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EGO(イーゴ)、ISEKIアグリの代理店契約による日本展開を開始、高電圧充電式OPEシリーズが到来

EGO(イーゴ)、ISEKIアグリの代理店契約による日本展開を開始、高電圧充電式OPEシリーズが到来

ISEKIアグリ、EGOブランド園芸機器の国内取扱いを発表

2025年6月12日、井関グループの子会社である株式会社ISEKIアグリ(東京都)は、中国・南京市を拠点とするChervon(チェルボン)社との間で、EGO(イーゴー)ブランドの国内代理店契約を締結したことを発表しました。

ISEKIアグリはこれまで、エンジン式の刈払機やハンマーナイフモアなどの取り扱いを中心に展開してきましたが、本提携により乗用芝刈機、刈払機、ブロワーなど計20製品の新たな充電式園芸機器の販売ラインナップに加え、全国の販売網とアフターサービス体制を通じて普及を図ります。

EGOとは ― 充電式園芸機器で存在感を増しつつある新興ブランド

EGOは、中国の大手電動工具メーカーChervon(チェルボン)グループが展開する、充電式園芸機器のグローバルブランドです。

EGOは2012年に誕生し、家庭用からプロフェッショナル用まで幅広いラインナップをそろえた園芸機器を提供する園芸機器ブランドです。特に独自の56VバッテリーのARC Lithiumシリーズは、ガソリンエンジン式に匹敵する高出力と大容量バッテリーを特徴としており、海外市場においては90を超える製品ラインナップを展開しています。

海外市場におけるEGOブランドは、北米市場での本格展開を皮切りにヨーロッパやオーストラリアなど主要先進国でシェアを拡大しており、現在では100カ国以上で展開されている園芸機器ブランドです。特に北米では、家庭向け充電式芝刈機やブロワー分野でのホームセンター展開でトップクラスの販売実績を誇り数々の業界賞も受賞しています。

また、EGOは中国Chervon社が展開する園芸機器ブランドであり、EGO以外にもFLEXやSKILなど世界的な電動工具ブランドを多数持つ総合電動工具メーカーであり、北米地域では電動工具分野としても一定のシェアを持つメーカーとして展開が行われています。

中国Chervon社のEGO以外のブランド。FLEXは、DeWALT・Milwaukeeに続く3社目の積層リチウムイオンセルバッテリーパックを扱うブランドであり、SKILは元BOSCHグループの電動工具ブランドである。日本市場でChervon社の影響はほとんどないが、海外市場では大きな影響力を持つメーカーとして認識されている。

EGO ARC Lithium 56Vシリーズの特徴

EGOの主力シリーズは、ARC Lithium 56Vシリーズと呼ばれる高電圧大容量のバッテリーパックを使用する製品シリーズです。

ARC Lithiumバッテリーは、一般的な電動工具の18Vや36Vよりもさらに高い電圧となる14直列構成の定格50.4Vのリチウムイオンバッテリーパックであり、高電圧によるパワフルな出力と長時間稼働はガソリンエンジン式機器に匹敵する性能を実現しています。セルをアーチ状(弓型)に配置した独自設計によって放熱性・冷却性にも優れており、作業中の高負荷時でも安定した出力を持続できるのが特徴です。

日本市場では、2.5AhバッテリーのBA1400から10.0AhバッテリーのBA5600Tまでの4種類を展開しており、充電器は2ポート充電器のCH2800Dと急速充電器CH5000を展開しています。BA5600TをCH5000で充電すると約90分で満充電にできます。

ISEKIアグリの2025年発売時点では、常用芝刈機、刈払機、ブロワ、チェンソー、パワーヘッド、高圧洗浄機の6種が展開します。ちなみに、海外市場ではヘッジトリマやインバータ、ライト、除雪機、さらにはバイクまで展開しています。

海外EGOの製品ラインナップ。園芸機器中心だが日本で販売されている充電式機器よりも高出力で大型な製品が多い
EGOブランドの充電式ミニバイク、7.5AhのARC Lithiumバッテリーを2本装着して最大45km/h、最大27kmの走行が可能。公道走行不可で私有地でのみ走行できる。

販路的に一般・セミプロユースのHC販路に乗るかは難しいところ

EGOブランドは、北米地域ではホームセンターでの取り扱いが中心となっており、一般ユーザー層にも広く普及しているブランドですが、日本市場においては農機卸売業のISEKIアグリが取扱う形となったため、主な販売対象はプロユーザー層になると想定されます。

日本市場でのEGO製品の購入方法については、基本的にISEKIアグリの取扱販売店を通じて注文する形となり、体験会や展示会の開催もあまり期待できないと考えられます。ECサイトでの購入も一部可能になると予想されますが、ネット上での販売はかなり限定的になるかもしれません。

こうした状況を踏まえると、農作機械で大規模な販売網を持つ井関農機株式会社グループがEGOの取り扱いを開始したこと自体は歓迎すべきことですが、卸売販売子会社である株式会社ISEKIアグリによる代理店契約の規模を考慮すると、海外市場ほどの展開力は見込めず、日本市場での知名度や販路拡大については劇的な普及は難しいと予想されます。

国内市場では、マキタの40VmaxシリーズのOPE製品群も競合となりますが、実際にはHusqvarnaやSTIHLといったプロ向け専業メーカーを主なターゲットとする可能性が高いでしょう。特に、常用芝刈機やマルチツール、高圧洗浄機など、海外市場で展開されている多彩なラインナップを考慮すると、日本市場でも今後の展開次第では、今後のより広範な普及も期待できるかもしれません。

北米のホームセンター Lowe’sのEGOコーナー
EGOブランドの充電式刈払機やチェンソー、ブロワなどが展示されている。北米では園芸機器の需要が大きいためホームセンターでの展示コーナーも広く取られている。
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