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独Wacker Neuson社の建設機械バッテリー”Battery One”で共通化
ドイツの建設機器メーカーであるWacker Neuson Produktion GmbH & Co. KGは共通バッテリーブランドであるBattey Oneを立ち上げました。
Battery Oneはランマーやコンパクターなどの小型建設機械に用いる共通化バッテリーです。Wacker Neuson社の小型建設機械に装着するバッテリーでしたが、企業の枠組みを超えて幅広い建設機械用に搭載できるバッテリーとして普及を図っています。
バッテリーは504Wh/1,008Wh/1,425Whのバッテリーパック3種を展開しており、充電器は充電電流7A仕様と13A仕様の2つを展開しています。
Systainerに収納できるバッテリー収納ボックス
Battery Oneは専用の収納ボックスも展開しており、保管や輸送時にも傷を付けず効率的に収納できます。
このケースはTANOS Systainerに準拠しているケースなので、構造的にマキタ マックパックやHiKOKIシステムケースとも連結できます。
日本では小型建設機械メーカーの三笠産業が参画
日本市場では、小型建設機械メーカーの三笠産業がBattely One対応のタンピングランマー MTX-i60を展開しています。
Battery One BOB10 (1,008Wh)をハンドル部分に装着する構造になっており、定格出力2.3kWのブラシレスモーターを計算上約25分稼働できます。
2025年時点で参画は世界で5社
産業向け大型バッテリーもアライアンス戦略は始まったが…
電動工具の分野では、2023年5月に工機HDがマルチボルトアライアンスを設立して共通バッテリーとして名乗り上げたのは記憶に新しいところですが、建設分野でも共通バッテリーの動きは活発に行われているようです。
建設分野に用いられるバッテリーに関しては出力や作業時間の関係から大型パック化しなければならず、機械設計に強みを置く建設工具メーカーが全く未知の技術である大型バッテリーパックを設計するのは難易度の高い製品となっています。そういう意味で、大型バッテリーを各社で共通を進めるのは自然な流れなのかもしれません。
とは言え、建設機器においてリチウムイオンバッテリーの性能でガソリンエンジンの優位性を崩すことは極めて難しく、コスト的な優位性にも乏しいので、どちらかと言えばトレンド的な環境対策や市場的に先手を打つ意味合いが強い戦略なのだろうと思っています。
さて、今回のような共通バッテリーが登場すれば建設機器のバッテリー化もスムーズに進むと思ってしまうのですが、実際はそこまで都合の良い話では無いのが現実です。ユーザー的には各社同じバッテリーが使えて安くバッテリーを調達できる利点があるのですが、早々上手くいかないのが現実です。
例えば、建設機器メーカーにとって動力源がエンジンだった技術者にとってモータやバッテリーは未知の技術であるため、完成した共通化バッテリーが登場したとしても製品として形にすること自体敷居が高く、さらに製品価格全体の約3~4割を占める部材を完全な社外依存になる欠点は経営や調達的な面で色々と不都合な点もあったりします。
今回の共通バッテリー Battery Oneもその例に漏れず、展開自体は2022年から始まっているようですが劇的に普及しているわけではないようです。共通バッテリーに関しても、まだまだ手探り感も強く、正解となるデザインパターンも無いので、もう少し様子を見た方が無難なのかもしれません。