農林・造園機器を製造販売するスウェーデンのHusqvarna社は、同社のロボット草刈機 Automower NERAシリーズのアップデートでMS-DOS世代のFPSゲーム「DOOM」のプレイ機能を期間限定で実装することを発表しました。
一体何が始まったのか、ロボット草刈機がFPSゲーム機能を搭載
ロボット草刈機に何が起きているのでしょうか。スウェーデンのHusqvarna社は、2024年2月に公式サイト上で同社のロボット草刈機 Automower NERAシリーズで、FPSゲーム DOOMをプレイできる機能の実装を発表しました。
DOOMのプレイが可能になる「one hell of an update」は、2024年4月9日から2024年9月9日までの期間限定でアップデート実施され、Husqvarna Automower® NERAシリーズでのみプレイ可能です。アップデート期間終了後は同機能は削除されます。
芝刈り機での方法プレイに関しては,コントロールノブの左右回転とSTARTボタンで移動し,コントロールノブの押下で銃を撃つとのこと。ゲーム画面は芝刈り機のオンボードディスプレイに表示されます。
残念ながら、ハスクバーナ製品を日本で展開するハスクバーナ・ゼノア株式会社は今回のアップデートに対応する製品の日本販売を行っていないため、日本国内では今回のDOOMプレイを体験することはできません。とは言え、2023年11月の展示会ではAutomower™450X NERAを展示しているので、もし再びDOOM対応アップデートが来れば、その時には日本でのロボット芝刈り機DOOMプレイができるかもしれません。
ハッキング文化としてのDOOM移植
DOOMと言えば1993年に発売したFPSゲームであり、火星を舞台としたゾンビやエイリアン、デーモンなどのクリーチャーを銃器で撃退しながら奥へと進んでいくFPSゲーム黎明期の金字塔的な作品です。
MS-DOS世代に登場したゲームですが、その後はファンコミュニティによる移植が進められており、今でも遊ぶことができます。ちなみにPCブラウザでもhtml版DOOMを遊ぶことができます。
DOOMはソースコードがGNU General Public Licenseのもとで公開されているゲームです。そのため公開されたソースコードからWindowsやLinuxなどのOSに移植する以外にも、モニターを搭載するさまざまな電子機器をハッキングしてDOOMを移植するある種の悪ノリのような文化が生まれました
例えば、トラクターや関数電卓、果ては大腸菌にDOOMを移植するユーザーも現れており、ギークやハッカーが移植にチャレンジする行為はDOOMチャレンジとも呼ばれ、ギーク的な伝統文化にもなっています。
国内でロボット草刈機を製造販売するメーカーとしては、やまびこのECHOブランドを代表として、最近ではマキタなども参入して国内市場でも熱を帯び始めている商材です。そんな中、日夜LiDARの精度向上や販路の拡大、ブランドマーケティングに努め、先行する海外メーカーに追い付け追い越せで日々研鑽している中、ある日突然「DOOMをプレイできるようにしました」なんて意味が分からな過ぎて戦々恐々でしかないんじゃないでしょうか。
個人的には、この手のDOOMチャレンジのようなファンユーザー中心の活動は企業が手出ししてしまうと興醒めになりがちで、本来のハッキング文化に対する趣としては異なるものとも感じてしまうのですが、それでも、企業としてある種のリスペクトやDOOM愛を感じられる部分は憎めない所と言えそうです。