電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は、2023年4月にマキタポータブル電源に装着するDCACインバータを発売する。PDC1200装着によりAC100Vの1,400W出力が可能となる。標準小売価格は89,500円(税別)。
目次
マキタ DCACインバータ BAC01
電動工具を製造・販売する株式会社マキタは、2023年4月にDCACインバータ BAC01を発売します。
BAC01は、マキタのポータブル電源シリーズに装着するインバータです。PDC1200やPDC01などの背負いポータブル電源を装着によってAC100V電源を取り出すことができます。
定格最大出力はPDC1200装着時で1,400Wに対応しており、AC電源で動作する電動工具だけではなく電気ケトルや電子レンジなどの動作にも対応します。
販売仕様は、本体のみのBAC01で販売します。
- BAC01 本体のみ 希望小売価格89,500円(税抜)
製品仕様
製品名 | BAC01 |
---|---|
外観 | |
対応電源 | PDC1200 PDC01 |
定格出力 | 連続:1,400W 瞬間:2,800W |
AC電源出力 | 100V(50/60Hz) |
USB 出力 | Type-A:5V-2.4A Type-C:PD30W |
12V出力 | DC12V-10A |
重量 | 7.3kg |
寸法 | 345×395×163mm |
本体価格 | 89,500円(税抜) |
販売年月 | 2023年04月 |
製品の特徴
「マキタ背負いポータブル電源をAC100Vにするアダプタ」
BAC01は、マキタポータブル電源 PDC1200/PDC01を測着してAC100Vを取り出すインバータです。
マキタポータブル電源は40Vmaxシリーズをはじめとするマキタ充電式シリーズに使用する大容量背負いバッテリーでしたが、この製品を使用すればAC100Vで動作する製品も動かせるようになります。
マックパックシリーズに対応、連結できるので移動もらくらく
同社が展開するマックパックシリーズとの連結にも対応。連結して積載したりトロ―リやカートに装着することで運搬も容易になります。
正直な評価としては苦言を呈したい製品だが…
恐らく一番使う用途は、カタログに記載されている「電源の取りづらい現場の照明」「屋外作業のバッテリ充電」になるのでしょうが、現在の市場においては、価格の安いポータブル電源が市場に十分出回っています。例えば、コスパを考えた場合、Jackery 1000の1,000Wh搭載モデルであれば12万円ほどで買えてしまうため、セット売価25万円のPDC1200(1,206Wh)+BAC01は、価格的な観点から利点の薄い製品と言えます。
個人的な初見として、既存のマキタバッテリーに拘らずとも、普通に価格の安い容量重視リチウムイオンセル採用のマキタブランドを冠したポタ電を販売しておけば、例え市場相場の2~3割増しでも産業用途ポタ電の新需要を開拓できたと考えています。
この辺りは、自社バッテリープラットフォームに執着するあまり、製品開発の優先順位やコンセプトを間違えてしまったのではないかな?とも思っています。(とは言え、マキタバッテリーを無視していきなり普通のポタ電を出すと既存ユーザーから疑問の声が上がるために、一応の前振りとして対応製品を出したのかもしれませんが)
昨今のマキタは「充電製品の総合サプライヤー」を方針として謳う割には、売り方や製品ラインナップに利益確保優先の保守的な志向が強く、その方針自体に僅かな疑問を抱きつつあります。今回も製品に関しても、ポータブル電源やエンジン発電機移行の需要には影響せず、PDC1200を所持する既存の僅かなユーザー需要に留まるでしょう。
また「USB給電技術を軽く見るのが国内電動工具メーカーの悪いところ」と筆者は考えているのですが、今回もその例にもれず、ポータブル電源が備えるUSB Type-C端子としては微妙な仕様となるUSB PD30Wを搭載しています。競合他社品や今後の充電式製品動向を考えればUSB PD100W搭載はマストとも言え、できなかったとしてもeMaker非対応ケーブル上限値である60Wを搭載してほしかったところでしょうか。
この辺りは別売のPD100WのUSB充電器をACに差せば同じ機能は実現できるため、原価低減できる部分としてマキタ的に最も興味のない部分を削ってコストを下げる判断を下したものと予想しています。しかしながら先行している競合他社が存在しているのに、具体的な弱みを見せてしまうあたり、その爪の甘さはいかにもマキタらしいと思ってしまうところです。
とりあえずこの辺りに関しては、10年前のマキタポータブル電源の取り組みを続けていればもう少し良い製品ができたかもしれないと思う部分はあるものの、一応の充電式製品拡充路線の一つとして今後の動向に期待したいところでしょうか。ちなみに筆者としては、アウトドア用途や災害対策として充電機能を持つパワーコンディショナー機能の搭載モデルか、マキタバッテリーへの充電口を持ちエンジン発電機に変わる普通の大容量ポータブル電源が出たら検討したいと思っています。