HiKOKI(旧 日立工機)から、新型190mm卓上スライド丸ノコのC7RSHDが発売された。また、マルチボルトシリーズとして待望のコードレス卓上スライド丸ノコC3607DRAも発売され、マルチボルトシリーズの製品も充実してきた。
今回は新しくなった新型の卓上スライド丸ノコについて、前機種C7RSHCとの違いも含めて解説していこう。
目次
2段ベルト駆動方式で極限までの低騒音を実現したスライド丸のこ
数ある電動工具の中でも、卓上スライド丸ノコはHiKOKI(旧日立工機)が最も得意とする分野だ。構造に「スライド方式」を採用しているHiKOKIの卓上スライド丸ノコは、精度・使用感共に評判が良く、卓上スライド丸ノコと言えばHiKOKIが真っ先に上がるほどの定番の製品となっている。
C7RSHDは、付加機能を追加し「2段ベルト駆動による低騒音化」「内蔵ツインLEDによるコンパクト化」が搭載され、より使い勝手の向上が見られた卓上スライド丸ノコになっている。
- C7RSHD(電源コードモデル) 希望小売価格122,000円(税抜)
- C3607DRA(XP) バッテリー・充電器付属 希望小売価格155,500円(税抜)
- C3607DRA(NN) 本体のみ 希望小売価格122,000円(税抜)
前機種C7RSHCとの違い
製品名 | C7RSHD | C7RSHC |
外観 | ||
対応のこ刃径 | 外径180~190mm 穴径20mm | |
角度切断範囲 | 左0~45、右0~57 | |
傾斜切断範囲 | 左右0~45 | |
最大切断寸法 | ||
消費電力 | 1050W | |
無負荷回転数 | 1050W | |
モーター | 4000min^-1 | |
駆動方式 | 2段ベルト駆動 | ギヤ駆動 |
LED方式 | 内蔵ツイン2灯 |
外付けアーム1灯 |
本体重量 | 13.8kg | 12.4kg |
まずは卓上スライド丸ノコの基本的な部分から確認していこう。
前機種のC7RSHCと比較すると、基本的な切断能力に違いはないようだ。と言うのも、卓上スライド丸ノコの基本的な部分については、これ以上手を加える部分もなく、ユーザーが求める切断サイズのニーズにも変化がなかったため変更がなかったものと考えられる。
モーターや消費電力についても同様だ。2段ベルト採用の影響なのか本体重量が約1.4kgも増加しているが、重量を軽くできるのACブラシレスモーターは採用されていない。これは、もともと定置型に近い電動工具であるため、多少の重量の増加はデメリットにならないと考えたのだろう。
そしてここからはC7RSHDで追加された新機能について解説していく。
2段ベルト構造による静音化
C7RSHDの最も大きな変更点が駆動方式だ。これまでの卓上丸ノコには動力の駆動にギヤが使用されており、切断時にはギヤの噛み合う音が非常に大きくなり切断するときに独特の騒音を撒き散らしていた。
今回採用された2段ベルト方式では、ギヤの代わりにベルトを2本使用することで切断音の大幅な低減が図られたことで、切断時の騒音は80dbまで低下している。数字にすると10db程の低下だが、ギヤの特有の金属音が無くなった事で実際の切断音から不快な音が無くなっており、数値以上に静かになった印象を受ける。
最近では、住宅地や集合住宅のリフォーム向けに静かな電動工具も求められている。2段ベルトによる静音化はそのような需要を確実に満たしてくれる機能だ。
内蔵ツインLEDですっきりとした外観に
LEDライトにも改良が見られた。これまでのLEDライトは金属アームによるLEDライトが1灯伸びていただけで、左右のどちらか片方しか点灯できず、突き出た所が作業の邪魔にもなりやすい部分となっていた。
C7RSHDでは左右にライトを配置して内蔵式としたことで切断時の材料が見やすくなった。運搬時などにもライトを畳む手間もなくなり、ぶつけることも無くなったことですっきりとした印象を受ける
ブラシレスモーター搭載&コードレスモデルのC3607DRA
2018年10月には待望のコードレス卓上スライド丸ノコ C3607DRAも発売する。
基本的な切断寸法はそのままにC7RSHDと同じ構造を採用しており、2段ベルト、ツインLEDと最新の機能を搭載した高機能の卓上スライド丸ノコだ。切断能力もブラシレスモーターとマルチボルトバッテリーを採用することでAC100Vのスライド丸ノコと同等の切断性能を持っている。
1充電あたりの作業数はBSL36A18電池でフロア材200カットと一部屋の内装の施工には使える作業量を持っている、バッテリー1つで作業量が足りない場合でも、充電器UC18YDLの充電時間で間に合うだけの作業はできるため、電源の届いていない現場での施工などには重宝するだろう。
堅実な進歩を続ける卓上スライド丸ノコ
卓上スライド丸ノコの基本的な部分は、遥か以前に完成した電動工具と言っても過言ではない。実際に、卓上丸ノコを販売している各社電動工具メーカーは、深切り構造とレーザーマーカーの搭載を最後に大きな改良を行っていない。
その中で市場の新しいニーズをくみ取り「騒音」と言う領域で大きく他社を引き離す性能を実現したのは流石日立工機と言ったところだろう。
元々、卓上スライド丸ノコという分野では他社に対して1周リードしていたHiKOKIだが、今回のC7RSHDの2段ベルト駆動によってさらに2周リードまで引き離した印象を受ける。
だが、卓上スライド丸ノコは電動工具の中でも高価な部類に入るため、新製品と言えど今回のような付加機能の追加であれば積極的な買い替えとまでは行きにくい製品だ。正直なところ、他に使用している190mmのスライド丸ノコがあるなら大事に使い続けてほしい。しかし、確実に進歩しているC7RSHDは、新しく買う場合や買い増しする際には十分オススメに値する製品だ。また、買う予定などはなくても、展示品などで静音化したスライド丸ノコを是非一度実感してほしい。