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2023年12月11日

ブラシレスモーターとブラシ電動工具の修理費の違いについて

ブラシレスモーターとブラシ電動工具の修理費の違いについて

電動工具を修理に出す時、修理の見積金額が高くなって驚く方も多いと思います。

本記事は電動工具を修理に出す場合の事情などを、販売店からの情報収集や私的見解も含めまとめた記事になります。

電子部品とユニット化で修理部品の単価が上昇

電動工具の修理単価が上がった大きな要素には『ブラシレスモーター』化が挙げられます。

ブラシレスモーターは従来のモーターと比べて、インバーターやマイコンなど電子部品を大量に必要とします。部品の原価は勿論、設計コストなども上乗せされるため、修理部品の単価も上昇します。

更に、この修理部品のコストを上げる要素となるのが修理部品のユニット化です。

例えば、ブラシ式のモーターは、モーター周りの部品が細かく供給されていて、ユニット化されていないため壊れた部品のみを交換すれば修理できます。

電動工具のモーター部品は「アーマチュア」「ヨークユニット」「ブラシホルダ」など様々な部品でモーターが構成されており、故障した部品に応じて最小限の部品交換で対応が可能でした。モーター自体もシンプルだったため、販売店での修理も行いやすく、モーターの構造に詳しい方であれば、部品を交換しなくても修理できることもありました。

しかし、ブラシレスモーターではこのモーター構造が一気に複雑になります。

部品の交換は事実上不可能となり、ブラシレスモーターの修理はユニット化されたコントローラの一式交換となってしまいました。

例えば、ブラシレスモーターが動かなくなった場合、コントローラーの一式交換が通常の対応となります。しかし実際に故障している部品は数十円の電子部品が一個破損しただけ、なんてことも珍しくありません。だからと言って、その数十円の部品を交換する体制を販売店や全国に配置されたメーカー直営の修理所に整えることは事実上不可能です。

修理するための体制を整えると、破損した電子部品を特定できる技術者や、数百種類もある部品の在庫の管理、専用設備の設置コストなど膨大なコストが発生します。このコストは部品以上のコストとなり、修理見積費用や工賃として非常に高いコストとしてユーザーに跳ね返ってきます。

結果として「起動しなくなったりモーターが回らなくなったらコントローラ一式交換」の方がコスト安となっているのが現状です。

これについては電動工具業界以外のメーカー修理全般に言える事であり、アフターサポート最適化の結果として仕方のない事かもしれません。

ブラシレスモーターとブラシモーターの修理価格比較

モーターの違いで修理部品にどれだけの価格差があるか、実際の修理部品で違いを比較してみます。

参考とするのはHiKOKI製の18Vインパクトドライバです。ブラシレスモータ搭載のWH18DDL2とブラシモーターのWH18DKLでは修理部品の価格はどれくらい異なるのでしょうか。

下記は、モーターが全く動かなくなった場合に交換する可能性のある部品をリストアップした表です。

製品名 WH18DKL
(ブラシ式モーター)
WH18DDL2
(ブラシレスモーター)
製品外観
ステータ部 ¥5,501 マグネット ¥8,662 電源組
アマチュア部 ¥3,143 アマチュア
¥941 ブラシブロック
¥6,178 ローター組
スイッチ ¥1,797 電源組に含む(単体:¥2,113)
コントローラ部 ¥3,143 電源組に含む
合計金額 ¥14,525 ¥14,840

修理部品の合計金額では2つの製品に大きな価格差はありませんが、ブラシ式モーターの修理において上の表全ての部品を交換することはごく稀です。部品どれか1つの交換で修理できることも多く、実際はアマチュアやターミナルの交換だけで済む場合が多いです。

一方、ブラシレスモーターはモーターが動かなくなった時点で電源組(マキタではコントローラ)の交換となります。メンテナンスフリーを謳うブラシレスモーターですが、故障した場合の修理費用はブラシ式モーターよりも高くなるリスクがあります。

基本的に、ブラシレスモータの回路が壊れるとほぼ電源組の交換が必須となりますが、ブラシモータの場合はアマチュアかコントローラのどちらかを交換すれば直るケースがほとんどです。

実際の修理では部品価格の他に、修理工賃や見積もり料が加算されるため、一概に全ての状況に当てはまる訳ではないことに留意してください。

メカ部分の修理費用は大きく変わっていない。

上記の話はモーター部分に着目した話であり、メカ部分に関しては修理費用の大きな変化はありません。

ここでのメカ部品とは、ベアリングやハンマ、パッキン、Oリングなど消耗品の交換などがメカ部品の修理に当たります。これらの部品は材質が変わったり小型化していますが、基本的な構造は大きく変わっておらず修理費用にも大きな変化はありません。

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