くなっていれば選択肢に入るような状況です。
Type-C USB2.0(480Mbps) ケーブル
| 用途 | スマートフォン・タブレットの充電 |
| 規格 | USB 2.0/480Mbps・USB PD 60W |
| 推奨ポイント | 0.5mの短い接続。用途に合わせて1m~3mの長さ違いも選べる |
最も安い価格で売られているのがType-C USB2.0ケーブルです。
スマホやタブレットの充電を中心に使うなら、サンワサプライのKU-CCP6005BKが選択肢です。0.5mの短いケーブルで、最大60W(20V/3A)のUSB PD給電とUSB 2.0の480Mbps転送に対応します。
充電中心なら長さの選択肢がある点もメリットで、USB Type-C仕様ではUSB 2.0のパッシブケーブル長の目安は4mです。
3Aまでの充電条件で使うスマートフォンには、60W対応のUSB 2.0ケーブルが使いやすい選択肢です。端末の急速充電条件が3Aを超える場合は、5A対応製品を選びます。
Type-C USB2.0(480Mbps) 100W対応ケーブル
| 用途 | ノートPCの据え置き充電 |
| 規格 | USB 2.0/480Mbps・USB PD 240W(従来100Wにも対応) |
| 推奨ポイント | 100W級充電を含む幅広い給電用途。1m・2mから選べる |
100W級のノートPCを据え置きで充電する用途には、サンワサプライのKU-CCPE10が選択肢です。1m・USB 2.0の480Mbps対応で、従来の100W(20V/5A)に加え、対応する充電器と機器ではEPRの最大240W(48V/5A)給電にも使えます。
USB 2.0のパッシブケーブル長の目安は4mで、充電用途では長さの選択肢がある点が利点です。
Type-C USB3.1 Gen1(5Gbps)ケーブル
| 用途 | PC周辺機器の接続 |
| 長所 | 映像出力に対応 |
| 短所 | 世代交代が進んでいるのでGen2を買った方が良い |
USB2.0より早い通信規格ケーブルがUSB 3.1 Gen1です。USB3.0とも呼ばれますが、Type-Cケーブルの場合 USB 3.1 Gen1と書かれている製品が多いです。
Type-C接続で映像を出すには、PCなどの出力側とディスプレイがDisplayPort Alt Modeなどの映像方式に対応し、その接続に対応するケーブルを組み合わせます。USB 3.1 Gen1という通信規格名だけで映像対応が決まるわけではありません。各紹介表の「映像出力」は、この対応を前提としています。
このケーブルを使っても実使用で困ることはほとんどありませんが、後継規格のUSB 3.1 Gen2の普及が進んでいるため少し微妙な立ち位置にいるケーブルです。
店頭では今も尚良く売られているケーブルですが、ワゴン販売のような格安販売が行われていない限り、後述のUSB3.1 Gen2ケーブルを買うのがおすすめです。
Type-C USB3.1 Gen2(10Gbps)ケーブル
| 用途 | PC周辺機器の接続 |
| 長所 | 映像出力可 |
| 短所 | 特にない |
現行のUSB3.0系の規格で最も普及しているのがUSB 3.1 Gen2です。USB 3.2 Gen2とも呼ばれています。
外付けSSDや多機能ハブのような最新の高速通信USB機器に使用するケーブルです。
現行のUSB通信規格としては対応機器・デバイス共に最も普及しているタイプのケーブルなので、比較的新しめのUSB周辺機器を使用する場合にはこのケーブルがおすすめです。
Type-C USB3.1 Gen2(10Gbps) 100W対応ケーブル

| 用途 | PC周辺機器の接続・充電 |
| 長所 | ほとんどの用途に対応、映像出力可 |
| 短所 | 高価・ケーブルが少し太い |
USB3.1 Gen2ケーブルに大電流給電対応の規格を搭載した、高速転送&100W給電に同時対応する高い汎用性を持つケーブルです。
1本持っておけばノートパソコンの充電・周辺機器接続など臨機応変に使いまわせて、USB PD対応によって給電用途にも対応できるケーブルです。実用性と価格のバランスが最も取れたType-C USBケーブルです。
USB 4(40Gbps)ケーブル
| 用途 | PC周辺機器の接続・充電 |
| 長所 | 40Gbps通信・映像接続 |
| 短所 | より高価・短い |
本記事で紹介する6タイプの中で、USB4は最新・最強のUSBケーブルです。USB 3.2やUSB 2.0は共通して対応する範囲で接続でき、Thunderbolt用途では接続機器とケーブルの対応世代が条件になります。
写真のエレコムUSB4-CC5P08BKは、40Gbps転送・最大100W(20V/5A)給電・DisplayPort Alt Modeに対応する0.8mの製品です。ちばみにUSB4は通信速度の規格であり、USB4ケーブルには60W対応や240W対応の製品もあります。
現在はUSB 80Gbps対応製品もあるため、高速SSDやドックの対応速度と、必要な給電電力に合わせて選びます。













