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やまびこ ECHO 50V Batteryアライアンスが始動、ハイパワーバッテリーの共通化を実現へ

やまびこ ECHO 50V Batteryアライアンスが始動、ハイパワーバッテリーの共通化を実現へ

小型屋外作業機械の製造販売を行う株式会社やまびこ(本拠地:東京都青梅市)は、2023年10月11~13日開催の第13回農業WEEK(会場:幕張メッセ)で同社が展開するバッテリーシリーズ ECHO 50Vシリーズの協業企業コンセプトモデルを展示した。

本記事はイベント取材時点の製品情報を紹介・解説するものであり、製品仕様や発売時期を保証するものではありません。

やまびこ ECHO 50Vシリーズのバッテリーアライアンスが本格始動

小型屋外作業機械の製造販売を行う株式会社やまびこは、2024年10月9~11日開催の第14回農業WEEK(会場:幕張メッセ)でECHO 50Vバッテリーシリーズのアライアンスを発表しました。

ECHO 50V Batteryアライアンスとは、やまびこECHOシリーズの50Vバッテリーを他社向けに供給する取組みのことです。同社のECHO 50V Batteryを使用できるECHOブランド以外からの開発・販売が本格化します。

やまびこは既に昨年の農業Weekで同社のバッテリーを用いた協賛企業コンセプトモデルを展示しており、今年の展示では正式の50V BatteryアライアンスとしてECHOバッテリーを用いた製品開発に参画する企業を募集しています。

ECHOバッテリーは14直列の公称動作電圧 50.4Vのバッテリーパックで、農機園芸用途で必要とするハイパワーな製品にも対応できるのが強みです。

2024年 農業Week 50V Batteryアライアンス参画製品

昨年のECHO 50Vバッテリーコンセプトモデルに加えて、2024年の展示会では新たに3つ製品が参考出品していました。

みのる産業株式会社 自走式マルチチェアー

畑の上を楽に移動できる自走式のマルチチェアーです。

サツマイモなど野菜苗の移植時に腰をかがめず乗ったまま移動できる農機で従来のガソリンエンジン搭載モデルに比べて軽量化しており、振動や騒音を低減させて作業者や周囲の負担を大きく抑えられるようになっています。

SEEDsロボティクス株式会社 追従ロボット台車

やまびことSEEDsロボティクス株式会社が共同で開発しているのが、電動牽引式追従ロボット台車 BTRC200Xです。

このタイプの牽引台車は、先端のテザーハンドルを引っ張ることでその方向に追従する仕組みになっており、4輪駆動なので大荷重の荷物を載せても作業者は重さを感じることなく運搬できるのが大きな強みです。

elever lab合同会社 電動クローラ型4輪車

実物の展示品はありませんでしたが、電動クローラ型の4輪車もECHOバッテリーで動かせます。

elever lab合同会社は2021年に立ち上げた従業員3人の小さな機械メーカーですが、この規模でもECHO 50Vバッテリーを使った試作機を作れるのは他のバッテリーには無い大きな強みなのではないかなと思っています。

同社サイトのお知らせ内ではモンスターマシン製作中としてECHOバッテリー4本装着の電動クローラの製作過程を発信しています。

バッテリーのみのアライアンス展開で駆動部等の技術提供が無いのがネック

現在の農機具メーカーにおいて、エンジンからバッテリーモーターへの移行は一種のトレンドになっていて、この手のバッテリープラットフォームの需要は今後も伸びていくものと想定しています。

類似するバッテリー共通化プラットフォームとしては、HiKOKIマルチボルトアライアンスを始め、BOSCH AMPShareやホンダ eGXなどもありますが、担当者の方に話を聞いた限り、印象的に最も手を出しやすいプラットフォームはECHO 50Vバッテリーではないかなと思っています。

適当にバッテリーを使うだけであれば、放電制御仕様の容易さもあってマキタ18Vバッテリー 一択なのですが、企業方針的にマキタから公認を受けることは難しいものとなります。そのため、他社製のバッテリーを使って実際に販売を行う場合、メーカーからの公認を受けるのが理想的です。

個人的に好印象だったのが、elever lab合同会社も参考出品として展示しており、従業員数人の企業の試作検証機に対してもイベント上で取り組みとして紹介する姿勢は、アライアンスとしての普及に積極的に取り組んでいるんじゃないかなと思っています。展示会を行うたびに新しいコンセプト製品を見れるので、現状最も期待しているバッテリー共通化プラットフォームと評価できます。

ECHO 50V batteryアライアンスの担当者の方に話を聞いた限りでは、バッテリーターミナルの購入は試作だけであっても手を出しやすい価格になっているようで、バッテリーの調達ロット数も100前後からと、バッテリーパックの調達として考えれば比較的良心的な条件での調達が可能なようです。ただし、提供するのはバッテリー本体のみで、モーターやパワーユニット、開発指導などは現状行う予定はないとのことでした。

現状、本格的にプラットフォームとしてバッテリー普及を進めていくためには、技術指導や制御回路、モーターユニットの提供などを含む包括的なプラットフォーム提供が必要になると想定しています。辛辣な印象なのですが、エンジンメーカーがバッテリー化に取り組む姿勢は結構他力本願な印象が強く、本当に手取り足取り教えたり、エンジンを丸ごと置き換えられるようなユニットを提供しないと実際の普及は難しいだろうと思っています。

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