電子工作でコンタクトを圧着するとき、「径や厚みが合わなくて圧着できない」「ダイスとサイズが合わなくて仕上がりが悪い」という経験をした方もいると思います。
そんな悩みも、対応する対応するダイスを全て揃えてしまえば一発で解決することができます。今回はENGINEERのダイス交換式精密圧着ペンチ『PAD-11』をレビューします。
- ダイス交換式でオープンバレルの幅広い圧着が可能
- センタリング機能でダイス交換が簡単で高精度
- セットピンで軸の緩みが調整可能
- 圧着部が大きく、狭い所には不向き
目次
ダイス交換で300種類以上の圧着ができるPAD-11
電子工作で回路の規模が大きくなると、複数の基板間をケーブルで接続して対応する方も多いと思います。基板間の接続にケーブルを直接はんだ付けしても良いのですが、いざ実装する時に長さが足りなかったり、回路のリワークで邪魔になったりとはんだ付けでは弊害が出ることもあります。
そんな時に便利なのが付け外し容易なコネクタ接続ですが、圧着するコンタクトのサイズに適合した圧着ペンチが必要になるため、揃えるものが多くなってしまうのも欠点です。
PAD-11は3サイズのダイス交換に対応し、ダイス幅0.7mm~3.7mm間のオープンバレルコンタクトに対応した圧着ペンチです。対応するコンタクトは300種類以上で、PAD-11が1本あれば回路基板に使うほぼ全てのコンタクトを圧着することができます。
交換用のダイスは3種類
PAD-11は圧着部分であるクリンパとアンビル(以下、まとめてダイスと呼称)交換式の圧着ペンチです。
通常の圧着ペンチはサイズが固定されていて、コンタクトごとに適応するサイズの圧着ペンチを用意する必要がありましたが、このPAD-11ではダイスを交換することにより、様々なサイズのコンタクトを圧着することが出来ます。
30秒でできるダイス交換
PAD-11のダイス交換は簡単で、六角レンチ一本用意するだけで僅か30秒ほどで交換することが可能です。
ダイス交換式と聞くと「精度が不安」と思う方もいるでしょうが、ENGINEERの交換ダイスにはセンタリング機能が搭載されており、高精度を維持したまま交換が可能です。
セットピンで軸のゆるみも調整可能
PAD-11は軸のゆるみも調節できるセットピン構造を搭載しています。
長期間使用すると軸が摩耗して合わせが悪くなることで、精度が出なかったり圧着ペンチ自体を傷つけてしまのですが、軸部分のゆるみを調節することにより、長い期間高精度な状態で圧着することが可能になります。
実際にPAD-11で圧着してみた!
実際にPAD-11でコンタクトを圧着してみます。使用するコンタクトはIZOKEEのJST XH互換コネクタです。
まとめ|1本あれば圧着に困らない万能圧着ペンチ
PAD-11はダイスを交換することにより、幅広いサイズの圧着に対応できる万能圧着ペンチです。
これまでの精密圧着ペンチの定番と言えばENGINEERのPA-20でしたが、電子工作で幅広いコネクタを圧着する場合にはこのPAD-11がおすすめです。逆に、交換式になってヘッド部分が大きいのが欠点なので、車やバイクの配線など狭い場所での圧着では従来通りPA-20が良いでしょう。
PAD-11は交換式で高精度な分、通常の圧着ペンチよりも価格は若干高くなってしまっていますが、最小ダイス幅0.7まで使用することができ、コンタクト300種以上を専用圧着器並みの精度で圧着出来るのは非常に魅力的です。勿論、摩耗したり変形したダイスを交換できるのも優れた点です。回路の試作やコネクタの評価などに一本用意しておくのはいかがでしょうか。
ダイスとパーツケースがフルセットになったPAD-02
PAD-11はダイス交換式の圧着機ですが、幅0.7~2.2のダイスPAD-11S しか付属していません。交換式なのだから全サイズがセットになったものが欲しい、という方にお勧めなのがケース一式付属したPAD-02です。
ダイス3種類の他、コネクタを入れるパーツケース、圧着時に拡大できるルーペを保管するスペースもあり、まさに最強の圧着ペンチセットとなっています。