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2023年1月8日

マキタ 充電式保冷温庫 CW001Gの初期不良品を修理した話

マキタ 充電式保冷温庫 CW001Gの初期不良品を修理した話

マキタの充電式保冷温庫 CW001Gを購入したら保温モードが働かない初期不良品を引いてしまいました。今回はCW001Gを分解して修理完了するまでのレポート記事です。

  • 新品のマキタ CW001Gを購入したら保温モードで温かくならない不良品だった
  • 急ぎ使用しなければならなかったので自前で分解修理
  • 不良の原因はヒーター配線抜け

保温モードで温かくならないマキタCW001Gの初期不良品

2022年9月ごろにマキタの充電式保冷温庫 CW001Gを購入しました。

早速箱から取り出して動作確認を行ってみたところ、保冷モードではちゃんと庫内温度が下がるものの、保温モードでは全く温度が上がらない状態でした。

モードの変更や電源の入れなおし、ACアダプタ・バッテリー動作などを色々試してみたものの一向に温度が上がる気配がなかったため、どうやら初期不良品を引き当ててしまったようです。

この製品は初期不良品にあたるため、マキタ取扱店に持ち込んで無償修理か製品交換を要求するのが正しいやり方なのですが、すぐ使わなければならない予定があったため自力で修理してみます。

分解前に海外マキタから製品展開図をダウンロードしておく

故障の状態を確認するためには、内部のコントローラ基板を確認しなければいけません。

日本のマキタは製品展開図を一般ユーザー向けに開示していませんが、欧州地域のマキタ公式サイトの一部では製品ごとに展開図を開示しています。

日本の製品とは仕様が異なる場合もあるので注意は必要ですが、内部構造確認の参考にするためダウンロードしておきます。

CW001Gはタイヤを外さないとカバーが外れない構造になっていることが確認できた。タイヤは圧入やラッチではなくねじ止めなので、カバーを外せば簡単に取り外しができそうだ。

分解してコントローラ基板にアクセスする

製品の分解・修理は自己責任となります。

製品展開図からCW001Gの内部構造が確認できたので、分解してコントローラ基板の確認を始めます。分解に必要な工具は#2プラスドライバーと#3プラスドライバー・精密マイナスドライバーです

最初にバッテリー装着部のカバーを開けて、上2本のねじを外します。

次に側面グリップ部の2か所のネジを外します。

タイヤを外します。タイヤカバーの隙間にマイナス精密ドライバーをねじ込んでラッチを外します。

タイヤは#3プラスのネジで固定されているので、#3プラスドライバーで緩めます。

タイヤが取れたらタイヤ裏カバーを固定しているねじ3本を取り外します。片方が終わったら、反対側も同じように取り外しましょう。

本体をひっくり返して、本体側面のフィルターカバーを外して2か所のねじ止め部を外します。

最後に、本体底面の6本のネジを外せばカバーが外れコントローラ基板が見えるようになります。(ラバー部のネジは外さなくてもOKです)

保温モードが働かない原因はヒーター配線抜け

コントローラ基板の状態を確認すると、ヒーターと思われる2本の配線のうち1本のコネクタが抜けていました。

保温動作が働かない原因は、コントローラ基板とヒーターをつなぐ配線が抜けていたためにヒーターが通電しておらず庫内を暖めることができなかったためと考えられます。

配線が抜けていただけだったので、そのまま差し込んで動作確認したところ、ちゃんと庫内が暖かくなり温度も上がっていきました。

今回のような組立不良品に対しては比較的同情気味

今回のヒーター配線抜けの組立不良については、組立後検査のヒーター通電時消費電力の確認で検出できなかったのかな?とも思ってしまうのですが、検査中だけ運悪く接触しており検査をすり抜けた可能性もあります。

不良原因や検査をすり抜けた原因を考えてしまうときりは無いのですが、筆者はこの手の単純な組立不良品の流出に対しては比較的同情気味です。

消費者の道理としては不良を一切出さないメーカーこそが理想なのですが、この手の不良は決定的な対策を行うことが難しく、どこかで品質向上策を切り上げないと延々と対策を行うことになりコストが肥大化してユーザー・企業共によくない結果になりがちです。

製品検査の強化としてダブルチェックやトリプルチェックを追加してもリンゲルマン効果によって有効な対策とはなりにくく、量産モデルに対して設計変更や製造工程で不良検出策を加えることもコスト的に難しいため(後継モデルで対策を行うことは必須ですが)、例えユーザーが泣き寝入りになったとしても、全体で見れば上流工程においては「現状維持」が最も合理的であり、実際の対応は下流のアフターサービスに委ねられることになってしまいます。

今回のような不良に対して比較的同情気味なのは、根本的な不良対策が難しいこと、そしてマキタのアフターサービス体制は電動工具メーカーの中では最も優れており、十分な修理サービスを受けることもできただろうと考えているためです。

マキタは電動工具メーカーの中で最もアフターサービスに力を力を入れている企業であり、昔から「修理3日体制」を謳い製品が壊れたときにプロの手を止めないようなサービス網を敷いています。修理対応においてもマキタでは修理待ちで2~3カ月となったことも無いため、不良やトラブルに対する市場の対応力に関しては信用のある企業だと考えています。

とは言え、これまで述べてきたことと矛盾してしまうのですが、筆者個人の心情として電動工具メーカーのしでかした事と考えれば今回の不良は同情の余地はあるものの、「充電製品の総合サプライヤー」を謳い市場拡大を目指すマキタの方針と昨今の家電分野の製品展開を考えればあまりにも迂闊な不良を出してしまったなと思う部分あります。

工具に慣れ親しんだユーザーなら修理に出すのも慣れたものですが、家電として購入したユーザーの心情としては、今回のような不良はあり得ないと捉えてしまうのではないでしょうか。

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