電動工具を製造・販売する京セラ インダストリアルツールズ株式会社(本社:広島県福山市)は、2022年10月12~14日開催の第13回ツールジャパン2022(会場:幕張メッセ)で充電式グラインダー DG3600PL2/DG3620PL2を発表した。2022年9月カタログ上で発表したデュアルパワーボルトバッテリーの36V動作に対応する。販売時期は未定。
目次
京セラ 充電式グラインダー DG3600PL2
電動工具を製造・販売する京セラ インダストリアルツールズ株式会社は、2022年10月12~14日開催の第13回ツールジャパン2022(会場:幕張メッセ)で充電式グラインダー DG3600PL2を展示しました。
DG3600PL2は、パワーツール総合カタログ(2022年9月)で発表した新バッテリー デュアルパワーボルトの36V動作に対応する充電式グラインダーです。
デュアルパワーボルトバッテリーの採用により従来18V機の装着にも対応しながらも、AC電源式ディスクグラインダーに匹敵する1,200Wのハイパワー仕様に対応します。またパドルスイッチ構造+ブレーキ機能を備え、安全性にも優れた構造を搭載しています。
装着できる砥石寸法は外径100mm、回転数は3,000~8,000min-1の可変仕様です。
2020年10月時点のイベント取材時点で詳細な製品仕様・販売価格・販売仕様は未定です。
製品仕様 (前機種 DG11XR比較)
製品名 | DG3600PL2 | DG11XR |
---|---|---|
外観 | ||
砥石径 | DG3600PL2:100mm DG3620PL2:125mm |
100mm |
モータ | ブラシレス | ブラシレス |
回転数 | 3,000-8,000min-1 | (高速)8,000min-1 (中速)6,000min-1 (低速)3,000min-1 |
スイッチ | パドル | スライド |
ブレーキ | 〇 | × |
バッテリー | DP36V | 18V |
防じん防水 | IP56 | × |
重量 | 2.3kg | 1.9kg |
寸法 | ? | 331×117×129mm |
本体価格 | ? | 30,000円(税別) |
販売年月 | ? | – |
製品の特徴
「京セラDP36Vシリーズ初の電動工具」
DG3600PL2は、パワーツール総合カタログ(2022年9月)で発表した新バッテリー デュアルパワーボルトに対応する最初のプロ現場作業向けの充電式電動工具です。
製品仕様としては、先駆けて発売された他社36V充電式ディスクグラインダー相当の性能を備えており、使い勝手の面で大きな違いは無いと予想されます。
特筆するべき点としては、工具本体が防じん防水IP56に適合しているため、屋外での作業現場や粉じんの舞う環境下などでも使用できる耐久性を備えています。(バッテリーは防じん防水非対応)
125mm仕様 DG3620PL2も発売予定
対応砥石の仕様違いの製品展開として、φ125mmに対応するDG3620PL2も同時発売します。
競合他社36V充電式ディスクグラインダとの違い
日本国内の電動工具メーカーでは、2大ブランドHiKOKI・マキタが数多くの36V動作ディスクグラインダーを販売しています。
今回の京セラDP36Vグラインダーは、36V動作・変速搭載・パドルスイッチを搭載する汎用的なディスクグラインダーです。基本的な製品仕様は競合2社水準の備えているものの、スイッチ仕様や無線連動など付加価値の部分に違いがあります。
また18Vモデルで十分な製品ラインナップを持つHiKOKI マルチボルトシリーズや、バッテリー単体でIP56に適合し大容量高出力仕様のバッテリーも展開するマキタ40Vmaxシリーズと比較すると、京セラのDPグラインダは製品それ自体にもラインナップ数を含むシリーズ的な魅力に乏しく、ユーザー求心力の点で難しい立場にいる製品です。
この辺りは製品以外の要因として、バッテリーシリーズの製品ラインナップもユーザーの購買意欲に関わってくるので、一般のユーザーとしては当面様子見とするのが正直なところでしょうか。
製品名 | DG3600PL2 | HiKOKI G3610DA | マキタ GA017G |
---|---|---|---|
外観 | |||
砥石径 | DG3600PL2:100mm DG3620PL2:125mm |
G3610DA:100mm G3613DA:125mm |
GA017G:100mm GA018G:125mm |
モータ | ブラシレス | ブラシレス | ブラシレス |
回転数 | 3,000~8,000min-1 | 3,000~10,000min-1 | 3,000~8,500min-1 |
スイッチ | パドルのみ | スライド:G3610DA パドル:G3610DB |
スライド:GA017G パドル:GA019G |
無線連動 | × | Bluetoothバッテリー | AWS |
バッテリー | DP36V | マルチボルト36V | 40Vmax |
防じん防水 | 本体:IP56 | × | 本体:IPX6 バッテリー:IP56 |
重量 | 2.3kg | 2.3kg | 3.0kg |
寸法 | ? | 357×60mm | 418×117×164mm |
本体価格 | ? | 28,400円(税別) | 32,400円(税別) |
販売年月 | ? | 2017年10月 | 2020年5月 |
後発製品としては地味な印象、販路をどう作っていくか
京セラのズ デュアルパワーボルトシリーズは18Vと36Vの出力を切り替えられる新バッテリーを基幹とする新しい電動工具シリーズです。
今回のDG3600PL2/DG3620PL2は充電式グラインダーとして十分な性能を持つものの、競合他社品との比較において明確な優位点が存在しておらず、ラインナップや営業基盤でマキタ・HiKOKIと比べて1段下がる京セラDPシリーズは気軽に選択肢に挙げられる状況ではありません。
RYOBIブランドの国内市場の強みは、黄色のカラーリングを特徴とする低価格園芸製品の製品展開とホームセンターを中心とする販路の多さであり、今回のようなプロ向け充電式電動工具の分野では、先行するHiKOKI・マキタに正面からぶつかっても勝ち筋は見えないのが正直なところです。また製品ラインナップ数や製品展開ペースなど企業規模の差も大きく、今後の成長次第となるのが正直な評価です。
そんな市場的な背景もあってか、2022年10月時点で京セラインダストリアルツールズはデュアルパワーボルトシリーズを積極的にアピールしておらず、満を期して投入した新バッテリーシリーズの割に控えめなスタートを切っています。
戦略としては、京セラブランドの電動工具を世界に向けて積極的にアピールしていきたいところなのでしょうが、2017年にHiKOKIが実施したデビューイベントをはじめとする世界マルチボルト興行が比較的低調気味だったことも踏まえると、当時のHiKOKIと同じような拡販を行ってもシェアの拡大は見込み薄と言えます。その点を踏まえ、今後の京セラがどのような方法で電動工具の世界市場に食い込んでいくのかが気になる所と言えるでしょう。
まとめ
京セラ 充電式グラインダー DG3600PL2
VOLTECHNO製品評価 (4 / 5)
京セラ デュアルパワーボルトに対応する充電式ディスクグラインダ
よく比較される工具
2020年5月発売