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2019年11月7日

電動工具のカーボンブラシ交換パーフェクトガイド【電動工具メンテナンス】

電動工具のカーボンブラシ交換パーフェクトガイド【電動工具メンテナンス】

カーボンブラシといえばモーターにとってはなくてはならない消耗品です。現在ではブラシレスモーターの登場により、カーボンブラシを使用している電動工具も減りつつありますが、AC電源工具や高出力の電動工具ではまだまだブラシモーターが主流です。

カーボンブラシは電動工具の必需品

マキタTD138D外観

カーボンブラシとは、電動工具のモーターを構成している『アマチュア』という部品に電力を供給する消耗品です。

現在ではブラシレスの主流によりカーボンブラシを搭載した電動工具も減ってしまいましたが、現在でもカーボンブラシのフィーリングを好むユーザーや、一部の廉価版電動工具などにはカーボンブラシが使用されています。

カーボンブラシ自体は鉛筆の芯と同じ炭素(グラファイト)でできており、モーターの回転とともに消耗していくため、定期的な交換が必要になる部品です。

カーボンブラシは摩耗限度線を超える前に交換する

マキタTD138D用カーボンブラシ448

カーボンブラシには摩耗限度線と呼ばれる、寿命を表す線が刻印されています。カーボンブラシの摩耗がこの線を超える前に交換するのが理想です。

この線を超えて使用すると、グラファイトに埋め込まれている銅線や金属部分が露出します。そうなるとアマチュアの接点が金属と直接接触するようになり、アマチュア接点が異常摩耗したりモータそのものが焼損します。

そのため、寿命に至ったカーボンブラシを使い続けると、モータそのものの故障となり高額修理になってしまいます。

カーボンブラシの交換方法

マキタTD138D 分解

電動工具のカーボンブラシモーターは交換前提の設計になっているため、外して取り付けるだけの簡単な作業です。

マキタTD138D ブラシホルダ

カーボンブラシのカバーの構造には様々な種類があり、ネジになっているもの、カバーを外すとブラシホルダーが露出するものなど電動工具によって異なるので取扱説明書をよく確認します。電動工具によってはハウジングを分解しないとカーボンブラシが交換できないものもあります。

マキタTD138D ブラシ保持構造

ブラシホルダーにはめ込まれているカーボンブラシを取り外します。今回はインパクトドライバー側のバネで固定されているタイプなので、ピンセットでバネを横にずらしてカーボンブラシを取り外します。

マキタTD138D ブラシ取り外し
マキタTD138D カーボンブラシ差し込み

古いカーボンブラシを抜き取ったら、新しいカーボンブラシを差し込みます。この時新しいカーボンブラシがスムーズに摺動するか確認します。この部分の滑りが悪いと、モーターのパワーが低下したり異常な発熱によってブラシ部分が破損したりします。

最後にキャップを締めて完成です。作業としては5分くらいで済むでしょう。

カーボンブラシ交換の注意点

カーボンブラシは、製品に記載された番号と同じ番号のカーボンブラシに変えなければいけません。

同じカーボンブラシを加工して継ぎ足したり、別のカーボンブラシを削って使用すると、カーボンブラシの早期摩耗だけではなく、モーターそのものの破損にも繋がります。

また、アマチュアとカーボンブラシの接触する部分を「コンミュテーター」と呼びますが、この部分もカーボンブラシの摩耗と共に削れて擦り減ってしまうので、カーボンブラシを3~5回交換したらアマチュアも交換しなければなりません。

カーボンブラシを見ると、電動工具の使い方がわかる

マキタTD138D 448ブラシ側面

カーボンブラシは電動工具の根幹とも言えるモーターの構成部品の一つです。そのため、カーボンブラシを見れば電動工具がどのように使われていたのかがわかります。チェックポイントを簡単に説明していくので、電動工具の使い方の参考にしてください。

銅線が「玉虫色」に変色していると「やや過負荷気味」

カーボンブラシを繋ぐ銅線が玉虫色に変色している場合、電動工具に負荷を掛けすぎているかもしれません。

玉虫色はの変色はモーターに負荷をかけて電流が増えて発熱することが原因です。この時カーボンブラシの銅線にも熱が伝わってしまうので、まるで空焚きした鍋のように玉虫色に変色していきます。

ただし、玉虫色の変色であればモータ本体が破損するほどの発熱ではなく、大きな故障に至ることはあまりありません。

銅線が「茶色」や「銀色」に変わると「故障寸前」

玉虫色の状態から電流が更に増えて温度が上がると、銅線は玉虫色を超えて単色に変色します。銅線の種類によって最終的な色は変わりますが、概ね茶色や銀色がほとんどです。

この状態ではモータを構成しているアマチュアもダメージを受けている場合も多く、とりあえず動いているだけ、という状態も多いです。

この状態になっていたら、アマチュアの故障も疑われるのでモーター自体の交換も検討します。

カーボンブラシを抜く(刺す)時が固い場合

カーボンブラシ交換時にうまく取れなかったり刺すときに硬い部分があったりすると、カーボンブラシを固定しているブラシホルダが変形したり、異物が入り込んでいる可能性があります。

ブラシホルダ自体は真鍮製ですが、それを保持している部品はプラスチックのため、発熱によって変形してしまっている場合もあります。

ブラシホルダが変形していると、アマチュアとカーボンブラシの接触が悪くなり、モーターが回転しなくなったり、急に止まったりします。

これも、発熱によって発生する現象なので、アマチュアとブラシホルダの交換を依頼しましょう。

カーボンブラシの接触面に溝が走っている

非常に珍しい状態ですが、このような状態になっている場合はアマチュアの接触面が荒れている可能性があります。接触面が荒れているとカーボンブラシの接触不良が発生し、固着や異常火花などの原因になります。

カーボンブラシ交換まとめ

プロ向け電動工具と言えばカーボンブラシを使用したモータが定番でしたが、現在ではブラシレスモーターや、より安価なケーシングモータに置き換わっており、カーボンブラシを交換することも減ってきています。

しかし、一部の電動工具ではまだまだカーボンブラシを採用したモータが使用されています。

カーボンブラシは製品や使い方によって寿命が変わり、十数時間から百時間ほどは使用できるようです。

また、カーボンブラシが摩耗しているからと、別のカーボンブラシを削って使用したり、鉛筆の芯を使用することは絶対に辞めてください。製品ごとに最適な形状・グラファイトが決められており、異なるカーボンブラシを使用すると製品の破損のみならず、発火など重大な事故の原因となります。

カーボンブラシの寿命に気づかずに使用すると、モータの一式交換となって高額な修理費用を請求されることもあるので、カーボンブラシの確認は定期的に行うようにしましょう。

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