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京セラインダストリアルツールズ デュアルパワーボルトを発表

京セラインダストリアルツールズ デュアルパワーボルトを発表

京セラインダストリアルツールズ株式会社(本社:広島県福山市)は、2022年9月の総合カタログ上で新バッテリーシリーズ デュアルパワーボルトを発表した。従来の18V機器への互換性を保ちつつ36V出力する機能を搭載する。同時発売予定の36V対応機器は2機種を予定する。バッテリーの希望小売価格は24,000円(税別)。

18V-36V切り替え機能搭載のデュアルパワーボルトが登場

京セラインダストリアルツールズ株式会社は、2022年9月総合カタログ上で新型バッテリー デュアルパワーボルトバッテリー DB3625Lを発表しました。

デュアルパワーボルトは、18Vと36Vどちらの工具にも使用可能なAC機を超えるハイパワーバッテリーを採用する京セラブランド電動工具の新シリーズです。

旧RYOBI時代から続く18Vバッテリーとの互換性を有したまま、今後新しく製品展開が行われる36V園芸工具への装着にも対応します。

バッテリー仕様は、18V動作時 5,000mAh/36V動作時 2,500mAhとなり、バッテリーパックの電力容量は90Whになります。充電器は従来18Vモデルと共用が可能です。

ちなみに同仕様のバッテリーにはHiKOKIのマルチボルトがありますが、電圧を切り替えるコンセプトそのものは特許の対象ではありません。今回のデュアルパワーボルトバッテリーは、DeWALTのFLEXVOLTやHiKOKIマルチボルトとは異なる切替機構の搭載によって特許を回避したものと推測されます。

デュアルパワーボルト対応製品 第一弾は刈払機とチェンソー

デュアルパワーボルト36Vの対応製品は、充電式チェンソー DCS3640L2と充電式刈払機 DK3600L2の2機種の販売が予告されています。

2022年9月時点では、園芸製品を中心とした製品展開が行われるようです。

初出情報時点では期待値が低く、評価としては辛辣になってしまう

今回のデュアルパワーボルトのコンセプトは、高電圧によるモータパワーの向上を目的とした新しいバッテリーシリーズです。高電圧化については18Vバッテリー以降世界各社が展開を進めており、国内事例ではHiKOKI(旧日立工機)とマキタがそれぞれ36Vバッテリーシリーズを展開しています。

国内市場における36V化は、技術的な革新性よりも企業都合の思惑が強く見られる製品です。HiKOKIは日立グループ離脱に伴う再上場に向けた新たな商材の必要性があり、マキタは18Vバッテリー仕様の限界による技術的負債を一新するための側面を持つなど、それぞれ各社の必然性によって開発が行われています。

京セラ デュアルパワーボルトに関しては、36V化の必然性が特段見当たらず、単純な売上増要因の商材の立ち位置でしか無く登場時点での市場の優位性もありません。さらに辛辣な意見を述べれば、旧RYOBIブランドの市場シェアに占める割合は低く、仮に互換性を廃したとしてもシェアを高めさえすれば旧バッテリーの影響は希薄化できたので、デュアルパワーボルトは市場シェアの高くない立場ながらシェアの保身に走り過ぎ、次世代蓄電池が登場した時の技術的負債を互換性によって悪戯に残しただけとも捉えられます。

旧RYOBIから電動工具事業を買収し、京セラブランドから世界市場に挑戦することが可能になったことで新たな商材を必要とした背景には察する部分もありますが、バッテリーパックの単なる高電圧化が電動工具メーカーの売上成長に大きな影響を与えないことはDeWALT・HiKOKI・マキタの3社によってこの10年程で十分に示されていたと考えています。

それでも尚バッテリーの高電圧化が魅力的な商材に見えていたのなら、結局、京セラ資本下になってさえ他社採用実績ありきの発想しか持たず、後塵を拝す製品開発しかできない凡的な日本企業なのだと、京セラの電動工具参入に対する期待は大きかっただけに失望も少なからず感じています。

もちろん世界市場への大々的な拡販キャンペーンや製品拡充などの動きや京セラ傘下のSENCOブランドのバッテリー統一の動きも見られれば手のひらを返して賞賛する事態もあり得ますが、2017年以降の工機HD マルチボルトシリーズ戦略の顛末と、京セラインダストリアルツールズの企業規模や京セラ本体の電動工具事業への介入が比較的消極的である点を考慮すると、デュアルパワーボルトシリーズは京セラインダストリアルツールズの僅かな売上寄与に留まる程度の商材にしか至らないと予想しています。

電動工具のシェア獲得については、技術動向よりも製品拡充や販路構築が主体を占めるため、まずはデュアルパワーボルトそのものよりも、この商材を起点とした今後の京セラ電動工具の世界展開動向の様子を見たいところでしょうか。

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