マキタから2019年2月に発売されたクリーナー『CL280FD』はブラシレスモーターを搭載した、業界初のハイエンドスティッククリーナーだ。今回のCL280FDシリーズは、電動工具メーカーが販売するスティッククリーナーとして、初めてブラシレスモーターを搭載したクリーナーだ。ブラシレスモーターの搭載によりカーボンブラシの摩耗がなくなったことで、高い吸込み仕事率と耐久性を実現している。
目次
吸込み仕事率が大きく向上した新型クリーナー
マキタの新型スティッククリーナー『CL280FD』は、18VクリーナーのCL180FDの後継モデルとなる製品だ。新しくなったCL280FDでは、搭載しているモーターがブラシレスモーターとなり、パイプの固定方式をロック方式に変更するなど、前モデルから大きく改善されている。
基本的なスペックとなる吸込み仕事率は、前モデルのCL180FDよりも大きく向上している。工具メーカーが販売するスティッククリーナーは、RYOBIの販売するBHC-1800が最高の60Wであり、それと並ぶ形でトップクラスの性能となった。
延長パイプはロック式に変更
パイプの固定方法も変更されている。これまでの構造はパイプを差し込むだけだったが、ロックボタンが追加されパイプを確実に固定できるようになっている。
差し込むだけの従来方式では、摩耗やごみの付着等により抜けやすくなる場合があり、作業中のパイプ脱落や差し込みがズレてしまうことも多かった。今回のロック方式によりパイプ脱落などの心配は無くなるだろう。
残念なのは、これまでのパイプやサイクロンユニットとの互換性がなくなってしまった点だ。
ブラシレスモーターで耐久性が2倍以上になり、使用時間も向上
電動工具メーカーが販売するスティッククリーナーとして、ブラシレスモーターの採用は業界初となる。
工具としては一般的となっているブラシレスモーターだが、クリーナーにおいてもブラシレスモーターを採用するメリットは大きい。
まずメリットとして一番に挙げられるのが、耐久性の向上だ。従来のブラシモーターはカーボンブラシの摩耗でモーター寿命となってしまうため、ブラシモーターのクリーナーの寿命は長くはない。作業量にもよるが、清掃業務などで毎日使用した場合でモーター寿命は概ね1,2年となり、細かい砂や石膏粉を吸い込んだ場合、ブラシの摩耗を促進させるため更に寿命は短くなる。
ブラシレスモーターはカーボンブラシが不要なため、モーターとしての寿命は非常に長く、軸受けの寿命まで使用することができる。
また2つ目のメリットは、連続作業時間の向上だ。ブラシレスモーターはブラシモーターよりも効率が良いため、1充電当たりの使用時間は大きく向上し、電動工具メーカーのスティッククリーナーとしては最も長い作業時間となっている。
モーター軸受けにボールベアリングを採用、耐久性が大幅アップ
軸受けもメタル軸受けからボールベアリング軸受けに変更しているのも大きな変更点だ。従来のメタル軸受けは異物の侵入に弱く、メタル摩耗によりモーター軸のがたつきが発生し、異音や振動の原因となっている事も多かった。
ボールベアリングを採用することで、異物の侵入による軸の摩耗は従来モデルより低減され、耐久性は大きく向上していると考えられる。
スイッチとダストボックスの違いで3バリエーション
CL280FDシリーズには、スイッチやダストボックスの違いで3つのバリエーションが展開されている。
カプセル式とスライド+トリガスイッチを搭載した『CL280FD』は、細かいON・OFFや、紙パック不要のカプセル式を採用していることから、ビルメンや駅など公共設備などの移動の多い清掃業務に活用できるだろう。
カプセル式とタッチスイッチを搭載した『CL281FD』では、パワフル・強・弱の3モード切替を搭載し、パワフルモード時には最大60Wの吸込み仕事率となっている。
タッチスイッチはトリガと違い、長時間使用しても指が疲れないのがポイントだが、CL280FDはスライドスイッチも搭載しているため、モード切替によるハイパワーな吸込みや、弱モードでの長い稼働時間を活かせる使い方がおすすめだろう。
そして3機種目になるのが、紙パック式となる『CL282FD』だ。紙パック式の最大のメリットは、ダストボックスからのゴミ廃棄時に飛散せず、排気もクリーンであることだ。屋外での掃除や、石膏紛の吸込みなどにクリーナーを使う場合などは、紙パック式のCL282FDを使用することで粉じんの撒き散らし防止や本体寿命を延ばすことに繋がるためおすすめだ。
過去モデルとスペック比較
過去モデルと比較すると、CL280FDはマキタのスティッククリーナー中でのハイエンドモデルと言った印象を受ける。
本体スペックが大きく異なるのはもちろんだが、価格差も大きいため、使用用途などを見極めてミドルレンジのCL180FDとハイエンドのCL280FDを選ぶ必要があるだろう。
製品名 | CF280FD | CF180FD |
---|---|---|
製品外観 | ||
吸込み仕事率 | 45W | 37W |
集じん容量 | 750mL | 650mL |
連続使用時間 (BL1860B換算) |
40分 | 40分 |
寸法 (長さx幅x高さ) |
1,016×113×155 | 999×114×152 |
重量 | 1.4kg | 1.4kg |
他社モデルとスペック比較
他社のモデルと比較では、RYOBIのBHC-1800が直接比較できる製品となりそうだ。
本体スペック的には大きな違いはないが、先述したモーターの違いや、マキタバッテリーの汎用性の高さを考え、価格差に大きな違いもないことから、ハイエンドクラスのスティッククリーナーはCL280FD一択となりそうだ。
製品名 | CF280FD | BHC-1800 | R18DA |
---|---|---|---|
外観 | |||
吸込み仕事率 | 45W | 60W | 40W |
集じん容量 | 750mL | 500mL | 560mL |
連続使用時間 6.0Ah換算時 |
40分 | 30分 | 48分 |
スイッチ | トリガ+スライド (他仕様あり) |
タッチ | タッチ (他仕様あり) |
寸法 (長さx幅x高さ) |
1,016×113×155 | 970×121×188 | 989×114×153 |
重量 | 1.4kg | 1.5kg | 1.6kg |
性能的には申し分なし、プロ向け業務クリーナーのハイエンドモデル
今回のCL280FDは、モデルチェンジと言うよりも、前モデルのCL180FDをミドルクラスとして据えた上での業務用クリーナーのハイエンドモデルと言った印象を受ける。メーカー希望小売価格を見ても、約6,000円の価格差があるため、業務用クリーナーのラインナップ戦略の一環と考えることができるだろう。
マキタのクリーナーはコスパの良さと耐久性が一般ユーザーにも受けて、マキタ自体の認知度を高くする要因となった製品だが、やはりマキタクリーナーの本領は業務用途クリーナーだ。
CL280FDで変わった部分の一番の利点は、やはりブラシレスモーター搭載による耐久性の向上が上げられる。若干価格は上がったものの、更に高耐久となった業務用クリーナーはコストパフォーマンスも良く、屋外での使用や細かい粉じんを吸うことが多い高耐久な業務用クリーナーは、プロユーザーにとって魅力的な要素となるだろう。
一方、一般家庭向けとしては、ニーズとあまり噛み合っていない印象だ。マキタのターボなどを代表するクリーナーは、高いコストパフォーマンスと業務用クリーナーの耐久性が受け入れられた結果として人気となったクリーナーだ。
CL280FDは、劇的に吸込み性能が向上したモデルではありません。家庭で使うクリーナーとしては10.8VのCL108FDで十分だろう。