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USB機器以外の電力測定にも対応するUSBテスタ
筆者は、普段電源周りの測定にAVHzY USBテスタ CT-3を活用しています。
USBテスタはUSB PD機器を含むUSB機器の性能を測定を行うための製品なのですが、製品仕様的に電源周りの評価にも転用できるので、本格的な評価を行う前の段階として色々と活用しています。
ただCT-3は上限24Vと対応電圧がそこまで高いテスターではないので、もう少し対応電圧が高い製品は無いかなとAmazonやAliexpressを探していたところ、最大32Vまで対応してDC丸ジャックプラグも搭載するUSBテスタ UD18を購入しました。
今回は、汎用的な電力測定に活用できるUSBテスタ ATORCH JPUD18を紹介します。
3.6~32Vの電圧範囲に対応、DC丸ジャックプラグも搭載
UD18は最大32Vの測定まで対応する仕様なので、最大で7直構成のリチウムイオンバッテリー(29.4V)までの充放電挙動も測定できます。
USB PD周りの機能については、トリガ機能やPDO読み取りなどは無く、挙動としては単純にCC端子の通信をスルーしているだけのようです。USB PDデバイスの挙動を本格的に調べるには物足りませんが、消費電力を測定するだけならこれだけでも十分です。
特徴的な構造として5.5mmDCプラグジャックも搭載しているので、USB機器だけではなくACアダプタを使用する機器の消費電力も測定できます。
過電流・過電圧・低電圧遮断機能を搭載
UD18は過電流・過電圧・低電圧に対する遮断機能を搭載しています。
電源や負荷側に遮断機能が搭載されていなくても、バッテリーの充放電時の遮断や過電流保護を行うことができます。
ただこの機能は、反応速度が少し遅く信頼性も高くは無い(急激な電圧変動で止まる場合もある)ので、あまり信用し過ぎない方が良いでしょう。
ちなみに仕様上は温度遮断機能も搭載しているようですが、日本市場に対しては対応する温度モジュールを販売していないようです。
付属のUSBワニ口クリップが便利
UD18にはワニ口クリップが付いたUSBオスメスケーブルが付属しています。正直なところ、UD18本体よりも、AWG18と太めの線材を使用しているUSBワニ口の2本だけでも十分有用な製品だったりします。
装着端子はUSBですが、UD18本体は最大32V-6Aまでの測定に対応しているので、電源回路の簡単な評価や2直以上のリチウムイオンバッテリーの容量測定などにも活用できます。
USB測定用の抵抗負荷が付属
UD18には標準でUSB5Vの負荷・容量測定に使用できる抵抗負荷が付属しています。
この抵抗負荷はスイッチで1Aと2Aに切り替えられる機能を持つので、USB5V時であれば最大10W負荷放電を行うことができます。
ちなみに抵抗の許容電力は最大10Wで構造的にも簡易的なものなので、5V負荷以外には使用しないようにしましょう。
Bluetooth接続でスマホ表示にも対応
UD18はスマホアプリを使用することでスマホ上で測定確認・データ取得が可能です。もちろんUD18本体の測定値リセットや各種遮断しきい値設定などもアプリ上から行うことが可能です。
と言うよりも、UD18本体側での操作は色々と難があるのでスマホからの遠隔操作がほぼ必須です。
機能や信頼性は価格相応だが、手軽さを評価できるUSBテスター
製品の仕様としては、電力測定器にType-CコネクタやBluetooth通信機能を乗せたシンプルなテスターなのですが、単純に「消費電力や電力量を確認したい」な方に対して使い勝手の良い製品だと思います。外観は少しキワモノ寄りですが、価格も安いので1個手元にあると色々と便利に活用できそうです。
サンプリング速度や機能面ではAVHzY CT-3とは比較にならない程のシンプルな製品ですが、スマホで接続して無線で状態を確認できる手軽さがあるので、CT-3ともうまく使い分けもできそうです。
個人的には10直構成のリチウムイオンバッテリー(42V)に対応できる電圧仕様であれば言うことも無かったのですが、それはUSB PD PER対応USBテスターの登場を待つことにします。