※本記事はHilti USAのリリース情報を元に記載しています、日本ヒルティやヒルティ取扱店へのお問い合わせはお控え下さい。
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Hilti TOOL BALANCER EXO-T-22
建設用の工具を製造・販売するHilti Corpration(本社:リヒテンシュタイン公国)は、米国市場で2024年1月に現場用のNuronTOOL BALANCER EXO-T-22を発表しました。
EXO-T-22は、重壁の解体や掘削時に使用するハンマドリル等の重い電動工具を吊り上げて無重力ハンドリングするアクティブ重量配分を備えたツールバランサーです。
バッテリー駆動の EXO-T-22 は、インテリジェントソフトウェアによって制御される電動プーリーシステムを搭載するバランサーで、作業中にツールの重量を継続的かつ自動的に腰に再配分します。
最大 37 ポンド(約17kg)のブレーカーとロータリーハンマを無重力のように吊るせるので、腰から頭までの高さで壁に面して作業する際により快適に作業できるようになります。装着バッテリーはNuronバッテリーに対応します。
実売価格は1,999ドルで販売。日本でヒルティ製品の展開を行う日本ヒルティでは本製品に関するリリースは無く、今後の国内展開に関する情報は不明です。
製品仕様
製品名 | EXO-T-22 | |||
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外観 | ||||
ベルト長 | 1800 mm | |||
重量 | 17.1ポンド(約7.8kg) | |||
寸法 | 28-29 / 32インチ(約711-737 / 813mm) | |||
本体価格 | 1,999ドル(約290,000円) | |||
販売年月 | 2024年01月(※日本国内での販売は未定) |
製品の特徴
「重量工具を吊るして腕肩の負担を軽減するアシストツール」
EXO-T-22は、バックパック形状の本体にハンマドリルなどの重量電動工具を吊るすことで工具本体の重さを軽減し、反復的かつ連続した作業による疲労、肩の負担、腰痛を軽減するアシストツールです。
バックパックから伸びたクレーンアームからベルトが伸びていて、そのベルトに電動工具を装着することで使用します。
最大17kgまでの工具を吊り下げ可能
適応ソフトウェアが自動的にツール重量 (最大17kg) を調整してバランスをとり、快適で無重力な感触を実現します。困難な解体作業や穴あけ作業を軽量、簡単、より正確に行うことができます。
一日中使える柔軟性とコントロール性
手の届きにくい頭上の位置へのアクセスも容易になり、高いところのハツリ作業なども容易にします。また折りたたみ可能なサポートアームの重量は8kg未満なので、現場での持ち運びも容易です。
現場はつり作業の新たなスタンダードになるか
このツールバランサーを使用できるシーンは多岐にわたりますが、最も活用できるのは「はつり作業」になると予想されます。
一般的にはつり作業を行うハンマやハンマドリルは重量級の製品であり、質量15kgを超えるハンマは地面に向けて使用するのが主な用途であり横向きに使うことはほとんどありません。
本製品は最大17kgのアシスト能力を有しており、このアシスト能力があれば打撃エネルギー40J前後のハンマを横向きに使うことが容易になり、コンクリート壁の穴あけ効率化など新たな作業シーンを実現できる可能性があります。
既存のパワーアシストスーツとの相違点
ほとんどのパワーアシストスーツは、腰を重点的に保護して固定、肩から背中を通って、腰からお尻、そして太ももに巻き付けて固定するものです。
既存のアシストツールと異なり、このツールバランサーは背中にクレーンを背負うため、両肩から背中を通り、腰お腹周りでベルトをガッチリとしながらも工具自体はベルトで吊るす自由度の高い構造となっているため、作業性に関しては従来のアシストツールよりも使いやすくなっているものと予想されます。
総論
サソリのような外観の異様さから、InstagramをはじめとするSNS上での印象は今一つな本製品ですが、「最大17kgの工具をアシストするツール」は、現場作業に新たな作業シーンを実現する製品なのかもしれません。
実際、石材壁への穴あけ作業は、手でギリギリ持てるサイズの10kgクラスのハンマドリルをハツリモードで使用したり、コアドリルを使用してくりぬいたりなど時間のかかる作業でしたが、15kgクラスのハンマが容易に使用できるようになれば、その作業シーンは大きく変わる可能性があると考えられます。
海外ユーザーによる試用動画では、1人でもアシストスーツの装着が可能な構造であり、ハンマドリルなどの重量級の工具の取り回し向上によるメリットを強調しています。見た目はキワモノですが、実際に使用してみなければその価値はわからない製品と言えそうです。
バッテリーが切れたり取り外されたりした場合は、ゆっくりと機能を停止する安全機構も搭載しているため、その辺の安全性にも配慮されているようです。
現状、現場作業におけるアシストスーツは過渡期の製品であり、少し飛びぬけた製品が出ても不思議ではない時期であり、市場のフィードバックや構造の最適化が進めばより優れた製品が出てくるものと考えています。