近年、ホームセンターを中心としたプライベートブランドの電動工具だが、プロ向けショップの販社系のプライベートブランドでも展開が進んでおり、DIYユーザーとプロの中間に位置するセミプロ用途の需要を満たす電動工具として注目されている。今回紹介するのは、工具販売プロショップのアストロプロダクツが展開するDC18Vシリーズが取り扱う、国内唯一の「充電式ヒートガン」だ。
目次
バッテリーで使えるヒートガン
アストロプロダクツは18Vバッテリーで動作するプライベートブランドの電動工具を販売しているが、そのシリーズ内に国内唯一となるバッテリーで動作する「充電式ヒートガン」を展開した。
国内市場では電動工具メーカーや工作メーカーを含めて長らく販売されていなかったバッテリー動作のヒートガンだが、特徴や実用性などについて検証していこう。
吐出温度は500℃、吐出流量は200L/minと控えめ
アストロプロダクツのヒートガンの最大温度は500℃と、AC電源のヒートガンと同等の性能を持っている。
熱風の吐出量を表す流量は1分あたり200Lと若干少ない。ヒートガンの200Lとは一般的なヒートガンの最弱モードよりも少ない流量となるため、急激に熱する場合や大きなものを熱するのには適さないと考えられる。
フック標準搭載でノズル3種が付属
このコードレスヒートガンにはフックが標準搭載となっている。使用の合間にはしごや単管などに引掛けて使う事ができる。間違っても使用直後に腰に引掛けないようにしよう。
付属品として、ノズルを細くするスポットノズル、ラベル剥がしなど広く当てるワイドノズル、パイプ曲げや熱収縮に使うベントノズルの3種が付属している。
バッテリーはアストロプロダクツのDC18V
充電式ヒートガンは、アストロプロダクツのプライベートブランド「AP DC18V」のバッテリーに対応した電動工具だ。
他社バッテリーとの電動工具に互換性はなく、アストロプロダクツのAP DC18Vシリーズのみに対応している。
AC電源と同等のパワーを出すのは難しい
バッテリーで動作するヒートガンが実用で使えるのかは気になるところだ。
取扱説明書を読むと、吐出温度は500℃とAC100Vの電源で動作するヒートガンと同等の温度までは上がるようだが、連続使用時間は4.0Ahバッテリーで16分と少し短いのが気になる点だ。
一般的なヒートガンが1,000Wの消費電力として100Vであれば10Aの電力を必要とするが、18Vの場合では低下した電圧分だけ更に電流を必要とする。単純に計算では100V÷18V=56Aの電流を必要とするが、実用的な面から考えて1000Wを継続的に出力できるバッテリーは少ない。
バッテリーで動作するヒートガンとして実用性を考慮すると、消費電力を300W~400W程に抑えたスペックにするしかないため、AC電源のヒートガンの半分より少し下の性能と考えればよいだろう。
コードレスの取り回しの良さに期待
バッテリー性能の限界から、AC電源と同等の使い勝手とは行かないだろうが、コードレス化したことによる取り回しの良さを前面に押し出したいところだ。
例えば、街頭でのシール剥がしや、電工作業中のちょっとした熱収縮など、電源がない場所であってもヒートガンが役に立つ場面はいくらでもある。従来の作業を置き換える程の性能は期待できないが、今まで考え付かなかった場所でのヒートガン活用に期待が持てる製品だ。