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2024年7月7日

ナットランナーとは【工具の特徴・選び方解説】

ナットランナーとは【工具の特徴・選び方解説】

トルク管理締結を実現する電動トルクレンチ

ナットランナーとは、トルク管理締結作業に対応できる電動のトルクコントロールレンチです。モータ動力を遊星歯車で高トルクの回転力に変換し、ボルトナットを高いトルクで締結します。

インパクトドライバと異なり打撃機構を使用していないので、安定した低騒音・低振動トルク締結作業が可能で、指定したトルク値の制御締結も行える電動工具です。

ナットランナーは作業性も高く、作業者の熟練度や個人差の影響を受けないため、高精度なボルト締結を簡単に実現できます。

ナットランナーの基本的な内部構造。省スペースで高いトルクを生む遊星歯車の多段構造によって大きなトルクを生んでいる。
画像参考:The Atlas Copco High Torque Pneumatic Nutrunner RTP- Atlas Copco

インパクトと異なり、作業を行うには反力受けが必要

ナットランナーは通常のボルトナットに対して容易なトルク管理締結作業を実現できる工具ですが、その動作には「反力受け」と反力を取るための受けが必要です。

反力受けとは、ボルト締結時に逆回転に工具本体が回ろうとする力を受け止めるための部品です。

ナットランナーの締結作業は、インパクトレンチのような打撃やシャーレンチのトルシア形高力ボルトによる固定が無いため、作業者に大きな逆回転の反力が加わります。

この逆回転の反力は確実な固定によって受けなければ締結トルクが安定しなくなので、周囲の別のボルトや突起・くぼみによって確実に反力を受け止める必要があります。

画像参考:増力器用反力受|TONE

ナットランナーは産業向け電動工具

ナットランナーは反力さえ得られれば簡単にトルク管理締結が行える便利な電動工具ですが、実際に使用するシーンは一部の建設作業や大型構造物・造船・プラント等の産業用途に限られています。

最大の原因は販売価格であり、ナットランナーを購入するには低出力モデルでも最低10万円~程度の予算が必要です。そのためDIYや普通車での整備用途などでナットランナーが使われることはほとんどありません。

基本的に産業向け電動工具なので、ホームセンターやプロショップ・工具専門店での取扱いはほとんど無く、大型ネット通販サイトや商社経由での購入が一般的です。

トルク管理締結を行う関係上、トルク精度を維持するための点検が必須の工具なので、校正証明書の発行や定期点検を行ってくれるメーカーの製品を選ぶことが大切です。

IoT活用が最も進んでいるナットランナー

電動ナットランナーは、産業用途であり高価な製品なので付加価値が付けやすい点から、IoT技術の活用が最も進んでいる電動工具です。

プラント向けのナットランナーはネットワークの接続による締結管理記録を持つのが一般的になっており、独Boschの子会社Rexrothのコードレスナットランナーにおいては、電動工具でありながらもブラウザベースのOS(オペレーティングシステム)を搭載しています。

高機能・多機能のハイテク電動工具を上手く運用するには、ユーザー側にもそれなりの知識や学習コストを必要としますが、うまく運用できた時の作業効率や品質はそれまでの電動工具とは比較にならない程向上するでしょう。

ナットランナー参考製品

TONE コードレスシンプルトルコン CST20

マキタ18Vボルトバッテリーを使用できるコードレスナットランナーがTONEのCSTシリーズです。

20~400N・mまでトルク制御範囲を設定でき、コードレスならではの取り回しの良さを兼ね備えたナットランナーです。

マキタバッテリーを使用できる手軽さはありますが、販売価格が30万円~なので一般作業で使用することはほとんどありません。

TONE シンプルトルコン 20-2500PXSA

トネ(TONE)
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TONEが販売する最大出力トルク23,500N・mのナットランナーです。

ナットランナー用増幅器を組み合わせることで10,650~23,500N・mの範囲のトルク管理締結作業を実現しています。

本体重量は92kg・100万円を超える販売価格となっていて、通常の電動工具とは一線を画す超弩級の電動工具です。

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