インダストリアル機器を製造・販売するマックス株式会社(本社:東京都中央区)は、2024年10月に4G LTE通信とGPS機能を搭載する鉄筋結束機 コネクティッドツインタイア RB-442T-C-B2C/1450Aを発表した。鉄筋結束機の稼働データと位置情報をリアルタイムで可視化し工具の現場配置を効率化することを可能とした。
目次
コネクティッドツインタイア RB-442T-C
マックス株式会社は、2024年10月にコネクティッドツインタイア RB-442T-C-B2C/1450Aを発表しました。
RB-442T-Cは4G LTEモジュールを搭載する世界初となる電動工具です。
スマートフォンやパソコンによる接続を行う必要が無く、電動工具単体でモバイル通信網の接続が可能で、鉄筋結束機の稼働データと位置情報をリアルタイムで可視化するサービスを提供します。
またGPS機能の搭載で製品の位置情報も確認が可能で、従来のBluetooth通信を用いた電動工具の紛失・盗難時の追跡も高精度で可能となります。
2024年10月時点では東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の関東1都3県のみサービスを行っており、サービスは問い合わせからのみとなります。
- RB-442T-C-B2C/1450A 充電器・バッテリー付属
RB-442T-C 製品仕様
製品名 | RB-442T-C |
---|---|
外観 | |
対象鉄筋 | 最小:D10×D10~D22×D22 最大:D25×D13×D13 |
ミミ高さ | 12mm |
差し込み口幅 | 47mm |
通信 | 4G LTE |
通信事業者 | KDDI |
バッテリー | 14.4V |
重量 | 2.7kg |
寸法 | 295×128×330mm |
本体価格 | – |
販売年月 | – |
製品の特徴
「4G LTE回線の通信機能を搭載する充電式鉄筋結束機」
RB-442T-Cは4G LTEモジュールを搭載する世界初となる電動工具です。
従来の通信対応電動工具は、電動工具本体やバッテリーに搭載するBluetoothモジュールを用いてスマートフォン経由でインターネットと通信を行っていましたが、RB-442T-Cでは電動工具単体でインターネットへの通信が可能となるため、作業者によるスマートフォンとのペアリングが不要になり、電動工具の包括的な管理が可能となります。
工具との通信はインターネットブラウザによるWeb画面上で確認が可能で現場作業の生産性・作業の効率化に向け、IoTなどのデジタル技術を活用した建設DXを推進します。
GPSとリモートロックで盗難時のトラブルを抑止
工具に搭載したGPSによりリアルタイムで位置が分かり、4Gモジュールによってリアルタイムな通信が可能なので、紛失や盗難時の追跡が可能になります。
さらに、工具の動作を遠隔でロックすることで、盗難時のトラブルを抑止します。
工具の稼働状況を可視化
工具ごとの結束数を現場ごとにモニタリングすることで、直近の稼働状況や累積結束数の確認が可能です。
工具の稼働状況を可視化
現場ごとに工具を何台持っていて、どれくらい稼働しているかが確認できます。現場間での効率的な工具配置が可能です。
トラブルシューティングの容易化
工具ごとにエラーの発生状況をモニタリングし、不具合が起きた時は対処方法を確認できます。また、稼働実績をもとに適切なタイミングでメンテナンスの推奨をお知らせします。
遂に登場した真のIoT電動工具、期待度は高いがユーザーのIT親和性とマネタイズに乏しい
ここまでで出てきている「IoT」と言う聞きなれない単語は電動工具用語ではなく、「モノのインターネット(Internet of Things)」と呼ばれる2016年頃から流行り出したIT関連の用語です。
一般的にインターネットと言えばパソコンやスマートフォンのようなデジタル機器で使うサービスだったのですが、昨今の半導体技術と通信技術の向上によって、なんにでもインターネット通信ができるようになったので、色々な機器にインターネットとの通信機能を入れて便利にしてしまおう、って概念がIoTです。
電動工具メーカーにおけるIoT動向においては、BluetoothやNFCによるスマートフォン経由のインターネットサービスを提供している企業はありましたが、電動工具が直接インターネット網に接続できるようにして、IoTサービスとして提供した企業はいませんでした。
マックスが初めに電動工具にIoTを導入したのは驚きですが、商材的に電動工具は市場拡大が難しい製品なので、インパクトドライバのような製品に搭載することは難しく、市場独占率が高く高付加価値を付けやすい高価格帯のツインタイアに搭載したのは自然の流れだと思っています。
IoTサービスにはモバイル回線やWebサービスのランニングコストがかかるため、RB-442T-Cの運用にはマックスとのサブスクリプション契約が必要になると考えられます。この辺り、電動工具は基本的に買い切り文化の製品であるため、電動工具ユーザーに対して月額課金のようなシステムが受け入れられるかは未知と言えます。
とは言え、4Gモジュールを搭載する電動工具の登場は個人的に喜ばしいものではあるものの、今回のコネクテッドツインタイアは、あくまでも大企業に向けたサービスであり、個人向けには販売されない製品になると想定しています。
実際の用途としては、大手ゼネコンやハウスメーカーが一括でRB-442T-Cを契約し、必要な作業に応じて各事業者に送付して使ってもらう、のような運用になるのではないでしょうか。あとは、鉄筋結束機の位置と稼働状況を見て、他の現場に応援に行ってもらう、みたいな稼働率向上案も考えられます。この辺りは建築産業の人手不足対策としては有効打になり得るかもしれません。
今回の製品は、俗に言う「建築現場のDX化」に該当する製品な訳ですが、IoTの本質は製品単体で活かせるものではなく、他製品やBIMとの連携、さらには画像認識やエッジコンピューティングを含めた包括的なIT技術の相互的な活用が今後の発展の肝となっていきます。
電動工具産業の発展的としてはとても夢のある分野なのですが、建築市場がそこまでの技術開発を求めて市場であるか、そしてマックスがそこまでのビジョンを持っているか、などに関してはまだまだ未知の製品です。今回のコネクティッドツインタイアに関しては、携帯電話産業におけるiPhoneのような、建設産業を革新する製品サービスに発展することは期待しているものの、今見えてる範囲だと良くてZaurusやCLIEあたりが着地点かなと思っています。
まとめ
コネクティッドツインタイア RB-442T-C
VOLTECHNO製品評価 (4.5 / 5)
4G LTEモジュール搭載の充電式鉄筋結束機
- スマホ無しでIoTサービス
- GPS搭載でリアルタイム位置確認可能
- Webサービスで稼働情報確認
- サービスは一都三県のみ