株式会社ベッセルから、USB充電で使用できるボールグリップ型の電動ドライバー220USBが発表された。一見すると、普通のボールグリップ形状のハンドドライバーのようだが、USB充電によって動く電動ドライバーなのが特徴だ。
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ボールグリップの電動ドライバーをずっと待っていた!
最近の電動工具の新製品は、小型化や高電圧化と謳われてはいるものの、従来モデルから大きな変化のないものばかりになっている印象を受けていた。そんな中、ベッセルから発売された電ドラボールこと220USBは、久々に「すぐにでも使ってみたい!」と言う興奮を抑えきれない電動工具となりそうだ。
電ドラボール220USBは、名前の通りボールグリップのハンドドライバーにモーターを内蔵した超小型の電動ドライバーだ。コンセプトとしてはビット差し替え式のボールグリップが、そのまま電動になった製品と言える。
まずカタログを見て驚くのが驚異的なまでのコンパクトさと軽さだ。本体の大きさは140mmと通常のボールグリップのハンドドライバーの握る部分よりも数センチ長いくらいで、重量は160gと非常にコンパクトな製品になっている。
スイッチはスライドスイッチを採用しており、前後に動かすことで正転・逆転を切り替えることが出来る。LEDも内蔵されており、暗い所でも使用できるのがポイントだ。
電ドラボールとペンドライバーを比較
これまでのペンタイプの電動ドライバーと比較しても、220USBは異彩を放つ電動ドライバーだ。マキタのスティックタイプの電動ドライバーと比較してみよう。
製品名 | 220USB | MDF001DW | TD022DZ |
外観 | |||
締付けトルク | 2N・m | 6N・m | 25N |
回転数 | 280min-1 | 220min-1 | 2450min-1 |
バッテリー電圧 | 3.6V | 3.6V | 7.2V |
バッテリー容量 | 800mA | 1500mA | 1500mA |
充電時間 | 60分 | 180分 | 30分 |
充電方式 | USB | USB | 専用充電器 |
重量 | 160g | 360g | 550g |
全長 | 140mm | 205mm | 227mm |
これまでもペンタイプや小さなスティック形状の電動ドライバーは発売されていたが、その小ささはこれまでの物と比べ物にならないくらいコンパクトになっている。ボール形状のグリップをそのまま電動ドライバーにしてしまったのは電ドラボールが初ではないだろうか。
スペックこそこれまでの電動ドライバーに劣ってしまうが、その小ささと取り回し良さで、ハンドドライバーをそのまま置き換えても問題ない手軽さを持っている。
用途としては、電気工事・設備工事などの小径ネジ、低トルクの締め付けを想定している。
充電はUSB端子から、モバイルバッテリーもOK
電ドラボールには充電器がなく、USBから充電する方法になっている。USB端子さえあればカーソケットUSBプラグやモバイルバッテリーなど様々なものが使えるのは嬉しいポイントだ。
充電電流は最大1Aで、充電時間は60分となっている。
電動と手動、両方使える
電ドラボールに搭載されている嬉しい機能こそ「手動で締め付け」ができる機能だ。この機能がなくては、いかに電動化したとしても作業現場などで使うことはできない。
この機能により、早締めはモーターで高速締付け、本締めはいつもと同じ感覚で手で締め付けることが出来る。
スティックタイプの電動ドライバーには「手締め機能」として、手で締め付けた時に内部のモーターが空回りしないような構造を搭載しているのだが、電ドラボールのこのサイズでもその構造を搭載しているのだから驚かされる。
強い力で手締めしたら壊れない?
少し気になってしまうのが本体の耐久性だ。電ドラボールを手で締め付けた場合の最大トルクは10N・mまでとなっており、これ以上の力を加えて電ドラボールを破壊してしまわないか不安が残る。しかし、そんな心配は大丈夫だろう。
VESSELによる検証では、ハンドドライバーで締め付けた場合の締付けトルクの参考値としてスーパークッションを使用した場合の8.0N・mが最高値としている。これなら電ドラボールの手締めトルクは10N・mもあれば問題ないだろう。
まとめ|工具の新しい流れとなるか?更なる進化に期待
以前から、ハンドドライバーサイズの電動ドライバーが出ないかな。と考えていたことあり、今回のVESSELから発売された電ドラボールは、久々に「これは!」と感じた電動工具だ。
価格もプロ向けの電動工具としては非常にリーズナブルな値段で購入しやすい価格となっている。この価格帯ならば、自身の作業用に使うだけではなく、ギフトやプレゼントなどの贈り物にしても喜ばれそうだ。
さて、話は少し変わるが、VESSELと言うハンドツール・ビットメーカーが電ドラボールのような製品を出したのは、工具業界として非常にインパクトのある出来事だと考えている。
現在の大手電動工具メーカーには、自社のバッテリーを売りたいという思惑があるため、このようなUSB充電の電動工具にはほとんど力を入れていないのが現状だ。そんな中、ビットのトップメーカーであるベッセルが、電動工具メーカーの思惑に縛られることなくユーザーの求めていた製品を発売したことは、工具業界にとって小さいながらも非常に大きな一歩を踏み出したものと考えられる。
今回の電ドラボールや以前紹介したEARTH MANのHome-Linkシリーズに始まるUSB充電の電動工具は、バッテリー独自規格の乱立を終わらせ、USB充電主体の電動工具の先駆けとなる製品群になっていくのかもしれない。