大田区は「研削」「研磨」「プレス」「メッキ」等の機械金属加工を中心とした工場をイメージしますが、その中には、金属加工に強い地域性を活かしてロボット開発を行っている企業も存在します。
今回は、大田区産業プラザPiOで2020年2月6日(木) ~ 2月7日(金)に開催された「おおた工業フェア」内の「モノづくりベンチャー」コーナーで展示されていたロボットを紹介します。
目次
斜面草刈に特化、「自動制御草刈ロボット」
大田区に本社を置く「株式会社エース」と「農研機構」の共同で開発を行っているのが、山間地を切り開いた田畑での斜面草刈に使用する草刈ロボットです。
この草刈ロボットは本体の動作が非常にユニークで、本体車輪中軸から伸びているワイヤーを杭に固定し、ロボット内部のモーターによるワイヤーの伸ばし・巻取りによって本体を動かしている方式を採用しています。斜面での使用限定である点とワイヤーを固定する手間は発生しますが、低コストでの開発・運用を実現していると話します。
現在のロボット芝刈り機と言えば、大手農機メーカーのHusqvarna「Automower」や、ホンダ「Miimo」が販売されていますが、斜面対応の自動制御ロボットは実用化されていません。山間地域の農地が多い日本にとっては、就農人口の減少と高齢化も合わせて今後の需要は非常に高いとのこと。1
現在は、ラジコンによる誘導制御での検証を行っている段階ですが、自動制御の開発も検討しているとの話です。
ちなみに、ロボットを動作させるためのバッテリーには電動工具用バッテリーが搭載されており、改めてロボット試作での需要は高いんだなと感心。(ロボットの中身は見せてもらえましたが、写真撮影はNOでした)
自動搬送を実現する「小型自立走行移動体プラットフォーム」
中央大学と大田区の産官学連携事業で開発が進められているのが「小型自立走行移動体プラットフォーム開発事業」です。
この事業では、大田区内に点在する工場の板金・切削・研磨・表面処理などの各工程のスムーズな連携と運搬の低コストを実現する搬送ロボットとして、開発が進められています。
このロボットは、20cmの段差を乗り越えられる走破性と、30kgの搬送能力を持つ非常に高い汎用性を持ち、非常に高度な姿勢制御技術を搭載しているのが特徴です。
現在の法律下では、一般道路の運用はまだ難しいようですが、大田区内に新設される「羽田イノベーションシティ」のような敷地内での自動・自律搬送や、企業・工場内での搬送業務、構想マンションでの荷物輸送など、幅広い使用方法を検討しているとのことです。
掲載企業・団体
「誘導型小型草刈ロボット」
株式会社エース ( http://ace-tech.jp/ )
農研機構 ( http://www.naro.affrc.go.jp/ )
「小型自立走行移動体プラットフォーム」
株式会社 Piezo Sonic ( https://piezo-sonic.co.jp/ )
中央大学理工学部 國井研究室( http://www.hmsl.elect.chuo-u.ac.jp/ )