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Makita 40Vmax XGT MOTOR UNITを発表、汎用エンジンを置き換えるマキタブランドの汎用モータユニット

Makita 40Vmax XGT MOTOR UNITを発表、汎用エンジンを置き換えるマキタブランドの汎用モータユニット

本記事は、海外地域の情報を解説・紹介するもので国内市場における新製品発売を保証するものではありません。株式会社マキタ及びマキタ取扱店へのお問い合わせはお控えください。

Makita 40Vmax XGT MOTOR UNIT

Makita USA(北米マキタ)は、米国ロサンゼルスで開催されたWorld of Concrete 2026(日程:2026年1月20~22日)で40Vmax XGT MOTOR UNITを発表しました。

40Vmax XGT MOTOR UNITは、マキタバッテリを使用する汎用のパワーユニットです。

モータを搭載するパワーユニット単体としての製品であり、従来の汎用エンジンに代わる新たな動力源としてさまざまな製品への活用が期待される製品であり、既存の汎用エンジンから40Vmax XGT MOTOR UNITに換装することで手軽にゼロエミッションの電動化が実現できます。

モータユニットは汎用エンジンと同じクラッチと接続口を備え、回転数やスロットルレスポンス、電源スイッチを柔軟に設定できるオプションを備えており、IPX5規格への準拠で屋外作業にも対応できる汎用性を備えています。

販売スケジュールは、2026年夏に北米地域で先行して発売し、その後に世界的な展開が始まると予告しています。

日本市場での発売は未定であり、現時点で国内マキタは本製品に関するアナウンスを行っていません。

製品の特徴
「汎用エンジンを置き換える40Vmaxパワーユニット」

40Vmax XGT MOTOR UNITは、マキタ40Vmaxバッテリを使用し、既存の汎用エンジンを置き換えて使用できる汎用のパワーユニットです。

汎用エンジンとは小型エンジンの動力を外部に取り出せるようにした汎用の動力機で、刈払機のような形のエンジンであり、小型の建設機械から農業機械まで幅広い作業期の動力源にできるエンジンを指します。今回の40Vmax XGT MOTOR UNITは、バッテリとモータをまとめて汎用エンジンと同じ軸端形状を備えることで、従来の汎用エンジンをそのままモータ動力にできる製品となります。

エンジンからモータユニットに帰ることで、排ガス0による屋内作業でも使用できるようになり、エンジンによる騒音も発生しないので市街地や夜間工事でも使いやすくなるメリットがあります。

さらに、マキタ40Vmaxシリーズである本機は、一般的に市販されている40Vmaxバッテリを使用しているためバッテリ単体での調達性に優れており、充電環境の構築も容易であるため、運用面についても大きなメリットがあると考えられます。

カバー構造でIPX5準拠の防水性を確保

バッテリ装着部は半透明のカバーによって覆われており、過酷な現場や屋外使用時でも高い堅牢性を備えています。

パワーユニットはIPX5準拠の防水性を備えており、雨天作業にも対応できる製品仕様を備えています。

マキタの新しい事業の柱となり得る製品だが、マキタの企業文化に適合できるかは未知

経済アナリストによると、汎用エンジンによる市場規模は世界的に1兆円であり、成長率としては伸びに乏しいものの、堅実な規模を持つ産業として色々な業界で高い需要を持つ製品です。

昨今の地球温暖化に伴う排ガス規制が年々厳しくなる状況下で、汎用エンジンからそのまま置き換えるパワーユニットの登場は今後の電動化ニーズを汲んだ製品であり、事業的な成長戦略として良い商材だと考えられます。

今回のお披露目は北米展示会のWoC(ワールドオブコンクリート)であり、建機向けの製品展開が予告されていますが、本パワーユニットに関連する特許では農機関係の構想もあるようで、今後の高出力大型製品の展開にも期待される製品となっています。

参考画像:公開特許公報 特開2025-015155

さて、ここからはかなりネガティブな意見となってしまうのですが、マキタは本パワーユニットのOEM供給も予定していると発言していますが、率直な印象として、マキタが今回のモータユニットを他社向けにOEM供給を行うイメージが全く描けないのが正直なところです。

Makita USAの公式リリースでは下記のように発言しています。

Built for OEM Integration
Makita’s focus is on partnering with leading OEMs who want to electrify quickly — without compromising design or performance.
———
OEM統合向けに設計
マキタは、設計や性能を損なうことなく迅速に電動化を実現したい 主要OEMメーカーとの提携に注力しています。

この内容から、マキタはパワーユニットをOEMとして他社供給する計画があると読み取れます。

例えば、汎用エンジンは、自社でモータを開発するための資金・エンジニアリング投資なしに参入できる利点から採用される製品です。そのため、大手のメーカーでも汎用エンジンを採用することがありますが、逆にその調達性の良さから、小規模企業の少数生産にも多く採用されています。

この前提で考えると、今回のパワーユニットが仮に10,000台/年を出荷する規模になったとして、1社に対して10,000台の出荷となる可能性は高くないと考えています。現実的な考え方としては、中小企業開発の特定用途の少数生産製品需要に寄る可能性も高く、ロングテールのように取引企業が分散し、OEM供給側としてのマキタの負担はかなりのものになると想定されます。

これは結構シビアな話になってしまうのですが、リチウムイオンバッテリー搭載製品の開発経験が乏しい企業に対して、「エンジンから載せ替えられるのが利点」の話だけで商談を進めると大きなコミュニケーションコストが発生し、現実的に専任営業や技術者を1人付けなければいけないレベルになります。少なくとも、案件掛け持ちや開発兼任では対応不可能と考えられます。

そういう意味で、マキタは企業文化的にB2C/プロ向け販売網に強みを置く企業です。しかしながら、B2Bを目的とするOEM展開は販売網より「設計責任や保守責任、技術営業的な体制」が重きを置く市場であり、今回のパワーユニットのOEM展開に対してもB2B事業を前提とする営業体制や技術人員、協業体制、仕組みなどを経営レベルで敷き直す必要があると考えられます。

自社で強力な販路を持つマキタからすれば、今回のパワーユニットをOEMで展開するよりも自社ブランド開発のためにで活用した方が企業リソース的に有利、と経営レベルで帰結する可能性も十分あり得る話であり、最終的にOEM展開はあってないような話になる結末も考えられます。

40Vmax XGT MOTOR UNIT自体は優れたコンセプトの製品であり、OEM展開に関しても40Vmaxのエコシステムの拡大の意味で有用な考え方と言えます。しかしながら、パワーユニットのOEM供給は、専用営業部隊や技術営業、専任の保守開発部隊などを揃えて初めて花開く商材であり、プロダクトの性能やコンセプトよりもむしろアプリケーション/サポート体制が伴わないと絵に描いた餅に成りかねない戦略とも言えます。マキタがどこまで本気でOEM展開に取り組むのか静観と言えそうです。

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